泉一也の『日本人の取扱説明書』第12回「天才が育つ国」

そのおバカさん的な賢さを育てる素晴らしい土壌があるのだが、日本から今消えつつある。おバカさん的な賢さを持つ存在は管理しにくく、日本はどんどん管理型社会になっている。問題が起こるたびに、ルールとチェックを厳しくしガバナンスの強化をしているからだ。「それでいいのだ」なんていおうものなら、激しくたたかれる。学校では本来の天才たちが特別支援学級に送り込まれているが、せっかく何千年もかけて天才が育つ土壌をつくってくれたのに、わざわざその土壌を汚染するような化学肥料(管理)を入れているのだ。それでいいのか!?

学校で天才の芽をつまれた若者たちを、会社で天才に育て上げるにはどうしたらいいのか?管理のエネルギーの10倍、天才を育てる人材育成をし、天才を見出し育てるコーチ力をもった人材登用をすればいい。会社経営で費用効果が高いのは天才が育ちやすい組織をつくる投資である。昭和のような量的成長の時代は秀才と管理がメインであったが、今のような質的成長やイノベーションの時代は、天才がレバレッジ(てこ)なのだ。

天才を育てるには、3つのことをすればいい。1つ目は日本人が本来持っている「天」の感性を高めること。2つ目は、おバカさの中にある賢さを見つけるような研修をし、天才を引き出すプロの専門家(コンサルタントやコーチ)をブレインにつけること。そして3つ目は、その天才を育てるような舞台=仕事を与える事、作る事である。

 

著者情報

泉 一也

(株)場活堂 代表取締役。

1973年、兵庫県神戸市生まれ。
京都大学工学部土木工学科卒業。

「現場と実践」 にこだわりを持ち、300社以上の企業コーチングの経験から生み出された、人、組織が潜在的に持つやる気と能力を引き出す実践理論に東洋哲学(儒教、禅)、心理学、コーチング、教育学などを加えて『場活』として提唱。特にクライアントの現場に、『ガチンコ精神』で深く入り込み、人と組織の潜在的な力を引き出しながら組織全体の風土を変化させ、業績向上に導くことにこだわる。
趣味は、国内外の変人を発掘し、図鑑にすること。

著者ページへ

 

感想・著者への質問はこちらから