GlobalPicks 〜海外の情報を読み解いて、ビジネスに付加価値を投薬する方法〜【vol.012】

④Wages And More On The Rise
→賃金と、「and More(その他)」のもの、が上昇していく

2018年は、賃上げだけじゃなくて、他にもriseする(上がる)ものがあるよ、という意味合いでしょうかね。原文読んでみましょう。

 

—原文
Human Resource managers should expect a 3% increase in wages across all sectors. In high demand jobs such as health care, elderly care, and physical therapy, expect wage increases to be higher.
We’ll also see wages likely increase in engineering, drone technology, and virtual reality. Wages have been stagnant for a few years, and with the unemployment rate at almost record low of 4.1% of the labor force, employers will feel pressure to adjust compensation to attract and retain quality workers.  

→人事マネジャーは、2018年はどのセクターでも3%のincrease in wages(賃上げ)を想定しておかなければならない。
ヘルスケア、高齢者ケア、理学療法などの需要の大きい仕事は、もっと賃上げされるだろう。
エンジニアリング、ドローン技術、VRの人材も賃上げが予想される。
賃金はここ数年stagnant(停滞)していて、unemployment rate(失業率)がrecord low(史上最低水準)の4.1%なので、雇用側はcompensation(報酬)をそろそろ上方修正して高品質な従業員をattract(惹きつけ)したり、retain(残留させたり)しなければ、というプレッシャーを感じ始めるだろう。

 

まず思ったのは、これほど好景気で、低失業率だったのに、「爆発的な賃上げ」がここ数年起きていなかったということです。

なんか、イメージではアメリカではバンバン給料が上がっているものかと思ってました。

2018年には「上げざるを得ないよ」と言ってますが、それでも3% ですからね。

 

日本の今年の賃上げ率は2.16%ですね。

アメリカの景気と失業率を考えると、日本の賃上げ率は「言われるほど悪くない」ですよね。

ちなみに、日本の失業率は2.4%くらいですけど、構造上、アメリカよりも失業率は低く算出されます。

 

なお、ざっくりのサマリーですが2018年の予測値をまとめました。

GDP成長率 アメリカ(2.7%) ↔︎ (1.2%) 日本
賃上げ率 アメリカ(3%) ↔︎ (2%) 日本
失業率 アメリカ(4.1%) ↔︎ (2.4%) 日本

くらいの感じです。

本当は、賃上げ率から「インフレ率」を差っ引かないと「実際の賃上げ」とは言えないのですが、まあそこまでは踏み込まずに気楽にやりましょう。

原文続けます。

 

—原文
Talented employees seek salary, benefits, flexibility, and autonomy. Smart companies know that flexibility and autonomy might beat out just pure compensation for many employees.  

→才能のある従業員は、salary(月給)、benefits(諸手当)、flexibility(フレキシブルで融通が効くこと)、autonomy(自主性が与えられること)を求める。
賢明な会社は、多くの従業員にとって、flexibility(融通)とautonomy(自主性)が、pure compensation(純粋な金銭的報酬)よりも効果的であることに気づいている。

 

要するに、冒頭のタイトルにあった「and More(その他)」で上がるものとは、「flexibility」と「autonomy」というオチですね。

ここに、2018年以降のアメリカの企業各社の人事戦略が見えてきますね。

好景気だからと言ってバブル的に給料を上げていくだけでは、なかなか優秀な人材を確保できないことが分かってきたから、「柔軟性があってフレキシブルな働き方ができる職場であること」と「自らの自主性と自律性が保証されている職場であること」を各社がPRし合って人材獲得を競争するわけです。

我が国では「仕事」の議論をし始めると、「労働時間」の議論になりがちですが、「flexibility(融通)」と「autonomy(自主性)」の議論にシフトしていくといいですね(笑)

働き方改革のKPI(達成度を見る指標)として、「残業時間」とか「労働時間」とか「有給消化率」を血眼で見ている国(すなはち我が国)と、一方で「flexibility(融通)」と「autonomy(自主性)」をKPIとしてコンセンサスが取れつつある国の、産業競争力はどちらが2018年以降「高まっていく」のか?

そういうことですね、要は。

世代論のところは、日米で似ていましたが、働き方改革の部分は、日本とアメリカ「似てない」ですよね。。。

次週は⑤⑥あたりのトレンドを取り上げようと思います。

 

「本コラムと、本業ビジネスとの関係」(著者・小出紘道より)

本業ビジネスでは「マーケティング&戦略コンサル」の仕事と、「高付加価値情報提供サービス」の仕事をしています。本コラムは後者の「高付加価値情報提供サービス」の初級編としての入り口となればいいな、と思ってます。世界の誰かが”既にかなり研究したり、結論を出している”にも関わらず”日本では流通していない数値情報や文字情報”がたくさんあります。それらの情報を、日本のマーケットにフィットするように編集・分析すれば「競合他社」や「競合他者」を出し抜ける可能性が高まります。法人向けのサービスとなっていますので、詳細はFace to Faceでお伝えしますね。

 

著者情報

小出紘道 (HIROMICHI KOIDE)

◆株式会社シタシオン ストラテジックパートナーズ
代表取締役社長
http://citation-sp.co.jp

◆株式会社シタシオンジャパン
取締役会長
http://www.citation.co.jp

◆株式会社 イー・ファルコン
取締役
http://www.e-falcon.co.jp

<いわゆる経歴>
・2000年 株式会社東京個別指導学院に新卒で入社して、11ヶ月だけ働いてみた(→早めに飽きた)
・2001年 イギリスに行って、University of Londonで経済と国際関係を学んだり、Heriot-Watt Universityで経営学(MBA)をやってみた(→めちゃくちゃ勉強した)。この間に、イギリス人の友人とロンドンで会社を作ってみた(→イマイチだった)
・2003年 シタシオンジャパン社でマーケティングをやり始めてみた(→ろくにエクセルも使えなかった)
・2007年 シタシオンジャパン社の代表取締役社長になって経営をやってみた(→やってみてよかった)
・2018年 シタシオンジャパン社の社長を仲間に託し、引き続き会長としてコミットしつつも、シタシオンストラテジックパートナーズ社を設立してみた(→今ここ)

 

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