人間交換日記 118通目「コーチとして最も大切な事は何か?」大野

人間交換日記

「すべての人は、すごい可能性を秘めている」と信じる大野と、「多くの人は目的などなくただ存在しているだけ」と断ずる安田。人間の本質とは何か。人は何のために生きているのか。300文字限定の交換日記による言論バトル。


118通目/大野からの返信
「コーチとして最も大切な事は何か?」

その通りですね。どうやら結論が見えてきましたね。コーチとして最も大切な事は何か?を今尋ねられたら、僕はコーチングが一切通用しない場面がビジネスにも人生にもあるって事を体験として持っているかだと答えるでしょう。〝その時〟コミュニケーションスキルとか心理学とか、どんなに立派な理論や考え方もクライアントには役に立ちません。
〝その時〟はただそばにいて一緒に泣くことしかできない。一緒に悲しむことしか。そばにいることが精一杯。でもテクニックやスキルに溺れている人は多い。コーチの足下に何があるか?ハンマー持たせたら全て釘に見立てたりする。同じ人間しかし完全に違う人間。コーチの足下にそれがあるかだと思う。

前回117通目/安田「答えを探す旅」

大野さんへ

おっしゃるとおり。才能開花のやり方は人によって違います。どんなにその人のことを思ってアドバイスしたとしても、成功体験の押し付けになってしまうことがほとんどです。個性を尊重するってほんとうに難しい。一人ひとりの個性に合わせて答えを考えるなんて現実的には不可能だと思います。つまり、どんなに親身になって相談に乗ってくれる人でも、自分の個性に合わせた方法を教えてくれるわけではない。このことをしっかり自覚しておいたほうがいいのです。最終的には自分に合ったやり方は自分で編み出すしかない。人がくれるのは答えではなく、あくまでも答えにたどり着くためのヒント。人生とは自分なりの答えを探す旅なのでしょう。

ー安田佳生より

 

前々回116通目/大野「どのように知れるか?」

安田さんへ

耳が痛い。ただ人は違うだけなのに。よく考えてみると好きな事でも苦手な事でも、人によって才能開花の仕方は異なるという当たり前な事を忘れていました。僕が自分の信じているものに固執していたのです。二元論にあてはめる事ができないのが人生。誰かにできる事はあなたにだってできる。一つの要素ではあるけれど、そうでない事だって沢山ある。何故なら、人は同じ人間でもそれぞれが完全に違うからです。決して同じではない。比較しようがない。個的で個別の才覚の発揮の仕方がある。そうなってくるとどの様な生きる姿勢か?心の構えか?どんな人間か?それら三点はどのように知れるか?を見つめ続けていく事こそがその道なのかもしれません。

ー大野より

 

これまでのやり取り

交換日記をする二人



火曜日
安田佳生(やすだ よしお)

1965年生まれ、大阪府出身。
2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

●金曜日
大野栄一(おおの えいいち)
株式会社一番大切なこと 代表取締役
https://ichibantaisetsunakoto.com/
https://www.sugoikaigi.jp/coach/eiichiono/

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