ネットの履歴書
第14回『悪気のない裏切り』

株式会社ソルナが開発した究極の履歴書。それがネットの履歴書』これまでの履歴書や職務経歴書とは何が違うのか。なぜ究極と言えるのか。その秘密に迫ります。

小さなブルーオーシャンを追え
〜ネットの履歴書〜

第14回『悪気のない裏切り』

 

安田

社員さんに「SNSをやるな」って言えない時代になってきましたね。

三澤

だいたい宣言せずにやってますよね、みなさん。

安田

SNSを会社が禁止することって、法的には可能なんですか?

三澤

法的には無理でしょうね。だから「会社名を出すな」ってところが多いです。

安田

そうなってきますよね。どんなリスクがあるか分からないし。

三澤

はい。会社名出すと、やっぱりいろんなトラブルに引っかかってくるので。

安田

特に厳しい業界とかってあるんですか?

三澤

監査法人さんとかはそうですね。

安田

普通の会社よりも「リテラシーが高くないとまずい」ってことですか。

三澤

そうだと思います。やっちゃいけないことも普通の会社より多い。

安田

たとえば?

三澤

社名を出したりとか「いま、どこそこに来てます」とか、「どこそこのご飯がおいしい」とか。

安田

え?「ご飯がおいしい」もダメなんですか?

三澤

監査先だったらNGですね。

安田

監査先じゃなかったらOKなんですか?

三澤

だったらOKなんですけど。取引先って何千社何万社もあるので。

安田

自分が担当してなくても、会社として取引してるところはダメってことですか?

三澤

そうなんです。会社としてダメなんです。

安田

でもそれだけ多いと、どこが監査先か分からないですよね?

三澤

はい。だから基本的に全部ダメなんです。

安田

「今日のお昼ご飯おいしかった」ってつぶやくのもダメ?

三澤

「セブンの新しいお弁当おいしかった」みたいなのはダメ。

安田

ダメなんですか?

三澤

もしセブンが監査先であったらダメです。

安田

どうして?

三澤

それによってセブンの株価が変わったりする可能性があるから。

安田

それが情報操作みたいになるってことですか?

三澤

そうです。共謀マーケティングになっちゃいます。

安田

へぇ。そういう条項があるわけですか。

三澤

そうなんです。加担したらいけない。

安田

厳しいですね。

三澤

とにかくニュートラルな状態、フラットな状態で仕事しなきゃいけない。

安田

でも、社員としての時間もあるんでしょうけど、個人としてのプライベートな時間もあるわけじゃないですか。

三澤

そうなんですよ。だから調査の依頼が来ることもあります。

安田

それはどういう調査なんですか?

三澤

言っちゃいけないことを「言っちゃてる」人の名前を特定する調査。

安田

特定してどうするんですか?クビ?

三澤

いえ本人は悪気ないので、出てきたら「だめだよ」って注意する。監査先全部は覚えられないので。

安田

なるほど。じゃあ知らず知らず、悪気なく書いてて、「実はそれダメなんだよ」って注意するためにチェックすると。

三澤

そうです。

安田

それは何ていうサービスなんですか?

三澤

「個人のSNS監視」としか今は言ってないです。ウチもやったことのない、まったく新しいサービスなので。

安田

それは、本名じゃなかったらOKなんですか?

三澤

本名じゃないのも一応、見つかった範囲ではチェックしてます。

安田

どこでバレるか、分からないですもんね。

三澤

はい。

安田

でも、どうなんですか。監査法人に今いる人って、年齢によってはリテラシーがめちゃくちゃ低い人とかもいるんじゃないですか。

三澤

はい。たくさんいると思いますね。

安田

一切「SNSに触れるな」みたいに言うか、それかリテラシー高めていくか、どちらかしかないですよね。

三澤

そうなんですよ。

安田

どっちの方向に行くんですか?今までは「禁止!」という方向でしたけど。

三澤

禁止するのは難しいと思います。

安田

ですよね。じゃあ、やっぱり「禁止」よりは「監視」ですか。

三澤

たとえば銀行は、「やるな」っていうルールが徹底されてます。

安田

「やるな」って言って、やらないもんですか。

三澤

R銀行で一度すごい問題になったのは、銀行の人じゃなく、その娘がやった時。

安田

それは、どういう内容ですか?

三澤

お母さんが芸能人の免許証のコピーを持って帰って、娘に「はい」ってあげてたっていう。

安田

なるほど。それはいかんですね。

三澤

で、娘がそれをツイッター上で言っちゃった。

安田

え!それで、どうなったんですか?

三澤

もう大騒ぎになって、頭取の予定まで変更させて、緊急会議だったそうです。お母さんは当然クビに。

安田

それだけじゃ済まなかった?

三澤

お父さんもいたんですよ。同じ銀行に。

安田

なんと!

三澤

お母さんは派遣でそこにいたんですけど、お父さんは正行員で。

安田

じゃあ、お父さんの出世はもうダメですよね。

三澤

ですね。結局退職したと聞きましたよ。

安田

おお!娘も辛いですね。たぶん悪気なく書いちゃったんでしょうね。

三澤

はい。悪気がないから書いちゃうんですよ。

安田

他にもそういう事件はあるんですか?

三澤

「某人気アイドルがうちのお父さんの美容整形に来たよ」みたいな。

安田

書いちゃったんですか?

三澤

もうそんなのは、べつに珍しくも何ともない。

安田

恐ろしい。家族にも迂闊にしゃべれませんね。

三澤

大人が家で言わないようにするか、ちゃんと教えるしかないです。

安田

「今日芸能人来た」とか、雑談で言えない時代ですね。

三澤

そうなんですよ。結局、その子がつぶやかなくても、「その子に聞いた」っていう友達がつぶやいたら一緒のことなんで。

安田

そうですよね。伝言ゲームみたいなもんで、誰かはつぶやきますよね。

三澤

それぐらい発信者の力が強くなってるんですよ。昔はせいぜい数名で終わったのが、今は国内どころか世界中に広まる。

安田

また、そういう仲間内にちょろっと書いたのを、わざわざ見つけにいく人がいるんですよね。

三澤

いるんですよ。あと、グループの中だけでやってるつもりが、実は全部外に発信されてたっていうのもあります。

安田

そんなこともあるんですか。

三澤

友達とだけやり取りしてる気分で書いちゃう。でも世界中にダダ漏れ見たいな。

安田

恐ろしいですね。

・・・次回へ続く・・・

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