人間交換日記 31通目「そこが知りたいんです」安田

人間交換日記

「すべての人は、すごい可能性を秘めている」と信じる大野と、「多くの人は目的などなくただ存在しているだけ」と断ずる安田。人間の本質とは何か。人は何のために生きているのか。300文字限定の交換日記による言論バトル。


31通目/安田からの返信
「そこが知りたいんです」

ツマラナイとは思いません。事実を観察するのはとても大事なことです。ただそれが簡単ではないということ。そもそも先入観のない人間など見たことがありません。先入観(すなわち勝手な解釈)を私たちはしてしまう。それをどのように制御すればいいのか。そこが知りたいんです。大野さんご自身は先入観ゼロで何かを見ることが出来ますか?私には到底不可能です。そして自分が出来ないことを他人に強いる気にはなれません。事実をただ事実として受け止める。そんなことが可能であるのなら、ぜひ方法を教えて頂きたいです。それと、制御不可能なことに関して。その答えが「過去と他人」であるとするなら、これはとってもツマラナイです。

前回30通目/大野「現実の見方を変えてみる。そうすれば、現実が自分に与える影響も変わる。」

安田さんへ
伝わったという感覚、この交換日記においては初体験です。
ただ、これから読まなきゃよかったというくらい更にツマラナイ話をしなければなりません。使命として。
まず安田さんの言う通り、人生を苦しめているものがあるとすれば、一つは自分でいつの間にか勝手に拵えてきた解釈であると思っています。「上司は結果しか見ていない。彼女はエゴが強すぎる。働くのはしんどい事だ。私は経験も実力も不足している。私は運が悪い。…」確かにそうなのかもしれないけれど、このような解釈を一旦、これが現実というラベルから引きはがして、事実を観察してみる。これができればだいぶ現実の見え方が変わってくる。
それからもう一つ、時に僕たちを苦しめるのが、制御不可能なことに心が奪われている時。例えば、あの時あーすればよかった。こんな事が起きたらどうしよう!など。

ー大野より

 

前々回29通目/安田「私の輪郭が知りたい」

大野さんへ
私はどんな人間なのか。これ、とても大事だと思います。多くの人は「私ではない誰か」になろうとしたり、「私ではない誰か」と比較して苦しんでいるように見えます。本当の私にたどり着くためには「解釈」という先入観を捨てることが大事ということでしょうか。事実に着目することが「私の可能性を最大化すること」であるのなら、大野さんの主張は私の考えとズレていないと思います。制御可能と不可能の区別がつけば「私がどんな人間か」が浮かび上がる。これは面白いアプローチですね。本当に制御不可能なことと、制御不可能だと思い込んでいるだけで制御可能なこと。この境目を辿れば「私の輪郭」が浮かび上がってくるような気がします。

ー安田佳生より

 

これまでのやり取り

交換日記をする二人



火曜日
安田佳生(やすだ よしお)

1965年生まれ、大阪府出身。
2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

●金曜日
大野栄一(おおの えいいち)
株式会社一番大切なこと 代表取締役
http://ichibantaisetsunakoto.com/
https://www.sugoikaigi.jp/coach/eiichiono/

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