小さなブルーオーシャンに出会う旅 第48回「鉄は熱いうちに打て!全国でも珍しい鋳造手法を守る職人」

このコラムについて

小さなブルーオーシャン?
何だかよく分からないよ。ホントにそんなので商売が成り立つの?

と思っている方は多いのではないでしょうか。何を隠そう私もそのひとりでした。私は人一倍疑り深い人間なのです。そこで・・・私は徹底的に調べてみることにしました。小さなブルーオーシャンなんて本当にあるのか。どこに行けば見られるのか。どんな業種なら可能なのか。本当に儲かっているのか。小さなブルーオーシャン探求の中で私が見つけた答えらしきもの。それはきっとみなさんにとっても「何かのヒント」になるはずです。

第48回「鉄は熱いうちに打て!全国でも珍しい鋳造手法を守る職人」


「握り鋏に一本、1万円。全国から製作依頼が。」

カン、カン、カン
熱した鉄の棒を金槌で手打ちし、
刃を成形していく。

テレビでたまに見るシーンですが、
今では、プレスの技術が上がり、
刃物といえばプレス式機械を使った
安価な生産方法が主流です。

「日本いいもの屋」のサイトより

そんな中でも伝統製法を継ぎ、
手打ちで作り続けているというのが水池鋏製作所。

指を入れる穴がなく、
衣類の補修でも活躍する裁縫用の握りばさみを
製造している会社です。

兵庫県で創業140年以上の歴史を持ち、
現在は4代目の職人、水池長弥氏の元には、
全国から製作の依頼が届くというから驚きです。

小さなブルーオーシャンを生み出しているものは何なのか?

約75平方メートルの小さな町工場。
それが、水池鋏製作所。
規則正しく金づちの音が鳴り響き、
小さく精巧な握りばさみの原型が
作り出されていくのだそうです。

火に入れて熱するのは4~5回程度。
何度も火に入れて打ち直せば、
品質にも影響が出てしまうらしい。

手打ちで成形する「鍛造」手法を守るのは、
全国でもほぼ同製作所に限られ、
水池氏が作る握りばさみの中には、
1本1万円を超える高級品もあるらしい。

握りはさみ…。
おそらく百円均一店でも
購入できると思いますが、
水池長弥氏の製造する
握りはさみを手に入れたいという人は、
違った理由がある気がします。
その姿、形を愛でる人もいるのでは
ないでしょうか?
そう言えば、日本刀をコレクションしている
人っていますよね?
まさにそんな感じなんじゃないかと。

実用的な部分でいうと、
飴細工の職人さんが使う「和ばさみ」や
弓矢の「矢羽根」を切りそろえるのに使う
「矢羽根切り鋏」も手掛けているそうですが、
もはや裁縫に使われる握りはさみも
伝統工芸品の一部なのかもしれませんね。

 

株式会社グロウスブレイン 代表取締役

大学(日本史専攻)を卒業後、人材コンサルティング会社に16年間勤務。ソフトウェア開発会社、採用業務アウトソーシング会社、フリーランスを経て、起業。
中小企業の人材採用、研修に携わる一方で、大学での講義、求職者向けイベント等での講演実績も多数。人間の本質、行動動機に興味関心が強い。
国家資格キャリアコンサルタント、エニアグラムファシリテーター、日本酒ナビゲーター。

 

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