人間交換日記 104通目「そうでない時を除いては」大野

人間交換日記

「すべての人は、すごい可能性を秘めている」と信じる大野と、「多くの人は目的などなくただ存在しているだけ」と断ずる安田。人間の本質とは何か。人は何のために生きているのか。300文字限定の交換日記による言論バトル。


104通目/大野からの返信
「そうでない時を除いては」

人間は愚かである。確かにそうなんでしょう。そうでない時を除いては。そして、もしかしたらその愚かさの中にこそ、発掘すべき能力やリソースが眠っている。なかなかやろう思っている事ができない。やっても長続きしない。それが人間。そうでない時を覗いては。観点を変えれば、やろうと思っていない事ができる!って凄いし、長続きしない状態を長きに渡って続けられる能力は元々備わっているともいえる。風によって船の行き先が変わっていくというより、帆の張り方なのではないか?という真理が僕には見えてくる。できなかったという結果より、やろうとした事そのものの中に大いなる何か、誰もが持つ人間の中の良心という種がある気がします。

前回103通目/安田「残念ながら・・・」

大野さんへ

想像力の欠如であり、思いやりの欠如でもありますね。自分さえよければいいというのは短期的な「得」ではありますが、長期で見れば「損」。まあ損得で考えること自体がよくないとも言えるんですけど。でも人間というのは大野さんが思ってらっしゃるほど“できがよくない”と私は思っています。選挙に行かないのも、自粛しないのも、他人に自粛を強要するのも、すべて人間の愚かさから出ているものだと。つまり人間は愚かである。この原点に立ち返らない限り胸を痛める事件はなくならない。では愚かな人間に想像力と思いやりを持たせるにはどうしたらいいか。やはり損得に訴えかけるしかない。残念ながらそれが現時点での私の答えですね。

 

ー安田佳生より

 

前々回102通目/大野「今、その認識をシフトできるってこと」

安田さんへ

それはどちらでもなく(笑)ちょっとした癖という嗜好の話かと。
そして、御察しの通りゴールは永遠に訪れません。僕がこの世を去った後も、きっと僕の息子が引き継いで日記を交換してくれるはずですし。ちなみに、我慢しない方がいいかと問われれば、その時は我慢だったけれど、振り返ってみると、あの時があったから今の自分が在るんだなぁって思えることなんて沢山あります。つまり、我慢してたつもりが、その実は耐えていた。ってことは、数年経過して認識が変わるのを待つのではなく、本当は今、その認識をシフトできるってことかと。ここで僕たちの想像力が問われている。昨今の胸を痛める事件の多くは想像力の欠如が引き金とも言える。

ー大野より

 

これまでのやり取り

交換日記をする二人



火曜日
安田佳生(やすだ よしお)

1965年生まれ、大阪府出身。
2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

●金曜日
大野栄一(おおの えいいち)
株式会社一番大切なこと 代表取締役
https://ichibantaisetsunakoto.com/
https://www.sugoikaigi.jp/coach/eiichiono/

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