原因はいつも後付け 第65回「商売の楽しさはどこにあるのか?」

 // 本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 //
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。

《第65回》商売の楽しさはどこにあるのか?

さて、今回はちょっと商売に関する初歩的な問いについて考えてみたいと思います。
それが「商売の楽しさとはどこにあるのか?」という問い。

もちろん、この問いに対する答えは人によって様々でしょう。

ただ、多くの人の答えに含まれるであろうと私が考える答え。
それが「お金儲け」のような気がするのです。

《結果と過程》

「商売の楽しさとはお金儲けである。」
私はこの考えを否定しようとは思いません。

商売のどこに楽しさを見出すのかは人それぞれですし、お金を稼げているということは、それだけ自分のサービスを必要としてくれる人がいることの証な訳ですから。

ただ、この「商売の楽しさはお金儲けだ」と考えることの問題は、お金を稼ぐための過程を軽視してしまうことだと思うのです。

儲かっているお店を真似して自分も儲けられると期待する。
楽して儲かりそうな商売を探してみる。

こういった行為を選択してしまう人が多いのは、まさにお金を稼ぐことが目的になってしまっていることの証であり、その過程を軽視した商売がうまくいくのは難しいのではないでしょうか。

じゃあ、商売の楽しさがお金儲けじゃなければ何なのか?

これに対する私の考え。
それがお金を稼ぐための過程を楽しむこと。

自分の頭に浮かんだアイデアを少しのお金で形に変えてみる。
結果が期待通りならお金を増やし、結果が期待通りでなければ形を変えてみる。

こういった試行錯誤を繰り返しながら、自分だけの成功方法を探り続ける。

この過程にこそ商売の楽しさがあるのであり、逆に言えば、この過程を軽視して楽してお金を稼げそうな方法ばかり探している人は、商売の楽しさを味わえないということ。

《楽しむから人が集まる》

自分のアイデアを試しながらお金を稼ごうとするのか?
他店の真似をして楽にお金を稼ごうとするのか?

お金儲けが商売の楽しさだと考える人にとっては、その過程がどっちでも良いのかも知れません。

ただ私の知る限りでは、自分のアイデアを試して試行錯誤を続けるからこそ商売が楽しいのであり、楽しそうに仕事に取り組むからこそお客さんが集まってくるのだということ。

商売の楽しさはどこにあるのか?

商売においてはお金が不可欠である以上、お金儲けを考えずに商売を継続することはできません。ただ、そればかりが楽しみとなってしまった商売は、その過程を楽しむことは難しく、過程を楽しめない商売には人も集まらず、人も集まらない商売が儲かるなんてことはないと思うのです。

2012年、当時大きなチャレンジだった大型店舗の出店。
試行錯誤をしながら進んでいく過程こそが、商売の楽しさだと思うのです。

 

著者/辻本 誠(つじもと まこと)

<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計29店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。
https://tsujimotomakoto.com/

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