さよなら採用ビジネス 第99回「人はどこまで管理されたいのか」

この記事について

7年前に採用ビジネスやめた安田佳生と、今年に入って採用ビジネスをやめた石塚毅による対談。なぜ二人は採用ビジネスにサヨナラしたのか。今後、採用ビジネスはどのように変化していくのか。採用を離れた人間だけが語れる、採用ビジネスの未来。

前回は 第98回『捨てられないのは何?』

 第99回「人はどこまで管理されたいのか」 


安田

石塚さんはタバコ吸ったことありますか?

石塚

結婚するまでは結構なヘビースモーカーでしたね。

安田

へえ。意外ですね。結婚をきっかけにやめたんですか?

石塚

あるときから紙巻きタバコがおいしくなくなっちゃった。

安田

おいしくなくなった?

石塚

はい。おいしくないから吸わなくなっちゃった。

安田

ヘビースモーカーだったのに?

石塚

そうなんですけど。「禁煙しよう」って感じじゃなく、パタッと吸わなくなった。

安田

まったく吸わないんですか?

石塚

お酒がまったく飲めないので、場つなぎにタバコを1本みたいなのはあります。

安田

なるほど。でもタバコ吸う人はどんどん減ってますね。

石塚

はい。とくに若い子は吸わないです。

安田

吸えない店もどんどん増えてるし。

石塚

家で吸ったら家族に怒られるし(笑)

安田

「どこで吸うんだよ!」ってことになってます。

石塚

「だったら売るなよ」って意見が多いです。

安田

ここまで締め付けたら逆にマナーが悪くなりそう。歩きタバコとか。

石塚

個人的には夜の飲み屋さんでは、たばこを吸わせてあげたい。

安田

それは健康ナントカ法で禁止されました。

石塚

「うちは禁煙です」って言い切るお店も増えました。けど「ちょっとお酒飲んだときぐらい」って思っちゃう。

安田

タバコ禁止のBARってイメージが湧かないです。

石塚

ちょっとやりすぎじゃないかと思う。BARとかやっていけなくなりますよ。

安田

ひとつにはスタッフの副流煙問題があるみたいです。「我慢せざるをえない」っていう。

石塚

そういうことも含めてOKな人を集めるしかない。

安田

たばこ吸う人がお金を出し合って「超高級喫煙所」みたいなスペースを運営するとか。

石塚

「喫煙者しかいない居酒屋」とかは流行りそうですけどね。

安田

居酒屋だと法に触れちゃうので。

石塚

たしかに(笑)

安田

飲食店ではなく、あくまでも「喫煙スペース」として運営する。

石塚

また追っかけて法律改正してきそう。やっぱり夜の酒飲める店はOKのほうがいい。

安田

夜にこだわりますね。昼間だって吸いたい人はいるでしょ。

石塚

う〜ん。昼間は制限されてもしょうがない気がする。いまのご時世では。

安田

昼間だけ我慢することなんてできますか?

石塚

じっさい勤務先でたばこ吸うって、今はもう無理でしょう。

安田

確かに。もう無理ですね。喫煙所に行くだけでも白い目で見られるし。

石塚

われわれの頃なんて、普通にデスクでたばこ吸ってましたからね。

安田

あれはキツかったですね。たばこの煙の中で仕事してるみたいなもんでした。

石塚

時代が変わったことは認めます。けど全部禁止っていうのはちょっと。繰り返しになるけど、飲食店でたばこが吸えなくなるのはかわいそう。

安田

嫌煙者にしたところで、路上で吸われるよりはいいですけど。

石塚

はい。従業員さんも「あ、僕も喫煙者ですよ」って人だったら、お互いみんな仲間。

安田

かなり強引ですね(笑)

石塚

安田さんだって仕事が終わってお酒も飲めないんじゃ嫌でしょ?もしいま禁酒法になったらどうします?

安田

もうスパッとやめます。

石塚

ホントですか!?(笑)おいしく料理食べられませんよ。

安田

他の楽しみを考えます。歳も歳だし。若い頃だったら絶対無理ですけど。

石塚

普通はムリですよ。やっぱり潔癖すぎると思う。やりすぎ。コンプラにも通じますけど。

安田

どこかにひずみが出そうな感じはします。

石塚

たばこの害もあるけどアルコールの害だってありますから。「ちょっと自分は中毒かな」とかって思った時期ありません?

安田

あります(笑)

石塚

ありますよね(笑)だって「お酒飲めないと、ちょっと……」って敬遠する人、実は多いじゃないですか。

安田

最近は少なくなりましたけど。昔は「酒飲めないんだったら、おまえはいいや」みたいなのが普通でした。

石塚

めちゃくちゃありましたよ。僕はそれをくぐり抜けてきたわけです(笑)

安田

苦労したんですね(笑)

石塚

だからこそ喫煙者の気持ちもわかる。だってBARでたばこ吸えないとかいったら、もう行く目的が変わっちゃいますよ。

安田

今後はどうなると思います?いったん締め付けてまた緩くなるのか。それともさらに厳しくなっていっていくのか。

石塚

厳しくなっていくでしょうね。でも国が販売をやめない限りは、吸う人はなくならないと思う。

安田

売っといて「吸うな」って確かにひどいですよね。

石塚

あまり締め付けるとどんどん闇に潜る。

安田

闇喫煙店ができるとか?生レバーみたいに。

石塚

「いいよ、うちは吸っても」「そのかわり、お客さん言わないでね」みたいな。

安田

「焼いてね」って目配せしながら生レバーを出す感じ。焼かないのは自由だっていう。

石塚

そうそう。暗黙の了解。

安田

本当にそういう店が出てくるかも。

石塚

だって「たばこが吸えるからおじさん来てた」っていう喫茶店とか。これからどうするんですか。

安田

日高屋さんはガラガラになってるみたいです。たばこを吸いたいがために来てた人が来なくなって。

石塚

かわいそうですよね。お店もかわいそうだけどお客さんがかわいそう。

安田

個人的には紙巻きは嫌ですけど、電子タバコぐらいはOKしてあげたい。

石塚

楽しみを取り上げるのはちょっとやりすぎですよ。

安田

国民の健康を守るという大義名分があるので。

石塚

そのうちスマホゲームも禁止になるかもしれませんよ。

安田

確かに。健康に良くないものを禁止にしていったら、人間社会は成り立たないですもんね。

石塚

そうですよ。競輪もダメ、競馬もダメ、お酒もダメ、麻雀もダメ。

安田

商売って人間の欲望を満たすこととイコールですからね。

石塚

自己判断に委ねたらいいんですよ。子供じゃないんだから。

安田

でも日本人ってみんな管理されたがりですよね。

石塚

いやいや。そういう洗脳されてるだけですよ。

安田

洗脳ですか。

石塚

日本じゃなかったら暴動が起きてます。

 

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石塚毅
(いしづか たけし)
1970年生まれ、新潟県出身。前職のリクルート時代は2008年度の年間MVP受賞をはじめ表彰多数。キャリア21年。
のべ6,000社2万件以上の求人担当実績を持つ求人のプロフェッショナル。

安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

 

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