日曜日には、ネーミングを掘る ♯131「げに儚きネーミング」

今週は!

ところは、宮崎県。

スーパーマーケットを展開する
永野という会社が繰り出す
お弁当のネーミングが話題を集めている。

こんなニュースを耳にし、
どれどれと食指が動く。

なるほどネット上には
いろんな画像がアップされており、
弁当の一覧が載ったチラシも
見ることができた。

『こっそりナポリタン』
『ビリー南蛮逆切れ弁当』
『食べづらいサンドイッチ』
『平手打ちチキンカツ』
『タンクトップで皆勤賞カレー』
『反復横跳びサンドイッチ』
『たしか広島産カキフライ弁当』
『カイザーナックルハギシリ弁当』
『マジ卍弁当』

一部コンセプト寄りのネーミングもあるが、
ほとんどはノリとゴロで
つくられていることがわかる。

ノリゴロ弁当である。

すべてを考案しているという永野雄太社長、
「ネーミングにはほとんど意味はない」
と言い切る。

理屈で考えるのではなく、
顧客の内なる声に耳を澄ませ、
直感を働かせているのであろう。

ネットで多数取り上げられて
全国区になった感のある
永野のお弁当であるが、
変なネーミング路線は、
いまにはじまったわけではない。

『まじヤバくない?』
『考えた人すごいわ』
『あらやだ奥さん』
『キスの約束しませんか』

などの店名で
昨年話題を集めた高級食パン店。

それ以前にも
『風に吹かれて豆腐屋ジョニー』で
一世を風靡した男前豆腐店の例もある。

これらのネーミングはもちろん
差別化を意識してのことであるが、
ネーミングが成立するには
商品がまともであることが大前提となる。

本物志向の商品と変な名前とのギャップが、
あるからこそ顧客がついてくる。

一方で、変なネーミングには、すぐに飽きられ、
ロングセラーになりにくいという課題がある。

男前豆腐店も、
主力商品だったジョニーを終売し、
いまは本社のある京都を活かした
比較的オーソドックスな
商品ラインナップに代わっている。

高級食パン路線にしても、
『銀座に志かわ』に代表されるように
正統派に回帰しているように思う。

移り気な人のうわ心。
漂っては消えていく儚きネーミン群。

街を歩けば、目の前に
パンとエスプレッソと私。

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