【コラムvol.66】
「令和」は、平成じゃなく
「昭和」を終わらせた。

「ハッテンボールを、投げる。」vol.66  執筆/伊藤英紀



敗戦後の高度経済成長って、今から思えばそんなに驚異的でもなかったんじゃないですかね。

僕が小学生のときに(1968〜73)、「日本は1億人もいるんだ」と知って、すごいなあと少しうれしくなったのを覚えています。

当時は工業化社会であり大量生産の時代だったので、“量”は豊かさの象徴だと子供ながら思っていたのでしょう。

テレビで学級数がすごく多いマンモス小中学校のニュースを耳にすると、「都会だなあ。オレの学年は2学級しかないのになあ。田舎だからなあ」と、おかしいんですけどちょっと敗北感とコンプレックスみたいなものをおぼえたりしていました。

で、“人口1億人”を知ったそのとき、学校の先生が「日本は戦争が終わって人がたくさん増えたんですよ」と言ったんです。

「へえ、人が増えたんだ。増えると国は豊かでハデになるのか」と、そんな風に僕の頭の中で人口増加と経済発展がつながりました。

先生がそういう風に言ったわけではなくて、70年の万国博覧会とか社会の風潮ものぼり坂だったし、臨海工業地帯には大規模なコンビナートが建設されてウルトラマンが公害怪獣をやっつけていたし(僕の近所は四日市コンビナートの光化学スモッグがあった。ひどい臭いだった)、

カルビーのスナック菓子やファンタやミリンダ、カップヌードルも登場するし、近所にはナナハンに乗ってドラムたたいているニイちゃんもいたし、家のテレビや冷蔵庫やクルマもサイズが大きくなっていくし。

日本が経済発展しているのは子供でもなんとなくわかりました。あ、それとアメリカは人口2億人という事実を知ったとき(今は約3億3000万人)、「かなわないなあ。アメリカのテレビドラマは金持ちばっかり。家もなんか重厚で日本とはえらい違う」と思いました。

話は戻って、「高度経済成長はさほど驚異的でもないんじゃないのか」ですが、調べてみると、1945年の敗戦時の日本の人口は約7200万人なんですね。

万博が開催された1970年が約1億400万人、1995年には約1億2600万人に達しています。

つまり、敗戦から25年で3200万人増え、そこからさらに25年で2200万人増え、50年間で5400万人も増えているのです。そりゃ、経済大国になるでしょう。

日本は戦前でも自動車やでかい戦艦や軍用機を開発製造できる工業力を持っていたんですから、敗戦後は軍事費の支出負担がなく、円も人件費も安くて貿易競争力はいっときの中国並みだし、発展しない理由はないんじゃないですかね。

調べてちょっと驚いたんですけど、敗戦前の日本の国民総生産は世界第4位を誇っているんですね。知らなかったあ。

80年前でさえそれほどの経済強国の日本ですから、5400万人も人口が増えれば戦後復興でNo.2の経済大国にランクアップしたのも、やっぱりぜんぜん不思議じゃないなあ。

なんで今日こんな話を書いているかというと、本日「令和」が発表されていろいろと思ったからです。

「令和」が始まり、僕の中では「平成」ではなく「昭和」が終わりました。僕にとって「平成」はかなり「昭和」を引きずっている時代だったからです。

大正が明治をかなり引きずっていて、明治を終わらせたのは大正じゃなく昭和じゃないかという感じと似ているのかもしれません。

ところで、「令和」を世界はどう報じたか。BBC(英国放送協会/British Broadcasting Corporation)は、次のような国際ニュースとして世界に発信しました。一部抜粋、引用部の下線は僕が引きました。
https://www.bbc.com/news/world-asia-47769566

(引用)
What does Reiwa mean?

The term for the new era is made up of the two characters Rei and Wa meaning “order” or “command”, and “peace” or “harmony”.

令和の和については、「peace」「harmony 」と伝えています。平和、調和の和ですね。

で、「令」ですが、BBCは令をどう伝えたかというと、「order」「command」という単語で伝えています。

orderは、命令、指令、秩序、体制ですかね一般的に。commandも、命令、指揮、支配、集める、意のまま、が辞書の頭に出てきます。

世界にはそういう風に発信されているんだ、という事実として淡々と受け止めたいと思います。あ、いま上のURLをクリックしたら、commandが削除されていました。

…ふーん、なんかまずかったのかな。

万葉集が出典で云々と言われていますが、世界はそんなこと知らないし関心もないし、「令」は文字ですからね。世界基準で英訳文字化されればそういうことになります。日本固有の文化的背景がありましてえ、とか言ったところでねえ。

大相撲は日本の国技であり固有の伝統だと言ったって、緊急事態で土俵に上がった女性医師を大声で排除すれば、世界では当然、日本にはこういう女性差別がある、と淡々と事実として報道されるだけです。

そういうことだと思います。

西城秀樹も橋本治も樹木希林も内田裕也もショーケンも令和の直前に死んじゃったし、「昭和」は「令和」によって終わったんだなあ。しみじみそう思いました。

と言いながらも、「令和」は「昭和」と文字が似ているんですね。時間的距離が近い元号としては珍しいじゃないのかな、全く詳しくないけど。

「昭和」を終わらせながらも、戦争による焼け野原から経済復興という激しいうねりの「昭和」を復活させたいのかなあ政権は。なんじゃこれは、とも思いました。


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中小企業に、発展のきっかけを投げかけたい。だから、ハッテンボールです
【ハッテンボール・グループ 代表取締役 伊藤英紀】
企業表現コンサル/コピーライター 1961年生
広告学校と大学をダブルスクール。㈱リクルートで、バイトなのに制作チーフを務めたのち、同社契約コピーライターに。1990年 前身 伊藤英紀事務所を創業。※元ワイキューブ取締役
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