【読むPodcast | マネトレ67】「コロナ対策。出口戦略の清算と破産」第177回

コロナ禍で対策すべき税務シリーズ3回目。今回は出口戦略の選択肢として法人の精算にも迫ります。(音声はこちらから。2020/5/1配信)

円道

こんにちは。円道一樹です。大久保圭太の財務アタマを鍛えるラジオ~マネトレ~。大久保先生、よろしくお願いいたします。

大久保

お願いしまーす。

円道

コロナがらみ3回目、いこうと思うんですけど。

大久保

もう与太はさせない勢いだね(笑)

円道

はいはい。もう与太は今回いらないから。

大久保

いや、でも、ちょっとさ、不要不急の外出、緊急事態宣言が発令された次の日かな、犬散歩してるババアが3人ぐらいでいるの。このやろうと思って。

円道

(笑)

大久保

まあいいやと思って、そしたらさ、信号待ってたらミドリムシいるじゃん?駐車違反取り締まる。

円道

ああ。ミドリムシ(笑)

大久保

なんて言うの?あれ。ミドリのオジサン?(笑)

円道

(笑)

大久保

ミドリムシじゃないの?あれ。アイツいるんだよね。「おまえ不要不急だろ」って思わない?俺聞いた、ムカついて。「不要不急じゃないっすか?いま駐車違反取り締まる

って」「いや、でも法律なんで」みたいに言ってて。「いや、でもさ、いま3密避けるために車で移動してる人もいるんじゃないっすかね」みたいな、「あなたたちウロウロしないほうがいいんじゃないっすか?」って一応言っといたよ。

円道

(笑)

大久保

あいつら嫌いなんだよ、やっぱね。いやホントにさ、おかしいだろ(笑)

円道

そんな不思議なことが起きてるんですね、東京は。

大久保

東京おかしいよね(笑)。そう、「3密」っていうと「壇蜜」を思い出すよね。どうでもいい話だけどね(笑)。思い出さない?俺だけか

円道

それ、はじめて気づきましたね。

大久保

あ、ホント?壇蜜を思い出した。懐かしいなあって(笑)

円道

どうでもいい(笑)。そうですよね、壇蜜ってもう「懐かしい」って感じになっちゃいます。

大久保

壇蜜って何してるんだろうね、いま。

円道

なんかエッセイストみたいなイメージですけど。

大久保

ふーん。まあいいや(笑)。たまには与太入れないとさ。

円道

なるほど。ま、ということで……

大久保

(笑)

円道

今回の回はコロナのあれですよ。出口。でもどうなんですか、実際の出口って、いまどう考えればいいんですか?

大久保

実際の出口?まあ、当面M&Aは多分買い叩かれるよね、収益下がってれば。

円道

ああ、そうですよね。

大久保

これで上がってったらね、また違うんだろうけど、一般的には厳しいのかなと思ってるけど。そうね、やっぱり清算はちょっと視野だよね。

円道

うんうん。

大久保

で、ビジネスが今後復活しないみたいな、あと、借り入れが少ないとかいうときに、赤字を……その場合の相談を受けたときに、「続けます?」って聞くもんね、まず。出口はいままでなんでしょうって、IPOとかM&Aとかじゃん。「これ、やります?」ってなって。逆に借り入れとかしてない場合に……でもやっぱね、なんか……

円道

そうかそうか。

大久保

そうそう。だから、たとえば知り合いとかに借りてて、相談あって、金融機関に借りてなくて「借りたいです」みたいに来て、「これ、マジで今後続けます?」って聞くもんね、まず。

円道

なるほどね。

大久保

たとえば借り入れがなくて、「でも調達したいです」みたいに来るときに、この事業ホントに続くのかっていうことの検証、悪くなったから借りなきゃ間に合いませんと。調達バンバンしてから行くしかない部分もあるんだけど、そうじゃない場合に、たとえば飲食1店舗目を始めたばっかりとかだったら、それが借り入れだいたいしてるけど、してない子とかたまにいて。転貸でやってるから。「それやめたら?」みたいな感じ。

円道

なるほどね。

大久保

とは破産もあるよね。「1回つぶしたら?」っていうのもね。

円道

ああ。

大久保

そんで、やっぱりやってて思うのは、これさ、個人事業主と法人、要は法人化してるかしてないかって、消費税がどうとか何とかって話だけど、やっぱり、こういうときに法人格があると、連帯保証してなきゃつぶせるじゃん。なんていうの、もうちょっと丁寧に……

円道

なるほど。ああ、そうか。丁寧に一応言いましょうか、じゃあ。

大久保

契約主体は法人だから、連帯保証人さえ入ってなければ、たとえば家賃払えなくなったとかいうときに、法人破産したらチャラじゃん、ある意味。

円道

いったん終わりですもんね。

大久保

そう。「個人とかでちっちゃくやってるからいいんです」っていっても、とはいっても、ここまでひどい状態になってくると……。で、個人の場合は個人で契約だから、そのまんま個人に来るからね。っていうことを考えると、やっぱ、自分の身を守るという意味での人格を分けるということは、もう1回考えたほうがいいだろうね。

円道

ああ。でも、「いまから」ってわけにはいかないですもんね。だから、「学びとして」っていうとこに近いんですか?あと、「新しくやるなら」とか。

大久保

でも、こっからだって、また生きていかなきゃいけないわけだから、いまやってる個人事業のやつを法人契約に移すとか。

円道

ああ。

大久保

法人成りしたらできるじゃん。まあ、もしかしたらホントにつぶす直前にそうやって……でも、まいちゃったらまいちゃったもん勝ちだからね。法人破産して、法人が最後飛ばすと。

円道

うーん(笑)

大久保

あとは、いま連帯保証人がない借り入れも結構多いから、コロナ関連はね、このへんはもしかしたら最終的に法人破産をするということも出てくるかもしれないし。いま、でも、実際どうにもならないっていうところで破産は出るよね。難しくて、飲食店とかで、日銭は入ってくるんだけど、やっぱりコロナが出たクラスターの近くとかっていうのは売上激減するわけだよね。

円道

うんうん。

大久保

そうすると想定以上に……。俺、スタッフに怒って、このぐらいで来てたのに急にぜんぜん数字違うから、「おまえ間違ってたろ資金繰り、このやろう」みたいに言ったら、「いや、ホントにそんな落ちたんです」みたいな。「なんでいままで3割減なのが7割減なんだよ」みたいな、急に状況が変わっちゃって。それこそ、いま店閉めに行ってみたいな、そんな話だよね。

円道

でも、やっぱリアルにそこまで……まあ、そりゃそうですよね。

大久保

で、予納金と弁護士費用をだいたい確保してないと、破産もできない。破産ってさ、債務免除なわけだよね、当たり前だけど。債務免除なので、そこに持っていくにも、やっぱお金がないとやってくれないわけだよね、裁判所も。

円道

その話、どんな感じなんですか?具体的に。

大久保

だって、裁判所だって「不要不急の破産するな」って言ってるからね。「不要不急じゃない破産ってなんだよ」みたいな。まあ、そういうのもあるんだけど。「いまじゃなくてもいいでしょ」みたいなのはあるんだけど。

円道

へぇ~。

大久保

弁護士怒ってたよ。だって、司法は独立してるのに、なぜ行政が非常事態出したからって、「期日ぜんぶ解除で」みたいな話で。そうしたらね、「裁判を受ける権利が憲法であるんだから、それも認められないじゃねえか」みたいな話で、すげえキレてたけど。某M弁護士がね。「まあ、たしかにな」って。

円道

はいはいはい(笑)

大久保

(笑)。いや、でも、本当にそういう弁護士さんたちといま連携してやってるけど。それこそ日繰りの資金繰り、いつ飛ばすのかだよね。あんま、こんな話していいのかな。

円道

いやぁ、ここの話、いまこそ必要っすからね。

大久保

でも、そういう意味じゃ、弁護士さんに相談したらできないこととか、いろいろあったりとかするので、先にある程度僕らがやって、資金繰りでいつキャッシュが……特に飲食店の場合って、飲食店じゃなくても、日銭が入ってくるケースって、お金は支払いをしなければ増えていくんだよね。

円道

うんうんうん。

大久保

で、だいたい社長はみんな「社員には払いたい」って言うから、社員に払ったあとぐらいに弁護士に、ちゃんと予納金を残して持っていくと。だから、その資金繰りの計算、結構難しいというか、ギリギリの場合は払えないケースが多いんだけど、社員に対して、たとえば末締めの15払いだったら、15には払って弁護士持ち込んで、弁護士が受任通知って送るんだよね、債権者に。だから、そのあたりから債権者のリストをまとめなきゃいけないんだけど、誰に送るかをまとめて一斉に発送する。100通200通送るんで。そうすると、支払いがされない、要するに受任通知を、たとえば店閉めた、「やめます」って決めた日から支払い期日が来るまでの間に受任通知を送んなきゃいけない。

円道

払っておかなきゃいけないのか。

大久保

ん?払っておく??……いや、「払いたいとこは払っとく」って言い方は変だけど、偏頗(へんぱ)弁済はダメなんだけど、たとえば給料が15です、25が業者ですっていったら給料は払えるじゃん。

円道

うんうん。

大久保

要するに期日より前に払っちゃダメだから。だから、この間に弁護士さんと債権者リストをつくって、受任通知をつくってもらって、25に向こうに到達するように。要するに、25に引き落としができなくても文句を言われない状態にならないと社長のとこに来るじゃん、「なんで落ちてないんだ」って。

円道

はいはい。

大久保

それは大変じゃん?だから、そういうスケジュール感でやるんだけど。そうすると何が難しいかって、普通に考えたらいいんだけど、「社員にどれだけ残してあげるか」みたいなことを考え出すじゃない?

円道

うんうん。

大久保

そうすると、末締めの翌15払いだと、15日間タダ働きになっちゃうんだよね。

円道

ああ、なるほど。

大久保

これは未払い賃金だから、労基署行けば6割ぐらい出てくるのかな。っていうのもあるんだけど、ただ、生活もあるから。ホントはできれば解雇予告手当、1か月前のやつを払ってあげたりとかするのができるかどうかみたいな。それか一律みたいな。それも弁護士さんが入っちゃうと、やっぱり「正しくなんとかやれ」みたいな。まあ、もちろん正しくやらなきゃいけないんだけど、「最後に、解雇予告1か月払えないけど、みんな10万ずつ払いました」みたいな、それ怒るか?みたいなところもあったりして。まあ、あんまり言うと「よくない」って言われるかもしれないけど、ただ、がんばってくれる社員にちょっとでも払いたいって思いはあるし、実際にその債務はあるわけだから。一応、労働債権って上から2番目っていうか、税金と社会保険とか公的なものがいちばん優先されて、次に労働債権が優先されて、最後に一般債権なんで。ある程度優先される債権なんで、そこまで言われないというか。税金とか未納で払えなかったりしたら言われるかもしれないけど、税金は破産しても残るからね。税金は破産しても免除されないんだよ。

円道

税金だけは?

大久保

うん。そうなんだよね。重たいよね。でも、税を払わなきゃいけないぐらいの利益とか消費税とかあったら、ってことだろうから。厳密に言うと第二次納税義務っていって……まあ、もう分からない話になっちゃうからいいか。まあ、「社長がそれを持って逃げた」みたいなときに免除されない、みたいな。

円道

ふーん。

大久保

みたいな感じじゃない?シーンとしちゃったね(笑)

円道

実際に債務免除の手続きって、具体的な費用感ってどのぐらいかかるんですか?

大久保

負債総額によるよね。予納金と同額ぐらい弁護士報酬がかかるみたいなイメージ。

円道

予納金の倍?

大久保

予納金と同額ぐらいじゃない?

円道

あ、そんな払うんですね。

大久保

ただ、どっちがやるかって、結局、残ったお金をぜんぶ弁護士預かりにしちゃって、弁護士も整理しないで破産の申立てをしてもいいの。そうすると、裁判所側の管財人っていう弁護士が処理をするの、あとは。でも、管財人だとぜんぜん知らない人とか、ある意味融通がまったく利……あ、ごめん、利かせちゃいけないのか(笑)。だけど、「知ってる人のほうがやりやすいよね」っていうので、ある程度持ち込んだ弁護士さんに整理してもらって、状況を整理してから裁判所に持ち込むっていうと、弁護士費用のほうが多くなる。ただ、そこで弁護士に預けたお金は1円も自分のとこに入ってこないんで。だから、結構、それこそ破産のときは「何を守るか」なんだよ。きれい事じゃなくて、「いや、社員に」とかいって、「じゃあ社長は払わなくていいですか」「それは困ります」「どうします?どっち優先ですか?」みたいな。で、「社長です」って言ったら、「それはそれでいいです」って。何も倫理的な話はしてないから、っていう話じゃん。

円道

キメの話なんですね。

大久保

キメの話だし、経営者とその家族を守るっていう話だから、俺らの商売は。それでも、犠牲にしてでも、まあ、いままで蓄えが……蓄えあったら取られちゃうんだけどさ(笑)うまくそういう準備ができたから社員に最後払ってあげたいならそうするし。まあ、そのへんはもうキメの問題だよね。きれい事言ってる場合じゃないから。それを間違えられちゃうと、間違えちゃうね。最後の出口は、そのへんは結構シビアだね。

円道

なるほどっすね。いまの話聞いて「破産のやり方わかりました」ってことじゃないんですけど……

大久保

でも、何を残したいかって、「お店を残したい」「業種を残したい」「社員を残したい」とか、自分は破産してもね、そういうことを、どういう方向なら残せるかとか、そういうのを考えていくし、法人として箱がダメになったとしても、少しでも何か残せるもんがないのかみたいな。合法の範囲で、もちろん。っていうのをやっていくよね。

円道

っていうことですね。今回はあえて出口として、そっちのほうもひとつ視野に入れるっていうのが大事かなっていうことでやってみたんですが。まあ、あんまりこのコンテンツ、今後出ることがないようにしたいとこですけど。

大久保

(笑)。でも、債務免除だから。

円道

ああ、そういう意味ですね。変に思うなってことですね。

大久保

そうそう。しょうがない(笑)

円道

法的な話ですもんね。合法ですもんね。

大久保

そうだよ、もちろん。でも、ギリギリまで行っていちばん怖いのは、やるだけやるっていって、予納金もなくて、弁護士にも頼めずに債務免除できない。ずっと、そういう意味で債権者に追われる。まあ、これが普通の民間の金融機関ならいいけど、変な話、消費者金融とか、もっとヤバい人たちだったら、ずっと追い回されるから気をつけたいいよねっていう。

円道

ことですね。

大久保

マジメだねぇ(笑)

円道

ということで3回にわたってやってまいりましたが、しばらく、ホントにいろんな情報が変わりまくってるんで、定期的に……。あと、今日の収録が4月の中頃にしてるので、新しい情報がいろいろあるかもしれませんので、なるべく今回のやつは早めに出しつつ、最新情報はそれぞれみなさん、ぜひ追ってみてください。

大久保

はい。

円道

ということで、いったん今日は終わりたいと思います。大久保先生、ありがとうございました!

大久保

ありがとうございまーす。

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