【読むPodcast | ゲリラマーケティング】「ブラック企業と、そうでない企業の境目は?」2018年4月18日配信

第288回「ブラック企業と、そうでない企業の境目は?」
成長期の会社には、ある程度のブラックは必要じゃないか、という質問者さん。安田の回答はいかに・・・
栃尾

こんにちは。安田佳生のゲリラマーケティング。ナビゲーターの栃尾江美です。

金子

最近、前の職場の同僚や付き合いのあるエリートさんたちから花見や麻雀のお誘いがあり、とても嬉しいですが、麻雀ができないことを言えずにいます。金子亜佑美です。

安田

安田佳生です。

栃尾

今回はこんな質問をいただいております。30代・ディレクター兼デザイナーさんです。ちょっと長いです。いつも楽しく拝聴しております。前番組からのファンですが、初めてメールさせていただきました。安田さん独自の深い思考、栃尾さんの冷静でシンプルなまとめ、金子さんの面白発言で毎週通勤時に楽しませていただいています。質問です、ブラック企業とそうでない企業の境目は何だと思いますか?また、ブラック企業では個人の成長は難しいでしょうか?私は地方の上場企業に勤務しており、販促制作や企画を担当しております。デザイン職ということもあり、仕事柄徹夜や長時間労働は当たり前の中で、それを苦とはあまり感じません、年齢の面ではしんどくなってきましたが…。私が所属する部署は他の部署からちょっと引かれるくらいの仕事量(3、4人分の仕事量?)と、関わりたくないと思われるほどあらゆる制作に拘りが強く、社内では特殊な部署です。しかし、実際はどこの部署よりも結果を出しており、いくつものプロジェクトが常に同時進行しています。私はここを仕切っている役員から気に入られてここの部署へ異動となったのですが、私自身も勢いがあって楽しいこの役員を尊敬しており、この人のためにも頑張りたいと思っています。ただ、ここの部署だけ深夜労働に残業代がつかないばかりか、私の場合は時間外勤務がひどいときには200時間ほどいくため、90時間を超える場合は勤務表を書き換えさせられた上に、こっぴどく叱られます。今では仕方なく18時に帰ったことにして仕事をしていますが、非常に納得がいきません。残業代が欲しいわけではなく、結果で仕事をしたいですし、自分の成長できる厳しい環境に身を置きたいとも感じています。今までは違う部署から販促デザインの制作担当として10年近く関わってきているため、おおよその状況は知っていましたし、3年で7割の人が入れ替わるほどの環境であることは知っていますが、内部に入った途端に上司の勤務状況への対応には不満を持っています。こんな部署でも成長は見込めるのでしょうか?色んなことにどんどんチャレンジしていく環境にはあるのですが、勢いのある会社というのはある程度のブラックでないと伸びないような気もします。私には見えないビジョンが役員クラスにはあるのかもしれないですし、カリスマ経営者でもあった安田さんから見てこの部署をどう感じますか?ということです。すいません、急いだ。

金子

おぉ~

安田

素晴らしい。

金子

ありがとうございます。

安田

今のは金子さんだったら15分バージョンでしたね。

栃尾

長いね(笑)

金子

そうですね。

安田

どうですか?金子さん。ブラックじゃないと人は育たないのか。

金子

いや、そんなことは。成長するかしないかは個人のことですからわかんないけど。

安田

何をもってブラックなんでしょうかね。

金子

うーん……ね(笑)

安田

一般的にはどんな感じなんですか?労働時間ですか?ブラックっていうのは。

栃尾

そうですよね。

金子

労働時間ですかね。

安田

労働内容、労働時間?

栃尾

薄給はどうなんですかね。

安田

薄給もありますよね。

金子

ハッキュウ?

栃尾

給料安い。だから、この人みたいに残業いっぱいしてんのにしてないことになっている、残業代がつかないみたいな。

金子

叱られちゃってて。

安田

残業代はなんでつかないんですかね。

金子

なんでですかね。

栃尾

つけたらすごい金額になっちゃうんですかね。

金子

ああ、そうか。

安田

でも、その分稼いでるんですよね。3、4人分の仕事量をこなしているわけで。

金子

しかも結果をどこの部署よりも出している部署にいて。

安田

だから、残業代出すと「残業させてる」ってことになって問題なんでしょうね、きっと。

金子

ああ、なるほど。

安田

今、もめてる裁量労働制にすりゃ良いんじゃないですか、まさに。

栃尾

そうですよね。

安田

やりたい人はやれば良いし、やりたくない人はやらなきゃ良いっていう。でも、今、裁量労働制は反対されてるじゃないですか、「自分に本当は決める権利なんかないんだ」みたいな。どうでしょう?栃尾先生、本人が望むんであれば働かせてやれって感じでしょうか?

栃尾

えー、どうでしょう。さっき収録前にちょっと話してたのは、楽しくてもいっぱい働き過ぎると心の病なんかになってしまうこともあるような気がします。途中から麻痺したりとか。あと、その人にやる気があるように洗脳するみたいな手法も頭の良い方はいっぱいしてると思うので。

安田

そうなんですか?

栃尾

そうなんじゃないですか?そういうふうにさせられてるっていうこともあるんじゃないかなっていうのを、私、別のポッドキャストで話したこともあって。そういうのもやっぱ問題じゃないかなとは思いますけど。

安田

ということは、本人が「苦にならない」と言ってても会社としてちゃんとコントロールしないといかんよってことですかね。

栃尾

だと思います。あと、何かの記事で読んだのは、日本はすぐ辞められる環境にないと。会社をすごく辞めにくい。

安田

なぜ?

栃尾

やっぱ転職するっていう文化がまだそんなにない、気軽に転職する文化がないので、そうするとやっぱり会社の言いなりになる人が、裁量労働制にするとそういう人が増えるんじゃないかっていうのは何かで読んで、なるほどなと思いましたけど。

安田

なるほどね。

金子

裁量労働制にすると、そういう人が増える?

栃尾

裁量労働制は金額が決まっていて、たくさん働いても給料同じってことですよね。で、普通はそれに不満があったら辞めちゃうと、アメリカとかの場合は。でも、日本では不満があってもその企業にしがみついちゃうっていうケースが多発するんではないか、と書いてあって、なるほどそうかもしれないなと思いました。

安田

「固定給決まってて、時間が任せるっていうことだったら、2時間で終わる人は2時間で帰りゃ良いじゃん」っていう言い分の人と、「そんなこと言って結局帰れるわけがないんで、いっぱい働かされるんだ」って言う人がいるわけですね。でも、どうなんですかね、ブラック企業かそうでないかっていうと、なかなか、法律の問題とかになってくるんで、切り分けるの難しいんですけど、僕がいつも違和感を感じるのは「企業」ってついてるとこなんですよね。

栃尾

なるほど。

安田

ブラックの原因が企業にあるっていうこと前提じゃないですか。たとえばね、僕みたいに個人で働いてる人……

金子

ブラック個人。

安田

そう、ブラック個人(笑)。“ブラック主婦”とかもきっとあると思うし。

栃尾

たしかに。

金子

たしかに。

安田

たとえば一人で働いてたら、じゃあ好きなことやれば良いのかっていうと、なかなかそういうわけにもいかなくて、好きなことやってる人もいるけど、会社には勤めてないけど仕方なく嫌々働いてる人もいるし。さっき「時間」っていうことを言ってましたけどね、好きなことをやってても、やっぱりある程度の労働時間で収めないとダメっていうのもたしかにあると思うんですけど、たとえ短い時間でもすごい精神的にストレスある仕事をやると病んでくると思うんですよね。逆に企業だったら、それを強要されるんだったら辞めりゃ良いのにって僕は思っちゃうんですけど、むしろ個人で自分でそういうのを選んじゃってる人は、たとえば画家とか小説家とかでも自分で好きでやってる仕事なんでしょうけど、のめり込み過ぎちゃってちょっとおかしくなっちゃったりとか、自殺しちゃったりとかする人いるじゃないですか。それもやっぱり働き方の問題。健全に1日4時間、20時間睡眠の画家とかあまり見たことないんですけど、そこは自分でコントロールをしないといけないと思うんです。どっちにしろ人間って命削って何かやってるんで、何かしら失われていくのはしようがないとは思ってるんですけど。僕はどちらかというと、職場というよりは、自分が自分に対してブラック環境を押し付けちゃってるのに、それが自分でわかってないっていうことのほうが問題な気がしちゃって。全然これの答えになってないんですけど。

金子

いや、でもわかるな、それは。たしかにそうだ。

栃尾

この方、自分で時間を減らせたら良いわけですよね、でも。

安田

そうですね。だから、成長していくためにはすごい働かないといけないって思ってるんじゃないですかね。べつに、会社にいなくても仕事できるんじゃないか、という気はしますけどね。

金子

うんうん、べつにここで働かずとも。

栃尾

辞めてもってことですか?

安田

辞めてもっていうか、家帰って仕事やっても良いし、それがブラックって言われる場合もありますけどね。やっぱり成長するための時間って絶対必要だと思うんですよね。僕は仕事だけやっていれば成長すると思わないんで、仕事じゃなくても自分の時間使って自分の成長のためにやんないといけないことは、野球で言うところの練習みたいなもんがあるんじゃないかっていう気はしますけどね。だから、ブラック企業だから育つとか、そうじゃないから育たないっていうのはあんまり関係ないような気がしますけどね。で、ブラックかどうかはやっぱり時間っていうこともあるんでしょうけど、それ以外の要素もあって、すごい自分が我慢して体とか精神に……多分、時間長い間働き過ぎると体にストレスあるんですよね。ストレスのない環境を自分で作ろうとしなかったら、いくらホワイト企業にいても一緒な気がしますけどね、僕は。

栃尾

たしかに。

金子

うん。

安田

ということで、どうしましょう、このまとめは。

栃尾

企業のせいにせず、自分でコントロールできるところはしましょうという感じですかね。

金子

勉強になります。

安田

まあ、企業のせいにせずっていうか、企業がどうこうっていうこととは関係なくブラックな人生を歩んでる人っているんで、そこをもうちょっと、ちゃんと考えたほうが良いんじゃないのかなって僕は思いますけど。ということで本日は以上です。ありがとうございました。

栃尾

ありがとうございました。

金子

ありがとうございました。


*本ぺージは、2018年4月18日、ポッドキャスト「安田佳生のゲリラマーケティング」において配信された内容です。音声はこちらから


ポッドキャスト番組「安田佳生のゲリラマーケティング」は毎週水曜日配信中。

安田佳生
境目研究家

 

 

 

栃尾江美
emitochio.net

 

 

 

金子亜祐美
プロフィールはこちらから

 

 

感想・著者への質問はこちらから