小さなブルーオーシャンに出会う旅 第4回「一般的な概念を覆せれば、もっと小さなブルーオーシャンになるのでは…」

このコラムについて

小さなブルーオーシャン?
何だかよく分からないよ。ホントにそんなので商売が成り立つの?

と思っている方は多いのではないでしょうか。何を隠そう私もそのひとりでした。私は人一倍疑り深い人間なのです。そこで・・・私は徹底的に調べてみることにしました。小さなブルーオーシャンなんて本当にあるのか。どこに行けば見られるのか。どんな業種なら可能なのか。本当に儲かっているのか。小さなブルーオーシャン探求の中で私が見つけた答えらしきもの。それはきっとみなさんにとっても「何かのヒント」になるはずです。

第4回「一般的な概念を覆せれば、もっと小さなブルーオーシャンになるのでは…」


これまでの3回は、小さなブルーオーシャンを生み出し、決して大きな売上を上げているわけではないものの、ある特定の層からは絶大な支持を受けている会社や商品・サービスをご紹介しました。4回目の本日は少し目線を変えて、確かに小さなブルーオーシャンではあるんだけど、何か変えることができないかなぁ、という皆さんにも考えてもらえるようなネタにしてみました。

さて、このコンテンツを読まれている方は、人材の採用、あるいは就転職という世界を垣間見たことはあるでしょうか?企業経営者もしくは総務・労務・人事に携わっているひとであれば、身近な世界だとは思いますが、それ以外に方には、ご自身の就転職の機会がない限り、この世界を見ることはないと思います。

これほどのレッドオーシャンな業界って…

一般の方には馴染みのない、人材採用あるいは就転職の業界。この業界は、本当にレッドオーシャンだと思います。企業側が人を採用する場合、求人広告という「広告」に掲載する、あるいは就転職フェアに出展する(これも広告の一部ですが…)、人材紹介会社に人を紹介してもらうなどがあります。一方で仕事を探す学生や求職者は、企業が掲載されている広告や紹介会社に登録をすることで、仕事(会社?)を探したり、紹介されたりするわけです。さて、この広告や紹介会社、大手求人会社を筆頭に、とにかくあるわ、あるわ…。大小という規模だけでなく、業界や職種特化型、地域特化型などなど、切り分けていけば、数限りなくあるのではないか?と思うくらいです。採用する企業側からすると、学生や求職者が多く登録している求人会社や紹介会社に頼みがちです。それは、安心できるから。多くの登録者がいれば、採用確率が上がり、採用も成功するであろうという勘違いがあります。これは、学生や求職者側にもあります。大企業や有名企業の方が安定しているから、大企業や有名企業がたくさん掲載されている、あるいはTVCMが流れて知名度の高い求人広告や紹介会社に登録をする。これも学生や求職者側からすると、安心できるからです。大企業や有名企業に就職できる可能性、確率があるわけですから、当然です。いい、悪いの話ではなく、さまざまな勘違いや心理状態が渦巻く業界であり、参入障壁も低いため、レッドオーシャン化されているのではないでしょうか?

 

大手信仰を払拭する試みをしている求人会社

スローガン株式会社という企業があります。この会社の新卒大学生採用向けのサービスが小さなブルーオーシャンを生み出しているのではないかと思うのです。
国内のトップ大学で学ぶ学生とベンチャー企業の橋渡しをするというのが、スローガン株式会社さんのサービスなのですが、実は、こうしたサービスを打ち出す人材サービス会社は、たくさんあります。企業側、特になかなか優秀な人材を採用できない中小企業やベンチャー企業からすれば、国内のトップ大学で学ぶ学生は、喉から手が出るほど、採用したい。更に言えば、中小企業やベンチャー企業は、大企業のように採用コストかけることもできないし、たくさんの応募者を集めたいわけではない。自社に見合う優秀な人材さえ応募してくれ、かつ採用できればいいのだから。そのため、このように謳っている人材サービス会社に問い合わせはするものの、痛い目に合っているという経営者は少なくない、というのが現状です。
では、このスローガン株式会社さんの何が小さなブルーオーシャンなのか?
まず、このやり方を10年以上貫き通しているということ。

小さなブルーオーシャンを生み出しているもの

さて、このスローガン株式会社さんの、何が小さなブルーオーシャンかと言うと、拡大しようとしているのではなく、信念を貫こうとしているからではないでしょうか?
まず、スローガン株式会社さんは、このサービスを10年間ブレずに貫き通しているということが挙げられます。国内トップクラスの学生と、ベンチャー企業の橋渡しをするサービスを始める企業があっても、なかなか継続しないのは、学生を集めることができず、徐々にサービスを停止していくからであるなのです。
さらに人材サービス会社は、掲載企業の数を増やすこと、学生や求職者の登録者数を増やすことに必死です。しかし、スローガン株式会社さんは「ハズレ企業は掲載しない」として、むやみに掲載社数を増やしていません。掲載企業の多さでアピールする求人サービス会社とはあきらかに違います。また、売上高や業務内容といった表面的な要素ではなく、経営者の人柄などを重視しているそうです。学生は、「スローガン株式会社さんが言っているのであれば」という信頼から高い支持をしているのではないでしょうか?
また、毎年、約50万人が就職活動をする新卒業界。企業向けのアピールポイントは登録者数の多さです。しかし、スローガン株式会社さんの登録者数は、2万人弱。登録者だけを見れば、かなり少ない数字です。それでも、企業側から支持されているのは、この2万人がとても優秀な人材かつベンチャー企業に対しての情熱があるからなんでしょうね。

願わくば…

とてつもなくレッドオーシャンの中で、小さなブルーオーシャンを生み出しているスローガン株式会社さんですが、一点だけ気になる点があります。国内トップクラスの学生に対して、年間1000以上もの講座を行ない、意欲や意識を変えていっているという点も特筆すべてき点だとは思うのですが、選考対策講座や就活の進め方といった、いわゆるノウハウ系の講座だというのが気になりました。もちろん、学生を集客するための策であったり、ノウハウ系だけではない講座もあったりするのでしょうが、ノウハウ系にしてしまうと、やはり内定を取得するための手段になってしまうのではないか?とも思うのです。いまでも十分、小さなブルーオーシャンだと思いますが、一般的な就職活動の枠からはみ出せると、もっと面白くなるのではないかと思いました。

 


佐藤洋介(さとう ようすけ)
株式会社グロウスブレイン 代表取締役

大学(日本史専攻)を卒業後、人材コンサルティング会社に16年間勤務。ソフトウェア開発会社、採用業務アウトソーシング会社、フリーランスを経て、起業。
中小企業の人材採用、研修に携わる一方で、大学での講義、求職者向けイベント等での講演実績も多数。人間の本質、行動動機に興味関心が強い。
国家資格キャリアコンサルタント、エニアグラムファシリテーター、日本酒ナビゲーター。

 

ブルー・オーシャン戦略は、未知の新大陸を探しだす作業ではありません。
新たなブルー・オーシャンは今いるレッド・オーシャンの中に無数に存在するのです。

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