赤い出口、青い出口 第33回「『重要度の変化』を見極める」

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自覚して生きている人は少ないですが、人生には必ず終わりがやってきます。人生だけではありません。会社にも経営にも必ず終わりはやって来ます。でもそれは不幸なことではありません。不幸なのは終わりがないと信じていること。その結果、想定外の終わりがやって来て、予期せぬ不幸に襲われてしまうのです。どのような終わりを受け入れるのか。終わりに向き合っている人には青い出口が待っています。終わりに向き合えない人には赤い出口が待っています。人生も会社も経営も、終わりから逆算することが何よりも大切なのです。いろんな実例を踏まえながら、そのお話をさせていただきましょう。

第33回 「重要度の変化」を見極める

【新卒採用は重要だった】

新卒で入社した会社は、
中小企業向け新卒採用をサポートする仕事でしたので、
私は10年間そこでセールスをしていました。

当時はリーマンショックに至るまでの経済拡大期で、
「新卒採用」という言葉が、
「5年後に中核となるプロパー人材の獲得」、
「10年後の強い組織を作る施策」という意味を持ちました。

組織マネジメントや離職の問題に悩んでいた中小企業に受けて、
会社は右肩上がりに成長していきました。

【重要度は変化する】

あれから15年経って「新卒採用」という、
組織づくりに対する意味は変わっていませんが、
言葉を受け取る側に変化が見られます。

IT活用によるマネジメントの変化や、
終身雇用の崩壊、人材流動化によって、
5年後、10年後を考える重要性が低下したと言えます。

中小企業にとっては、
5年後、10年後の組織づくりをするよりも、
ITを使って会社を整備したり、
販売戦略を練ったりするほうが重要だということでしょう。

【重要度を見極める】

時間が経てば重要なものも変わるというのは当然です。
ただ、自社を見返してみると、
いろいろなものが変わってないのに気づきます。

特に中小企業やメーカーは
取引先のニーズに合わせて商品化をしたり、
自社の強みから商品化したりすることが多く、
世の中の移り変わりを追いかけるという、
機能自体をもっていないことが多いのです。

同じ商品を、同じコンセプトと手法で、同じ人が、
販売するようなことをしていると、
世の中の移り変わりを察知できません。

経営者がフロントセールスに話を聞くと、
今まで通りのニーズがあったり、
自社の商品の優位性についての答えが返ってきます。
そうすると、
誰も悪くないのに、売上だけは下がっていくことになります。


【流行りと重要度】

流行りに乗るということを嫌われる経営者はとても多いです。

ここで問題提起しているのは、
数ヶ月や1年単位の流行の話ではありません。
流行りや廃りは、ネットを介して充分に把握できます。

今重要なのは、5年や10年のスパンで変わっていく
大きな世の中のニーズを捉えているのかという視点だと考えます。

「新卒採用」の重要度にも変化が起きたように、
自社の商品・サービスの重要度は変わっていくものです。

今どれほど重要なサービスも、いずれ出口に到達するでしょう。
自ら出口を見つけ、見極めることで、
次のチャレンジが始まるのではないでしょうか。

 


- 著者自己紹介 -

人材会社、ソフトウェア会社、事業会社(トラック会社)と渡り歩き、営業、WEBマーケティング、商品開発と何でも屋さんとして働きました。独立後も、それぞれの会社の、新しい顧客を創り出す仕事をしています。
「自分が商売できないのに、人の商品が売れるはずがない。」と勝手に思い込んで、モロッコから美容オイルを商品化し販売しています。<https://aniajapan.com/>
売ったり買ったり、貸したり借りたり。所有者や利用者の「出口」と「入口」を繰り返して、商材を有効活用していく。そんな新規マーケットの創造をしていきたいと思っています。

出口にこだわるマーケター
松尾聡史

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