人間交換日記 115通目「器が小さくなる時」安田

人間交換日記

「すべての人は、すごい可能性を秘めている」と信じる大野と、「多くの人は目的などなくただ存在しているだけ」と断ずる安田。人間の本質とは何か。人は何のために生きているのか。300文字限定の交換日記による言論バトル。


115通目/安田からの返信
「器を見失わないこと」

他人の器を尊重し大切にする。すると自分の器は磨かれ大きくなる。なるほど、これはとても奥深いアドバイスですね。私も日頃から気をつけるようにしています。こちらの価値観を押し付けないように。その人が本来持っているものを尊重するように。でもこれが難しい。ふと気がつけばこちらの価値観を押し付けてしまっている。相手の性格や好き嫌いなど関係ないと思ってしまう。とくに自分の方が年長でスキルも上だと自覚しているとき。自分の答えが絶対に正しいと確信しているとき。そういうときに人はエゴが出る。自分のエゴを正解だと勘違いして相手に押し付けてしまう。そうやって人の器はどんどん小さくなっていくのでしょう。

前回114目/大野「無限大とも言えるし、ちっぽけとも言える」

安田さんへ

自分を大切にする。それが意味する所は、他の人にも当然ながら自分があるのだから、「他の人の自分」を大切にし、尊重するところまで含まれているという事です。もしも、それができなければ自分を大切にするってことができていないことになる。逆説ですが、誰も見ていない所できちんとお仕事ができれば、誰かが見ている所できちんとやるでしょう。同じように他の人の器を大切にできれば自ずと自分の器は磨かれ大きくなる。大我、小我とはよく言ったものです。エゴは捨てられない。でも質は変えられる。エゴが悪いわけでもない。誰にも同じものがある事を忘れなければ。だから器は無限大とも言えるし、ちっぽけとも言える。

ー大野より

 

前々回113通目/安田「器を見失わないこと」

大野さんへ

空っぽの器のほうが打てば響く。たくさんのものが入る。その通りだと思います。問題はどこまでが器なのか自分でわからなくなっていること。入っているものが器と一体化しているケースは多々あります。出してしまえばいいのに。捨ててしまえばいいのに。それができない。それは自分の一部であると錯覚してしまっているケース。たとえば自分の家とか。学歴とか。会社でのポジションとか。もうひとつは器すら自分ではないと否定してしまうケース。どこまでが自分かわからないので器まで捨てようとしてしまう。器を壊してしまう。最悪なのは器を壊しながら中身だけを大事に抱えている状態。こうなったら人は虚無感に支配されてしまいます。

ー安田佳生より

 

これまでのやり取り

交換日記をする二人



火曜日
安田佳生(やすだ よしお)

1965年生まれ、大阪府出身。
2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

●金曜日
大野栄一(おおの えいいち)
株式会社一番大切なこと 代表取締役
https://ichibantaisetsunakoto. com
https://www.sugoikaigi.jp/coach/eiichiono/

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