其の六十 消しゴムってなに?

イノベーションカードが知らせる

本日の斬り口:そこが本当にゴール?
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消しゴムは
鉛筆の字を
消すために
登場した。

消しゴムが
登場する前は

パン

がその役目を
担っていた。
パンといっても、
バターや
生クリームが
生地に混ぜてある

高級食パン

ではない。
活躍するのは

安いパン

でござる。
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O・ヘンリーの短編で

魔女のパン

という作品がある。
こんなストーリーだ。

小さなパン屋を営む
マーサが、
いつも古いパンしか
買っていかない男は

芸術家だわ

と、ちょっと恋心を抱き、
貧しい食卓の彼を
喜ばせようと思って、
固くなったパンに、
こっそりパターを挟んだ。

喜んでくれるかしら

と思ったが、
その男が
怒鳴り込んできた。

おまえのせいでめちゃくちゃだ!

彼は建築事務所で
働いており、
コンペに必要な
製図を仕上げてた。

パンはその下書きの
鉛筆の線を
消すためのものだった。

バターで製図は
めちゃくちゃになって
しまったのだ。

マーサの妄想と
ちょっとした親切心から
消しゴムの
役割を果たさない
パンになっていた。

というわけだが、
この話を読むたびに

パンの重みも
違っていたろーし、
匂いがしただろー
袋から出すときに
高級バターのさー

と野性なパンダ侍は
思ったものでござるよ。

まっ、それは置いといて、
男に怒鳴られたマーサは
自分の妄想が崩れ、

妄想が編み出したことを
消してしまいたかったろう。
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と、それは
置いておいて、
と置いておいてばかりだが、

消す

ということは
間違ったことや
余計なことを

無いものにする

ということでもある。

消しゴムは

書き間違え

余分な線

などを消すという
役割がある。

消すといっても
本当に

無くす

ことはできない。
それは

消しくず

として、
存在し続ける。

鉛筆で書いた場合、
書いた黒鉛が
ゴムに付着する。

消したものは
消しクズに

移った

に過ぎない。

形体を変えながらも
以前として、
そこに存在し
消えたと思っていることを
保持している。

本当には
消していないのだ。

拙者たちも

消し去りたい過去

という記憶が
ひとつやふたつあるが、

それは、本当に
消すことはできない。

姿、形を変えて
ずっとどこかに
留まっているのでござる。

消したい

と思うことは
執着であり、

消した

と思っていても
それは

消えたつもり

であって、
形を変え、
この世に
巣くっている。
拙者たちは、

形を変えること

で、消去したと
思い込んでいる
だけなのでござる。
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ってことで
消しゴムとは鉛筆とセットの文房具ではない。

消しゴムとは

消すとは形を変えること、を教えてくれる存在

でござる。

拙者、思考の足跡を残すため、消しゴムは使わないでござるよ。

 


パンダ侍のプロフィール

あまりの弱さに
天敵に追われ、
争いを避けて、
しぶしぶ笹を食べ始める。
しだいに美味しく
感じれらるようになり、
肉食であるにもかかわらず、
肉をまずく感じるようになった
熊を先祖に持つ。

育ての先生の
気まぐれから、

こやつは笹薮から
世間に出してみよう

ということで、
草むらを転がり、
川のせせらぎをまたぎ、
欄干をスキップして、
東京に生息。

ある日、笹かまを食べ、

こ、これは笹ではない

と、その驚きで、ほっぺが落ち、
その衝撃で震えがとまらなくなり、
その震えから膝ががくっと落ちた、
その瞬間、

本質を見定めよ。

と天啓をうける。

それ以来、
本人の意思とは関係なく
白いしっぽが
陰陽太極図となり
白黒混ざり合う世の中で、
そもそもを斬ることになる。

腰に非常食の竹笹を
さしていたところ、

侍だったんですねー。

と、たまたま勘違いされ、
パンダ侍と
呼ばれるようになり、
現在に至る。

 

 

生息地:世田谷区界隈ときどき旅
職業:パンダ侍
特技:白黒和合流そもそも斬
苦手:常識、規則、喧騒、争い
好物:笹かま
信条:昼寝と愉快を選ぶ

執筆者:小野裕子

食べること、人間観察、木彫を修行とし、
愛と誠と調和、そしてユーモアを信条とし、
対話によって内発と創発を起こす現場づくりを得意とし、
中小企業の理念づくりやブランディング、新規事業開発を通じた組織変容、
また、経営者の自己変容セッションを生業にしている。
日本大学大学院藝術学研究科修士課程修了後、
企画・コンテンツ開発会社で企画ディレクションを経験後、2006年、株式会社つくるひとを創業。
売上高2億~7,700億円規模の組織、業種業態を問わず、創業以来780を超えるプロジェクトを経験。
10年間でのべ3万人の現場会議を中心に据え、対話型の課題解決に関わる。
現場プロジェクトメンバーの個人成長と集団組織の変容を
常に後押しするプロジェクト型のコンサルティングスタイルを貫き、「考え方」や「対話デザイン」を修得してもらいながら、実際の課題解決をすすめる。
幼いときは宇宙人、変人と、揶揄され、学校社会になじめないまま成長したが、実社会では「変人視点」が求められることが増え続け、重宝されている。

ツクリビト株式会社 代表取締役
デキル。株式会社 代表取締役
一社)一般社団法人ビーイング・バリュー協会 理事/マスターコンサルタント

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