さよなら採用ビジネス 第32回「女性管理職は必ず増える」

この記事について

7年前に採用ビジネスやめた安田佳生と、今年に入って採用ビジネスをやめた石塚毅による対談。なぜ二人は採用ビジネスにサヨナラしたのか。今後、採用ビジネスはどのように変化していくのか。採用を離れた人間だけが語れる、採用ビジネスの未来。

前回は 第31回「組合が雇用をなくす?」

 第32回「女性管理職は必ず増える」 


安田

「女性の管理職が少ない国」って言われてますよね?日本は。

石塚

おっしゃる通りですね。

安田

これだけ男に偏ってくるというのは、やっぱり企業カルチャーなんですか?

石塚

その論点を考える場合、まず新卒採用から見ていかなきゃいけないですね。

安田

新卒採用ですか?

石塚

新卒の総合職ってかつては「ほとんど男性」みたいなイメージじゃないですか?

安田

大企業はそうでしょうね。

石塚

男だったら辞令ひとつで、全国どこでも転勤させられる。で、仕事も結構ハード。だから、総合商社でも300人とか400人採ったら女子はたったの3人、みたいな。

安田

まさに、そういうイメージです。

石塚

でもそれは昔の話です。

安田

そうなんですか!

石塚

そもそも「そういう職種に女性を配置する」という発想がなかったじゃないですか、昔は。

安田

なかったですよね。でも、今はあると?

石塚

今の話でいえば、新卒採用はむしろ、優秀なのは女子が多いんですよ。

安田

じゃあ大手でも、女子の総合職は増えてるってことですか?

石塚

かなり増えましたね。

安田

今、どのぐらいの比率なんですか?

石塚

会社にもよりますけど、半々に近いぐらいにはなってる企業もありますね。

安田

なんと!

石塚

業界によっては、女子の総合職の方が多いところもあります。

安田

そこまで進んでるんですか?

石塚

はい。たとえば人材ビジネスや生活関連とかは女子が多い。住宅メーカーとかも、めっちゃ多い。あと流通系とか、小売業とか。

安田

ということは、そのへんの世代が40〜50代になってくると、女性管理職も増えてくると?

石塚

もうすでに、現場では結構増えてますよ。

安田

そうなんですか?

石塚

女性のマネージャーは増えてます。伝統的な総合商社でも、だいぶ女性が増えました。

安田

金融とかもですか?

石塚

銀行や証券はまだ少ないですね。保険は比較的多いかな。

安田

なるほど。

石塚

結局、どれぐらい保守的で、堅い社風や業界かによるんですよ。

安田

そういう業界でも変わっていきますかね?

石塚

女性のお客様が増えてますから。女性に対しては、女性の方がコミュニケーションが上手。

安田

でも、転勤っていうことになると、男子でも「出世はいいから、地域限定してほしい」って子が増えてますよ。

石塚

増えてますね。

安田

逆に、女子は「全国どこでも行きます」って人が増えてるんですか?

石塚

そういう層もいるんですけど、いま大企業って、いろんなリクエストを聞いてくれるようになってるんですよ。

安田

それはどうして?

石塚

時代の流れじゃないですかね。人手不足がどんどん進んでますから。

安田

そもそも何のために、全国異動させていたんですか?

石塚

「人事の公平性」っていうのと、「固定的な取引関係を継続するのはあまりよろしくない」みたいのが、銀行なんかではありますね。

安田

ちなみに「夫婦共働き」は中小企業では普通ですけど。

石塚

「ダンナの給料だけじゃやっていけない」みたいな。

安田

まあ、そうですよね。大手の場合はどうなんですか?ダンナさんの給料だけで生活していけそうですけど。

石塚

実態として、30歳以下、大手企業、夫婦共働き、めちゃ増えてます。

安田

そうなんですか!

石塚

そうなんです。“Double Income Two Kids”で、2人合わせれば子ども2〜3人持てるじゃないですか。

安田

でも共働きって、女性が大変そうですけど。

石塚

今、女性は結構融通利くんで。産休、育休、復帰とか、不利益もあまり被らない。

安田

じゃあ、社内結婚とかも多いんですか?

石塚

大企業は社内結婚多いですよ。

安田

その場合は、2人とも会社に残るんですか?

石塚

残ってますね。

安田

むかしは結婚したら「奥さんの方が辞めなくちゃいけない」みたいな、暗黙の了解があったじゃないですか。

石塚

もう、この10年くらいそんなことはないですね。

安田

むしろ会社としては「残ってほしい」って感じなんですか?

石塚

その通りですね。30歳以下ってまだまだ伸びしろがあるし、賃金に比べれば生産性が高いので。

安田

じゃあ、残るのも復帰するのも、基本的には歓迎だと?

石塚

仕事ができる女子には、辞められる方が痛いです。

安田

でも、そうなってくると、どちらか一人だけを転勤させるのは難しくないですか?そこはある程度、会社が配慮するんですか?

石塚

配慮してくれますね。異動させる場合は、夫婦一緒に異動させるとか。

安田

そんなことまで、やってくれるんですか?

石塚

大企業もそのへんは凄くフレキシブルに、融通利くようになりましたね。もちろん会社によりますけど、平均値と言ってもいいと思います。

安田

大企業なんて採用にぜんぜん困ってないのに、そこまでする必要あるんですか?

石塚

それだけのメリットがあるということですよ。

安田

なぜでしょう?辞めさせてゼロから育てるより、継続してもらうほうが生産性高いってことですか?

石塚

もちろん、それはありますね。あと「人件費を抑える」ってことも考えてるんじゃないですかね。

安田

ふたり雇ったら、人件費は増えませんか?

石塚

普通に雇うだけだったら、増えますね。

安田

共働きなら、そこまで増やさなくてもいいと?

石塚

重要なのは世帯報酬じゃないですか。

安田

生活するために?

石塚

住宅ローンを払って、子供をいい学校に行かせて、そこそこの生活レベルを保つために。

安田

じゃあ、世帯報酬は保たれると。

石塚

世帯報酬で考えた方が会社は楽ですよね。

安田

どうしてですか?

石塚

だって、一人に1500万円払うより、二人に1800万円払ったほうが元は取りやすいじゃないですか。

安田

なるほど。一人当たりの報酬は抑えられると。

石塚

そこを抑えても世帯報酬は増える。

安田

確かに。

石塚

旦那一人の報酬を増やし続けると、必ずどこかで見合わなくなるので。

安田

どのへんで見合わなくなるんですか?上げ続けると。

石塚

45過ぎですね。

安田

共働きの場合は、どうなるんでしょうね。

石塚

一人当たりの報酬を抑えられれば、元は取れると思いますね。特に女性の優秀な人は。

安田

男はダメですか?

石塚

まあ、人によりますけど。男は50歳過ぎると燃え尽きる人が多いです。

安田

燃え尽きる?

石塚

はい。子育てが終わって、ローンも払い終わって、「何のために、俺、働いてるんだろう?」みたいな。

安田

重荷がなくなって、もっと仕事を楽しめばいいじゃないですか。

石塚

でも実際「人生の目的を見失った、おじさん社員」って結構いるんですよ。

安田

見失うと仕事もできなくなりますか?

石塚

男は背負うものがなくなるとダメですね。新橋で夕方くらいから飲んでるおじさん多いじゃないですか?

安田

確かに。じゃあ、女性はどうなんですか?

石塚

女性は結構、自分のために頑張れるんじゃないですかね。

安田

子育てが終わって「逆にイキイキと働き出す」みたいな。

石塚

そんな気がしますね。旦那の黄昏を尻目に、女性管理職は増えていくんじゃないでしょうか。

 


石塚毅
(いしづか たけし)
1970年生まれ、新潟県出身。前職のリクルート時代は2008年度の年間MVP受賞をはじめ表彰多数。キャリア21年。
のべ6,000社2万件以上の求人担当実績を持つ求人のプロフェッショナル。

安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

 

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