小さなブルーオーシャンに出会う旅 第27回「再び命を吹き込み、復活させる小さなブルーオーシャン」

このコラムについて

小さなブルーオーシャン?
何だかよく分からないよ。ホントにそんなので商売が成り立つの?

と思っている方は多いのではないでしょうか。何を隠そう私もそのひとりでした。私は人一倍疑り深い人間なのです。そこで・・・私は徹底的に調べてみることにしました。小さなブルーオーシャンなんて本当にあるのか。どこに行けば見られるのか。どんな業種なら可能なのか。本当に儲かっているのか。小さなブルーオーシャン探求の中で私が見つけた答えらしきもの。それはきっとみなさんにとっても「何かのヒント」になるはずです。

第27回「再び命を吹き込み、復活させる小さなブルーオーシャン


こんな山奥の会社に、全国から依頼が殺到する?!

今回は。

家庭電化製品

のお話。

と言っても、
高機能、コストパフォーマンス抜群、安い
といった製品(商品)を世に送り出している会社
を紹介するわけではありません。

今回、紹介するのは、
「今井電子サービス」さま。
三重県津市にあるのですが、
お世辞にも商業圏とは言えず、
すごい山の中なのです。

そして、この山の中にある「今井電子サービス」さまに
日本全国から依頼が殺到するんです?

山の中にある家電修理店に、全国から依頼が来る?
一体、どういうことなのでしょうか?

小さなブルーオーシャンを生み出しているものは何なのか?

ラジオやブラウン管テレビ、時計、ラジカセ、CDプレーヤー…

懐かしい!と思われた方もいらっしゃることでしょう。
実はこうした家庭電化製品の修理を請け負っているのが、
「今井電子サービス」さまの事業です。

Sid74によるPixabayからの画像

以前は、家電メーカーが
「希望小売価格」などと称して、
小売店業者に対して価格を提示していましたね。
物がない時代でしたから、
製造できるメーカーの力が強かったと言えます。

しかし、現在は、
どんどんと多くの物が製造され、
世の中に送り出されていきます。
物が溢れ、価格競争真っ只中。
レッドオーシャンです。

メーカー側も「オープン価格」とし、
売値は小売業者に任されています。
つまり、メーカーよりも小売業者の力が
強い時代です。

私たち消費者も、
動かない、
壊れた、
使えなくなった、
となれば、わざわざ修理せずに、
新しい最新のものを購入しに行きます。

高機能で、安い、最新機器ですから
当然ですよね。

しかし、世の中には、
どんなに壊れていても、
動かなくなったとしても、
捨てられず、
直るものなら直して使い続けたい、
という人もいるのです。

そうした人たちの希望を叶えてくれるのが、
今井電子サービスの今井和美氏なのです。
修理歴は50年以上。
これまで1万点以上の電子機器、電化製品を
修理してきており、そのデータを記録。
テレビ、電子レンジ、冷蔵庫はお手の物。
魚用の電気ショッカーや胃カメラ用モニターまで
直しちゃう。
なんだったら簡単なオートバイくらいなら直しちゃう…。

今井氏は修理を請け負うと、
今後、壊れそうな箇所も見越して
修理してくれるそうです。
ちなみに、普通、家電修理割合というのは60%程度。
しかし、「今井電子サービス」さんは95%。
すごいですね。

修理代に価格は決まっていません。
依頼した際、お互いに話し合って決まるそうです。
高いと感じるのか、安いと感じるのかはその人次第。
しかし、直してもらいたい側からすれば、
どんな金額を提示されても、安く感じるのではないでしょうか?

経験や技術、サービスが優れているというのも強みです。
しかし、それだけではありません。
多くの企業は新しいものを買い替え続ける層を
ターゲットにしたくなります。
たくさん、売れますからね。

「今井電子サービス」さんは、
人数は少ない、たくさん売れないかもしれない。
それでも、修理して使い続けたい人たちがターゲット。

だからこそ、価格競争に巻き込まれず、
値引きされることもなく、
全国から依頼され続けるのだと思います。

 


佐藤洋介(さとう ようすけ)
株式会社グロウスブレイン 代表取締役

大学(日本史専攻)を卒業後、人材コンサルティング会社に16年間勤務。ソフトウェア開発会社、採用業務アウトソーシング会社、フリーランスを経て、起業。
中小企業の人材採用、研修に携わる一方で、大学での講義、求職者向けイベント等での講演実績も多数。人間の本質、行動動機に興味関心が強い。
国家資格キャリアコンサルタント、エニアグラムファシリテーター、日本酒ナビゲーター。

 

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