日曜日には、ネーミングを掘る #045 おてらおやつクラブ

今週は!

世の中のフラット化が進み
差別化がつきにくい時代と
いわれて久しいわけですが、
こうした流れのなかで
デザインの重要性がますます
増してきているように感じます。

デザインの良し悪しは、
好き嫌いの感情も入るので
なかなか難しいものですが、
判断の際のひとつの指標と
なってくれるものに、
グッドデザイン賞があります。

「Gマーク」でお馴染みのこの賞は
半世紀以上前の1957年に
スタートしていますが、
デザイン意識の高まりとともに
参加する企業や団体もどんどん増え
2018年度は4,789件もの
応募数となっています。

そのなかで、見事、
大賞に輝いたのが、
今回のタイトルである
『おてらおやつクラブ』です。

おてら?おやつ?クラブ?
なんでこれがデザイン賞なの?

と思われるかもしれませんが、
それもそのはず
この『おてらおやつクラブ』
製品や建築といったモノではなく、
仕組みなんです。

具体的には、

日本各地のお寺に
お供えされるさまざまな「おそなえ」を
仏さまからの「おさがり」として頂戴し
子どもの支援活動を行っている
支援団体を通じて
貧困家庭へ「おすそわけ」という
かたちで届けるというもの。

つまり、『おてらおやつクラブ』は
目に見えない活動であり
大賞に選ばれたときには
発表会場内に少なからず
驚きの声が上がったといいます。

『おてらおやつクラブ』という
素敵なネーミングを考案したのは
この活動の発起人である松島靖朗さん。
奈良県の安養寺という
お寺の住職さんです。

松島さんはネーミングの背景について
『自遊人』という雑誌のインタビューで
こんなふうに語っています。

名前は、まあ3文字ずつで語呂がいいので決めたんですが、本当にこの名前でいいのか、ずっと悩んでいたんです。
でも、よくよく考えてみると、「おてら」は仏様のおられる場所、「おやつ」は仏教の教え、すなわち「法」、そして「クラブ」は仏教の言葉で言うところのサンガ(僧伽)、仏の教えをともに学ぶ者たちの集まりのことです。つまり、「仏法僧」の三宝を敬う活動であると考えることができます。(2019年2月号)

なるほど、ネーミングも、
僧侶が考えるとこうなるんだ
というお答えですが
記事のなかでインタビュワーも
仰っているように
もし「貧困救済お寺ネットワーク」
みたいなネーミングだったら
ここまでの広がり(2019年1月現在:
1,020寺院、404団体が参加)は
なかったかもしれませんね。

ところで、
『おてらおやつクラブ』のように
ソーシャルではありませんが
私のもとへも最近、
仕組み(ネットワーク)に名前を付ける
依頼が増えてきていまして、
これも時代の流れかなと思っています。

たとえば、
工務店さんのネットワーク
『センリョク』
大家さん専門の税理士ネットワーク
『knees(ニーズ)』
先週も社労士さんのネットワークに
『SUNMARU(サンマル)』
というネーミングを提案したばかりです。

こうしたネットワークの場合
多数の会員を束ねていく必要があるので
わかりやすいコンセプトと
それを端的に表現したネーミングづくりが
大事なポイントになってきます。

『センリョク』の場合は
全国の工務店さんに「千人力の戦力を」
『knees』の場合は
大家さんと「膝と膝をつきあわせて」
『sunmaru』には、
「顧問先を人が集まり、辞めず、
生産性が高い、三重丸企業にする」
という意味が込められているのです。

ブルー・オーシャン戦略は、未知の新大陸を探しだす作業ではありません。
新たなブルー・オーシャンは今いるレッド・オーシャンの中に無数に存在するのです。

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