人間交換日記 138通目「一人じゃ何も成し得ちゃいない」大野

人間交換日記

「すべての人は、すごい可能性を秘めている」と信じる大野と、「多くの人は目的などなくただ存在しているだけ」と断ずる安田。人間の本質とは何か。人は何のために生きているのか。300文字限定の交換日記による言論バトル。


138通目/大野からの返信
「一人じゃ何も成し得ちゃいない」

啐啄の機という言葉があります。辞書によれば、啐とは雛が孵化しようと殻の内側からつつく音のこと。啄とは、母鳥がそれを外からコツコツとつつく音のこと。この両者のタイミングが一致していることが重要で、親鳥のサポートが早すぎても、遅過ぎても、雛は死んでしまうと。しかし、そのタイミングは雛のかえりたいという意思から始まる。時に、人も一人では決して殻を破れないのかもしれません。ふと、「最上のわざ」という詩を思い出しました。一部を紹介すると、(略)弱って、もはや人のために役に立たずとも、親切で柔和であること。老いの荷物は神の賜物(略)本当は全部を紹介したいほど。何れにせよ、一人じゃ何も成し得ちゃいない。

前回137通目/安田「どのクレージーと向き合うのか」

大野さんへ

クレージーな人のそばにいる・・・これはなかなか勇気のいる作戦ですね。まあクレージーの種類にもよりますけど。芸術家的なクレージーはぜんぜん平気なんです。でもいきなり大きな声を出すとか、いきなり怒り出すとか、その手のクレージーは本当に苦手でして。あまりにも突然キレる人だったので、大口の取引を断ったこともあります。私には平穏がいちばん重要なのです。とは言え私自身も見方によってはクレージーなんでしょうね。境目研究家を名乗って生きていくとか。給料を払いすぎて会社を潰してしまうとか。きっと人はみな何かの分野でクレージーなのでしょう。自分自身のクレージーと向き合うことがいちばん大事なのかもしれません。

ー安田佳生より

 

前々回136通目/大野「根性なしを続けられる根性は相当なもの」

安田さんへ

閉所恐怖症を克服する一つのやり方として、少しずつ戸を閉めていくというのを聞いたことがあったので。もし安田さんの筋金入りが実際であれば、根性なしを続けられる根性は相当なものですよ。ちなみに、僕と手を繋いで一緒にやるとどうなるか?あるいは意図的に最初から周りに合わせない。ズラすつもりでウェーブに参加するのはいかがでしょうか。どうせズレるなら、ズラすつもりでやって、万が一合ってしまったら失敗という成功です。そして、自分のリミッターを外す簡単な方法があるとしたら、クレイジーな人のそばにいるというのは一つの手段として効果覿面です。疲れますけどね、最初は。そこを乗り越えると自分の当たり前度も上がってくる。

ー大野より

 

これまでのやり取り

交換日記をする二人



火曜日
安田佳生(やすだ よしお)

1965年生まれ、大阪府出身。
2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

●金曜日
大野栄一(おおの えいいち)
株式会社一番大切なこと 代表取締役
https://ichibantaisetsunakoto.com/
https://www.sugoikaigi.jp/coach/eiichiono/

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