第57回「タバコ規制は誰のため?」

この記事について
税金や、助成金、労働法など。法律や規制は、いつの間にか変わっていきます。でもそれは社会的要請などではないのです。そこには明確な意図があります。誰が、どのような意図を持って、ルールを書き換えようとしているのか。意図を読み解けば、未来が見えてきます。

第57回「タバコ規制は誰のため?」

安田

いま東京では、どんどんタバコが吸えなくなってまして。

久野

名古屋もそうですね。

安田

いずれは世界中で「路上喫煙」「店での喫煙」はなくなっていくんでしょうか?

久野

そう思います。たとえば上海では、ほんの数カ月前まで路上でも店でも吸えたんです。けど中国政府が駄目だって言った瞬間にビタってやめた。

安田

さすが中国。すごいですね。

久野

やり方としては「通報制度」。

安田

通報制度?

久野

要は通報した人にお金がもらえる仕組み。

安田

すごい!

久野

それで一気に「吸う人がいなくなった」っていう。でも吸わないのが世界のスタンダードになりつつありますよ。

安田

海外に行くとタバコそのものの値段がすごく高いですよね?箱に肺がんの写真が貼ってあったりして。

久野

めちゃくちゃ高いですよ。「これでも吸うのか!」って感じ。

安田

日本はまだまだですよね。やっぱり税収のことを考えてるんですか?

久野

税収というよりも利権ですね。それに紐付いてる人たちがめちゃめちゃいるので。

安田

たばこ議員とか。

久野

法令としては2020年4月に、オリンピックに合わせて改正健康増進法っていうのが施行されまして、飲食店で原則禁煙になります。

安田

従業員を雇ってる店は駄目ってことでしたよね。あと10坪以上だったら駄目。

久野

そうです。

安田

でも路上も駄目なんでしょ?どこで吸うんですか。

久野

どこで吸うんでしょうね。

安田

家では「吸っちゃいけない」って家族に言われて、ベランダでも吸えなくなる。

久野

ベランダで吸うと近所から苦情がきますから。

安田

もうこれは「吸うな」ってことだと思うんですけど。

久野

会社も吸っちゃ駄目だってところがほとんどですし。

安田

タバコくさいオフィスは社員が嫌がりますから。

久野

国際的な圧力もすごいですよ。日本は「自由に吸える」って言われてるので。

安田

日本は「ヘビースモーカーのおじいちゃん議員」が多いから。自分には甘いんですよ。

久野

そういう説は昔からあります。

安田

そうなんですか?

久野

新幹線とか高速鉄道に「たばこが吸える車両」があるのは日本だけ。

安田

海外の人から見たら異様だと。

久野

だって飛行機に喫煙ルームはないじゃないですか。

安田

確かに。「乗ってる間ぐらい我慢しろ」ってかんじですよね。

久野

でも我慢しないんですよ。力のある議員が。

安田

議員のエゴですか。

久野

だからグリーン車の近くにあるじゃないですか。

安田

言われてみれば確かに。でも世界の流れには逆らえないですよね。

久野

会社はまず100%禁煙になるでしょうね。

安田

それは社員さんから訴えられたりするから。

久野

その前に、まず雇用できないですよ。

安田

確かに出来ないでしょうね。

久野

オフィスどころか、人事担当者がたばこ臭いだけで「あり得ない」って言われます。

安田

若い子はもう、圧倒的に吸わない子のほうが多いですから。

久野

はい。たばこの臭いがする人は、もう人事として終わってる。

安田

人事だけじゃないですよ。営業マンでもたばこ臭かったら「帰ってほしい」って思う。接客業でもマイナスでしょう。

久野

「たばこ吸ってる人を許さない」っていう風潮が、すごく強くなりましたから。

安田

たばこ吸う人を雇うのはもはやマイナスでしかないですね。

久野

はい。お客さんに嫌われるし、採用では使えないし。あと、とにかくサボりますし。

安田

昔は「タバコ休憩」ってサボる内に入ってなかったんですけどね。

久野

今は社員からクレームが入ります。

安田

そうなんですか?

久野

はい。クライアントの女性社員からよく相談を受けます。たばこ臭いとか、上司がいつもたばこを吸いに行って席にいないとか。クレームはむちゃくちゃ多いです。

安田

ちなみに今でも「オフィスの中で喫煙OK」って会社はあるんですか?

久野

中小企業はたまにありますよ。

安田

へえ。

久野

社長室が吸いたい放題とか。

安田

頭が硬そうな社長ですね。もうかなりマイノリティーでしょうけど。

久野

超マイノリティーですね。1000社に1社ぐらいじゃないですか。

安田

そんなに減ったんですか!

久野

応接室や社長室に灰皿があった瞬間に、20代の女性は行かないって言ってます。絶対就職しないって。

安田

そうなんですか。時代の流れを感じますね。

久野

昔は「いい匂い」って言ってる女性もいましたもん。

安田

少なくとも、かっこいいイメージでしたよね。

久野

映画俳優もみんな吸ってましたし。

安田

映画やドラマの中でも吸わなくなりました。

久野

もう、世界の流れなんでしょう。それが。

安田

ですね。タバコ吸ってる大人を見て「かっこいい!」なんて若者はいませんもん。

久野

逆にカッコ悪いですよ。ニコチン中毒みたいな感じで。

安田

ですよね。自制心の低い大人みたいな感じ。

久野

ちょっと可哀想ですけどね。あんなに税金払ってるのに。

安田

かなり高いんでしたっけ?税率は。

久野

だって6割ぐらいは税金ですもん、あれ。

安田

そんなに!じゃあ税金吸ってるみたいなもんですね。

久野

そうです。でも税金払ってるのにすごい冷遇されてますから。

安田

今後はもっと高くなっていくんでしょうか?たばこ税。

久野

世界的に見ればまだ安いですから。きわきわのところを狙ってるんだと思います。

安田

それは喫煙人口が減らないように?

久野

人口が減ってもトータルの税収が減らないように。

安田

なるほど。じゃあ国としては吸うなと言いながらも、やっぱ吸ってほしい?

久野

1箱1000円にしてみんなやめるんだったら「このままで行こう」みたいな感じ。

安田

国はやめさせたいのかなと思ってました。面倒な規制もいっぱい作らないといけないし、病気になるとお金もかかるし。

久野

いや、残したいでしょうね。政治家は利権が大好きですから。



久野勝也
(くの まさや)
社会保険労務士法人とうかい 代表
人事労務の専門家として、未来の組織を中小企業経営者と一緒に描き成長を支援している。拠点は愛知県名古屋市。
事務所HP https://www.tokai-sr.jp/

 

安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

 

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