コミュ障経営者のギモン その35「こんなとき、ターゲットストロークの達人ならどうするのか?」

 このコンテンツについて

なぜこんなツマラナイものにこだわるのだろう。そういう「ちょっと変わった人」っていますよね。市川さんはまさにそういう人。でもそういう人が今の時代にはとても大事。なぜなら一見ビジネスになんの関係もなさそうな、絶対にお金にならなそうなものが、価値を生み出す時代だから。凝り固まった自分の頭をほぐすために、ぜひ一度(騙されたと思って)市川ワールドへ足を踏み入れてみてください。

こんなとき、ターゲットストロークの達人ならどうするのか?

先日、すごい久しぶりに家族以外と外食したんです。
先輩が訪ねてきてくれたので、居酒屋さんに行ったんですけどね。
外出を控えてる方もまだ多くて、僕が住む名古屋の歓楽街は閑散としていました。
居酒屋さんも一定間隔を空けて座るなどコロナ予防対策をこうじていたのもあって、店内は満席だとしても何だか寂しい雰囲気でした。

そのお会計のときです。
カウンター席だったんですけど、伝票を持ってきた大将が小さい声で・・・

「俳優さんかなんかですか?」

って聞いてきたんですよ。
「何言ってるんだこの人は!?」って思ったんですけど、よく考えたら、僕、いい歳して髪の毛ピンクでしょ?
きっと、普通の社会人じゃないって思ったんでしょうね。
興味もあって(あと暇だったから)聞いたんだと思うんです。
でも、「あれぇ?オーラかなんかでわかっちゃいました♪」って嘘は言えませんから、

「いや・・・あのぉ、たたの派手なおじさんです、すいません・・・(恥)」

って真実を告げることになるんですけどね。
この告白はこれで結構悲しいものがあるんですよね。
「じゃあ、あんた、ピンクの頭して何やってんの?いい大人でしょ!?」ってね(T_T)うぅ…

ところでこの類の会話、例えば、「有名人の◯◯さんに似てますよね」のようなものって言われて嬉しいのでしょうかね?

前述の僕のケースでは、大将がどの類の俳優さんを思い浮かべたかはわかりませんけど、ピンクの髪ですからね、なんか手放しで喜べないというか・・・
なので、やっぱり、その似てるとされる「◯◯さん」にもよるんじゃないか?ってなりますよね。

例えば、最近、ご結婚が発表された石原さとみさん。
男性目線から見たら、すごい可愛い、きれいな方ですよ。
では、「石原さとみさんに似てますよね」って、女性が言われたらどう思うのか?
「あれ、やっぱりそう思います!?」って答える人っていませんよね、きっと。
もちろんそう返しても文句が言えないほどの美貌の持ち主もいらっしゃるとは思いますけども。
仮に、ちょっと意識していたとしたら、嬉しく感じるかもしれませんが、逆に「恐れ多い」という感じになるかもしれませんよね。
また、邪推してしまって、「嫌味を言わないで!」ってなるかもしれませんよね。(きっと辛い思いをしてきたんでしょう・・・)
もちろん、そう言われるのは嫌だという方もいるでしょうね。
石原さとみさんから感じる印象が、その女性が与えたい印象と異なる場合とかね。

ちなみに、弊社の女性スタッフに「石原さとみに似てるって言われたらどう思う?」って聞いたんです。
そしたら、「うーん、あんまりうれしくないかもですね」って言うんですよ。
「え!?言うねぇーw」って突っ込みましたよ。
「それ言われるなら、◯◯さんのが私は嬉しいですね」って別の女優さんを例にあげてきたんです。
まぁ、その女優さんも「え!?言うねぇーw欲しがるねーw」って突っ込みたくなるほどの方でしたけど。
なんとかハラスメントに抵触しそうなやり取りですが、僕の髪の色を見て、トロール人形の画像を社内チャットで流してくるスタッフなのでお互い様なんです。
(創業者の会長とアルバイトスタッフの距離が異常に近い会社です)

ところで、この手の会話に正解ってあるんでしょうかね?
正解を定義しないと測れないケースかもしれませんね。
例えば、この場合の正解は、「相手がポジティブな感情になる(喜ぶ、満更でもない様子になるとか)」ってするとか。
ただ、この場合にしても絶妙な着地点の見極めはかなり難しいですよ。
だって、「痩せている」「背が高い」という一見ポジティブなキーワードでも、人によってはNGになりえますからね。

例えば、僕は「天才」って存在に憧れるんですが、いざ言われると、そりゃもう全否定したくなるんですよね。
たまに「あの人天才だから」とか、いい加減な紹介をする人が居るんですよ。
初めましてからの、「市川さん、天才って聞いてますよ」とか言い出すから、紹介者の方に「何ハードル上げてくれてるんじゃ、ボケェ!ふざけんじゃねーぞ!」って心の中で叫びますよ。
ただ、そう言う割に「そこそこ賢いですね」とかって言われたら、それはそれで、なんかカチンとくる自分がいると思うんです。
では、「もう一歩で天才ですよねぇ、いやぁ、惜しいなぁ」という着地点ならどうか?
・・・なんか、涙目になりますよね。

そもそも、自分のことでも最適な着地点を探すのが難しいのに、「◯◯に似てますね」という表現を使って、相手をポジティブな気持ちにさせるって不可能に近いんじゃないか!?って思えてきますよね。
つまり、ターゲットストローク的な考え方だと・・・
そのとき相手が最も欲しがっている承認を、「◯◯に似ている」という表現を使って与える
・・・ってことですからね。

ところで、石原さとみさんは、旦那さんがテレワークしている姿に好感をもったって言ってるみたいですね。
その旦那さん、石原さとみが隣りに居てもまともに仕事できる克己力を持ってる鉄人ですよね。驚愕です。
あと、そのとき打ち合わせしていた相手の側からすると、「あのとき、隣に石原さとみが居たのかよ!?ふざけんじゃねーぞ!」という気持ちになりますね。
不思議ですね、かすりもしないくらいに当事者から遠い存在の僕ですが、なんだか腹が立ってきましたよ。

 

著者/市川 厚(いちかわ あつし)

株式会社ライオンハート 代表取締役会長
https://www.lionheart.co.jp/

LH&creatives Inc.(フィリピン法人) CEO
https://lionheart.asia/

<経歴>
三重県の陶芸家の家に生まれる。
(僕が継がなかったので、父の代で終焉を迎えることになる…)
大学時代、遅めの中二病を発症。経済学部に入ったのに、何を思ったか「ファッションデザイナーになるんや!」と思い立ち、大学を中退。アパレル企業に就職。
ところが、現実は甘くなく、全く使えない僕に業を煮やした社長から、「Webサイト作れないとクビだからな!」と言われ、泣く(T_T)パソコンの電源の付け方も知らなかったけど、気合でWebサイト制作を習得。しかし、実際のところは、言い訳ばかりで全く成長できず・・・怒られて、毎日泣く(T_T)そんな頃、「デザインにも色々ある」と改めて気づいて、広告業界へ転職、広告制作会社のデザイナーとしてのキャリアをスタート。
「今度は言い訳をしない!」と決めて仕事に没頭し、四六時中仕事していたら、黒目がめくれ上がってきて、眼科医から「失明するよ」と言われ、ビビる。2004年勤務先で出会った同僚や友人を誘って起業、有限会社ライオンハートを設立(現 株式会社ライオンハート)。ところが、創業メンバーとあっさり分裂、人間不信に。残ったメンバーと再スタート。
2014年、設立10周年を機に、創業メンバーで唯一残っていた人間を日本法人の社長にし、自身は会長になり動きやすい状態を創る。この頃からブランディングエージェンシーを名乗り始める。
2016年、フィリピン(マニラ)にITアウトソーシング企業(LH&creatives Inc.)を設立。設立準備期間から家族とともに移り住み、フィリピンで3年半を過ごす。
フィリピン人マネジメントを通して、猜疑心の塊になり、性悪説に変わる。
2019年6月、日本に帰国し、日本法人のマネジメントに復帰。社内コミュニケーションを充実させるために席替えしたり、誰も掃除しない椅子をきれいにしたり、「眠いときはしゃべった方が良いよねッ」ってスタッフに話しかけながら仕事をするなど、独自のインナー・ブランディングの理論を実験していたところ、会社の調子が上がった。そもそもブランディングってなんだ?と思っていたところに、BFIの安田さんと出会い、勝手にご縁を感じてコンサルを受けてみる。そしたら安田さんに誘われ、2020年、anote konoteに参加することに。

感想・著者への質問はこちらから