変と不変の取説 第49回「1億2000万人がつくる空気」

8「変化だ、変化だ、変化が大事だ」とみなさんおっしゃいますが、会社も商品も人生も、「変えなくてはならないもの」があるのと同様、「変わらないもの」「変えてはならないもの」もあるのです。ではその境目は一体どこにあるのか。境目研究家の安田が泉先生にあれやこれや聞いていきます。

 第49回「1億2000万人がつくる空気」

前回、第48回は「ギフテッドと日本の未来」

安田

泉さん、最近よく海外に行ってますよね。

はい。

安田

それは海外に場活を広めるためですか?それとも日本の場活のため?

両方ですね。日本のためにも海外に触れたほうがいいので。

安田

それは先進国に学ぶってことですか。あるいは近隣のアジアの国?

まあ、どこでもいいんですけど。外に行けば「日本が空気にのまれてる」という事実に気づける。

安田

気づけますか。

はい。私ですら、場活で空気をつくる側と思っていながら「日本全体の空気に飲まれてる自分」を海外に行くと気づくんですよ。

安田

泉さんでも飲まれてますか。

はい。その事実に気づきましたね。

安田

もうちょっと詳しく教えてほしいんですけど。どういうものを見て、どういうものに触れて気づくんですか?

たとえばベトナムとかカンボジアに行くと、まず道路でブーブーブーブー!って鳴らしてるんです。

安田

それはクラクション?

はい。クラクション鳴らしっぱなし。バイクもブァンブァンブァンってみんな行くわけですよ。もうマリオカートみたいなもんです。

安田

それはただのマナーが悪い人たちじゃないんですか?

って思うじゃないですか。「なんてマナー悪いんだ。横入りするし」みたいな。

安田

そりゃあ思いますよ。この野蛮人め!って。

でも、あれを見てると「生きる力」なんですよね。

安田

生きる力?

生きる力。だって、ひとつのバイクに4人家族乗ってるんですよ。

安田

え!それは普通のバイクに?

2人乗りのバイクに4人家族乗ってブワーッ走っていくんですよ。そういうの見てると凄く「生きているな」って感じがするんですよ。

安田

単に「貧乏だな」としか思わないですけど(笑)

「ひとり1台買えよ」って(笑)

安田

まさに。

でも貧乏な悲壮感みたいなのは感じないんですよ。まったく違うものを感じる。

安田

私が頭で考える情景と、実際に見たらぜんぜん違うってことですか?

ぜんぜん違います。むしろ豊かな感じ。生きてる豊かさを感じるんですよ。

安田

生きてる豊かさ?

はい。日本人は規則正しくとか、満員電車に押し込められてもちゃんと通勤するとか、そういうことをやってるじゃないですか。

安田

やってますね、毎日。

あれはやっぱ我慢なんですよね。

安田

日本人はマナーが良いわけじゃなくて我慢してるだけだと。

我慢強いんですよ。

安田

我慢強いのはダメなことですか?

我慢強いこと自体は美徳だと思いますけど、我慢しすぎて抑圧しすぎ。

安田

もう我慢してることすら忘れてますよね。

そう。感覚が麻痺してるんです。

安田

我慢しない人を「マナーが悪い!」とか言って怒るのは、そのせいですか?

そうです。「俺は我慢してるのに」っていう。

安田

歩きスマホしてる女性に体当たりした男がいましたよね。

あれなんて最たるもの。ブチ切れちゃった。

安田

マナー悪いからって体当たりして。怪我させて。

だからマナーじゃないんですよ。単に我慢しすぎてフラストレーションが溜まっているだけ。

安田

そのことに日本人は気がついてないと。

そういう空気に包まれてるので。

安田

ベトナムやカンボジアは違いますか?

たとえば東南アジアでタクシー乗るじゃないですか。

安田

はい。

言葉がわからないんで日本語で言っちゃうんですよ「にいちゃん、にいちゃん、この道ちゃうで」とか。

安田

通じますか?

通じる通じない以前に、よく考えたら日本では運転手さんに「にいちゃん、にいちゃん、この道ちゃうで」って俺言ってないわと。

安田

なるほど。

「すみません。こっちじゃなくて、あっち行ってもらえませんか」とか、丁寧語で言ってるわけですよ。でも向こうに行ったらそんな感じで会話してる。

安田

そういう会話をしてもOKな空気があると。

空気があるんですよ。ぜんぜん違う空気が。

安田

なるほど。

解放される感じがします。だから「この空気で場活やったほうが効果あるな」って。

安田

日本の空気はダメですか。

日本で場活するのは、縛られた状態でやる感じなんですよ。

安田

じゃあ海外で場活をやって、その空気を“逆輸入”すると。

そうです。逆輸入。

安田

でも泉さんなんか、何も我慢せず生きてるように見えるんですけど。

いやいや、めっちゃ我慢してますよ。

安田

海外に行くと「ああ、俺も我慢してたんだ」って事実に気づくわけですか?

「余計な我慢してるな」ってことにいっぱい気づきました。

安田

日本に帰ってくると元に戻っちゃいますか?

だって1億2,000万人がつくってる空気には、ひとりじゃ勝てないですよ。

安田

確かに。なんかマナーというより、枠に無理やり押し込められてる感じですよね。

そうなんですよ。抑えつけられてフラストレーションが溜まってる。

安田

だからネットで人の悪口とか言うんですかね。一見マナーがいい国民なのに凄く気持ち悪い表裏があるような気がするんですけど。

そういう気持ち悪さみたいなのはありますよね。あっち行くと必要悪みたいのもいっぱいあるんで表裏をあんま感じないんですよ。

安田

悪役が分かりやすそうですよね。いかにも悪そうな。

そう。わかりやすい。露出してるんですよ、全部。

安田

日本人って、いかにも真面目そうな人が裏で悪いことやってるイメージ。

そういう気持ち悪さはありますよね。

安田
国民の平均年齢も関係あるんじゃないですか。ベトナムなんて国自体が若いじゃないですか。
それはありますね。あと経済成長してるので成長のエネルギーを感じます。
安田
日本に戻ってくると「エネルギーないなあ」って感じるんですか?
「なんて静かな国や」って(笑)
安田
やっぱ“老化”してる感じがしますか?
つるんとした感じですね。

 


場活師/泉一也と、境目研究家/安田佳生
変人同士の対談


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第1回:「変わるもの・変わらないもの」
長い間、時間をかけて構築された、感覚や価値観について問い直します。

ブルー・オーシャン戦略は、未知の新大陸を探しだす作業ではありません。
新たなブルー・オーシャンは今いるレッド・オーシャンの中に無数に存在するのです。

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