コミュ障経営者のギモン その7「リモートワークに必要なもの」

 このコンテンツについて

なぜこんなツマラナイものにこだわるのだろう。そういう「ちょっと変わった人」っていますよね。市川さんはまさにそういう人。でもそういう人が今の時代にはとても大事。なぜなら一見ビジネスになんの関係もなさそうな、絶対にお金にならなそうなものが、価値を生み出す時代だから。凝り固まった自分の頭をほぐすために、ぜひ一度(騙されたと思って)市川ワールドへ足を踏み入れてみてください。

リモートワークに必要なもの

僕、 フィリピンにもITアウトソーシングの会社を持っているのですが 、コロナの影響をモロに受けてます・・・
3月中旬のことですが、フィリピンの大統領が
「首都圏閉鎖すると思うわ。あと、 国内の移動に制限をもうけるわ。」
っていい出したと思ったら、 準備期間もほぼなしに執行ですからね(汗)
こういうスピード感と豪腕がウリの大統領ではありますが、 何でも急すぎなんですよねぇ・・・

フィリピン人労働者の多くは田舎から都心部へ働きに出ているので 、首都圏閉鎖(出入りの制限をする)となると、 めちゃくちゃ困るんです。
軍が出動して、道路を閉鎖して検問を敷いて、 IDをチェックしたりするわけですからね。
通勤も大変。

ちなみにマニラの交通渋滞は平常時でも世界ワースト2位・・・
(ワースト1位はインドのバンガロールらしい)
通勤時には、バスや乗り合いのバン、ローカルのジープ( ジプニーって言います)などを駆使して都心部にやってきます。
帰宅ラッシュ時には、 車を待つフィリピン人が長蛇の列を作ります。
信じられないかもしれませんが、 まるでディズニーランドのアトラクション待ちのような混雑を見せますからね。(それも毎日ですよ!)
そこに来て、首都圏閉鎖でしょう?
もう大パニックですよ・・・

さらに、夜間(午後20時から午前5時)外出禁止令が出されて、 飲食店壊滅・・・みたいな(苦笑)
そしたらその数日後、政府が「やっぱ、 ルソン島全域に外出禁止令出すわ」って言い出して、 フィリピンをカオスに叩き落としたの・・・

ちなみに、ルソン島は世界で17番目に大きな島で、 日本の本州の約半分の大きさです。
そこにフィリピンの人口の約半分の5, 700万人が住んでるそうです。
その巨大な島で、生活必需品を買いに出かける以外、 外出したら駄目になりました・・・(汗)

そんな状況ですから、 IT系企業の多くはリモートワークという選択肢を考えざるを得な いわけです。
これができなきゃ即休業からの廃業ですよね・・・ マジで怖いです。

ところが、 リモートワークってちゃんと仕事してるかどうか気になりません?
普段は「ルールを守って結果出してればいいじゃん♪」 なんて言ってるくせに、いざこうなると気になるっていうね。
経営者としての器の極小さを露呈してしまったわけです。

でもね、ちょっとフィリピンのことで語らせてもらいますよ。
なんで僕が極小の器を持つに至ったか?その理由について。

土日祝日の前後になると、今まで咳もしてなかった健康なやつが「 持病の喘息で・・・」って休んで、連休を作り出します。
「日焼けが痛くてTシャツが着られないから今日は行けません・・ ・」という驚愕の理由で休むやつがいます。
次の日、「やっぱ、今日も痛くてTシャツが着られない・・・」 と、更にもう一日休む・・・

こんな状況ですから、 監視の目がない中でちゃんと仕事できるのか!?
経営者としては不安しかありませんよ。

ちなみに、リモートワークのことを、WFH(Work From Home)って言ってるんですけど、このアルファベットを見たとき、僕は、
What the Fucking Hell!
って意味だと思っちゃいましたよ・・・
まぁ、こんな状況ですからね。

さてさて、Work From Home、僕らの会社で言うところのリモート勤務って、本来・・・
「周囲の目があろうとなかろうと、関係なく、 予定通りの期日に求められる品質を満たした成果物を納めることができる人間」 だけが許される勤務体系のように思えちゃうんですよ。
監視されてないと駄目な僕やうちのフィリピン人スタッフみたいな 、克己力が少なめの人間なんて、 ダラダラやっちゃうのが目に見えてますよ。
自分に甘いやつは駄目ですね。( 自分に甘々のやつが偉そうに言うのもなんですけど・・・)

つまり、「こいつは環境に関係無くちゃんとできる」って「信用」 とか「信頼」の類が無いとリモートで仕事を任せるのも怖いんです。
(リモートに限らず仕事ってそういうもんですけど)

・・・ところで、「信用」と「信頼」 って似てるけど違いはなんでしょうね?
パッと見、似てますけど。

大辞林によれば「信用」とは・・・

(1)人の言動や物事を間違いないとして、受け入れること。
(2)間違いないとして受け入れられる、 人や物事のもつ価値や評判。
(3)〔credit〕 人が他人を信頼することによって成り立つ、 給付と反対給付との間に時間的なずれのある取引。信用取引。

・・・なるほどね。
となると・・・

土日祝日の前後のタイミングで都合よく喘息になって休んだり、 日焼けで休んだりする人の言動を「間違いない」 と受け入れることは、絶対に間違いだって思うんだよね。
まして、「日焼けが痛い」って言ってたやつが出社して来たとき、 思ったほど日焼けしてなかったときはどうしてやろうか!? ってグッと拳を握りしめたよね。

(3)については、 双方に信頼関係があることが前提ってことですよね。
仕事はまさにこれですね。

でも、よくよく考えるとですよ・・・
「給付と反対給付との間に時間的なずれのある取引」って、 スタッフにとっては、 働いた後に給料がもらえる取引ってことですよね。
今までさんざんフィリピン人スタッフが・・・ って愚痴ってきましたけど、逆の立場から考えると・・・
行ったことも無い日本って国の中小企業との雇用契約があって、 そこの経営者はピンク髪って状況が見えてくるんですよね。

・・・

・・・

ごめん・・・謝るわ。
不安しかないわ。

・・・さて、一方、「信頼」は・・・

信じて頼ること。

・・・とのこと。
すんごいシンプルですね。

「信じられる人」というのは、「信用に値する人」 と言い換えられそうです。
(※ここでは人に限らず物やサービスなども含む)
また、「頼る」というのは、 ある部分で他者に期待するわけですよね。
例えば、なにかの課題を解決してくれそうな人やサービスだ、とかね。
つまり、それが人だったら、「期待にこたえられそうな人」ってなる。
信頼と期待は比例関係にありそうですから、「 これだけの期待にこたえらるんじゃないか? って思えるだけの信用を持った人」ってなりますよね。
「信頼」をまとめると、「期待していいだけの信用を備えた人に( 期待して)頼る」ってことなのかな。

こんな風に言葉遊びしてると、 リモート勤務を気持ちよく実施するポイントが見えてきそうです。
あくまで経営者やマネージャーの側の理屈ですけどね。
リモート勤務する人間が「 期待していいだけの信用を備えているかどうか」 ってことなんでしょうね。
言ってしまえば身も蓋もない当たり前のことですけどね。
一方、彼らの視点からすれば、「信頼」 については全く別の切り口になるでしょうね。
そして、当然、会社側も彼らからの信用を得ないといけませんし、 期待にこたえないといけません。

ちなみに、現在、リモートワークをしてもらっているのですが、 大きな問題も無く業務は進行しています。
あるスタッフの家にはインターネットの環境が無いとか、 リモートワークの根底を揺るがす環境だったりしますので、 不自由さはもちろんありますけども(苦笑)
少しずつ僕からの信用は高まっている、そんな感じですね。
将来、 一定の期待にこたえてくれるんじゃないかと思えるだけの信用を得てくれるかもしれません。

ただね・・・
「あいつ、このプロジェクトで結構役に立ったよね、 ちょっと成長したわ」なんて話をしていると、 喘息で連休を創り出すという得意技をやってきたりしますから。
自分で信用のリセットボタンを押すんですよね。
そりゃあ、なかなか信用がたまっていかないわけですよ・・・(苦笑)

まぁ、今のフィリピンを見ていると、 そんなことすら平和に思える状況ですね。
フィリピンや日本だけでなく、 この状況が早く収束するのを願うばかりです。

実は、こうして記事を書いている間に、 フィリピンではホテルの営業停止が決まったりしました。
この記事が公開される頃、状況が好転していると良いのですが。

 

著者/市川 厚(いちかわ あつし)

株式会社ライオンハート 代表取締役会長
https://www.lionheart.co.jp/

LH&creatives Inc.(フィリピン法人) CEO
https://lionheart.asia/

<経歴>
三重県の陶芸家の家に生まれる。
(僕が継がなかったので、父の代で終焉を迎えることになる…)
大学時代、遅めの中二病を発症。経済学部に入ったのに、何を思ったか「ファッションデザイナーになるんや!」と思い立ち、大学を中退。アパレル企業に就職。
ところが、現実は甘くなく、全く使えない僕に業を煮やした社長から、「Webサイト作れないとクビだからな!」と言われ、泣く(T_T)パソコンの電源の付け方も知らなかったけど、気合でWebサイト制作を習得。しかし、実際のところは、言い訳ばかりで全く成長できず・・・怒られて、毎日泣く(T_T)そんな頃、「デザインにも色々ある」と改めて気づいて、広告業界へ転職、広告制作会社のデザイナーとしてのキャリアをスタート。
「今度は言い訳をしない!」と決めて仕事に没頭し、四六時中仕事していたら、黒目がめくれ上がってきて、眼科医から「失明するよ」と言われ、ビビる。2004年勤務先で出会った同僚や友人を誘って起業、有限会社ライオンハートを設立(現 株式会社ライオンハート)。ところが、創業メンバーとあっさり分裂、人間不信に。残ったメンバーと再スタート。
2014年、設立10周年を機に、創業メンバーで唯一残っていた人間を日本法人の社長にし、自身は会長になり動きやすい状態を創る。この頃からブランディングエージェンシーを名乗り始める。
2016年、フィリピン(マニラ)にITアウトソーシング企業(LH&creatives Inc.)を設立。設立準備期間から家族とともに移り住み、フィリピンで3年半を過ごす。
フィリピン人マネジメントを通して、猜疑心の塊になり、性悪説に変わる。
2019年6月、日本に帰国し、日本法人のマネジメントに復帰。社内コミュニケーションを充実させるために席替えしたり、誰も掃除しない椅子をきれいにしたり、「眠いときはしゃべった方が良いよねッ」ってスタッフに話しかけながら仕事をするなど、独自のインナー・ブランディングの理論を実験していたところ、会社の調子が上がった。そもそもブランディングってなんだ?と思っていたところに、BFIの安田さんと出会い、勝手にご縁を感じてコンサルを受けてみる。そしたら安田さんに誘われ、2020年、anote konoteに参加することに。

感想・著者への質問はこちらから