人間交換日記 5通目「ホントにそう思いますか?」安田

人間交換日記

「すべての人は、すごい可能性を秘めている」と信じる大野と、「多くの人は目的などなくただ存在しているだけ」と断ずる安田。人間の本質とは何か。人は何のために生きているのか。300文字限定の交換日記による言論バトル。


5通目/安田からの返信
「ホントにそう思いますか?」

たとえば私は運動神経が悪いので、プロ野球選手になる可能性は生まれながらにゼロでした。音痴だし顔もこんななので、歌手になる可能性も、アイドルになる可能性も、私にはゼロでした。別に私はひがんでいるわけじゃないんです。「どうせ俺は〇〇にはなれなかった」と言いたいわけではなく、自分には自分のやるべき役割があるということ。つまりその役割は(ある程度の幅こそあれ)最初から決まっていた。そう言いたいわけです。何に向いているとか、向いていないとか、そういうスキル的なものではなく、運命的なものとして決まっていた。私にとってそれはリアリティーのある現実なんですけど。私の妄想でしょうか。

前回4通目/大野「どこの誰が何故に断言できるのでしょうか??」

安田さんへ
でも、そもそもそのリアリティを規定しているのは誰でしょうか?安田さんご自身です。別に、そいういった現実がある訳ではありません。逆になぜ無いと規定できるのでしょうか?また、安田さんがオギャーとこの世に誕生した時に、この子は大統領になる可能性は絶対にゼロだと!どこの誰が何故に断言できるのでしょうか??やはり、僕も安田さんも大統領になる可能性はあったと。あえて過去形にしますが(笑)。

ー大野より

 

3通目/安田「私が言いたいのはそこじゃない」

大野さんへ
エキストラは傑作映画を作ることが役割である。それは大いに結構な主張だと思います。私自身も境目研究家という、おそらく誰からも必要とされない役割を一生懸命演じております。でも私が言いたいのはそこではありません。私や大野さんは大統領になる可能性が元からゼロだということ。アメリカ国民じゃないからとか、そういう意味ではありません。生まれた瞬間には全ての赤ちゃんが(少なくともアメリカ生まれの赤ちゃんは)大統領になる可能性がある、ということについて。私はこれをきっぱりと否定しているわけです。生まれた瞬間から可能性がゼロの赤ちゃんと、可能性がゼロではない赤ちゃんがいる。私にはそうとしか思えないのです。

ー安田佳生より

 

これまでのやり取り

交換日記をする二人



火曜日
安田佳生(やすだ よしお)

1965年生まれ、大阪府出身。
2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

●金曜日
大野栄一(おおの えいいち)
株式会社一番大切なこと 代表取締役
http://ichibantaisetsunakoto.com/
https://www.sugoikaigi.jp/coach/eiichiono/

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