泉一也の『日本人の取扱説明書』第15回「トラウマの国」

「自国に誇りを持ちたくても、変なふうに思われたくない」そんなマズイ目的をいつまでも隠し持っているから、日本で生きるのに窮屈を感じるのである。この日本賛美に偏ったコラムはめちゃ面白いけど、あまり他の人には紹介したくないなぁ、と思うのは、コラムが面白くないからではなく(そう願う)、他人に嫌われたくないからでしょ!と嫌われる勇気を持って強く言い放ちたい。

この窮屈さを味わっただろうか。
だったらこの窮屈さから解放するような、何かがあればそれが価値になる。

「嫌われたくない」というマズイ目的を食べている日本人たちに、ウマイ目的に気づかせる何か。英語ばっかり使ってかっこよく見せるような、教育やサービスが溢れているが、そんなものはマズイ目的である。とスタバで今、カフェラテのトールサイズを飲みながら、この原稿を書いているのだが・・

嫌われてもいいといっているのではなく、嫌われたくないという目的に隠されたその奥にある本来の目的は何か。少なくともスタバの店員さんは「嫌われたくない」といった目的をもって働いているようには見えない。その場を楽しんでいる一人一人の目的を感じる。なぜ、そうできるのか。それは、嫌われたくないというマズイ目的よりも美味しい目的を大切にする企業風土をつくり、そしてその美味しい目的を探している人を採用し、育てているからである。

トラウマが存在しないように、トラウマの国である日本は存在しない。本当の日本はどこにあるのか見つけ出す。それが私のコラムを書く美味しい目的である。

 

著者情報

泉 一也

(株)場活堂 代表取締役。

1973年、兵庫県神戸市生まれ。
京都大学工学部土木工学科卒業。

「現場と実践」 にこだわりを持ち、300社以上の企業コーチングの経験から生み出された、人、組織が潜在的に持つやる気と能力を引き出す実践理論に東洋哲学(儒教、禅)、心理学、コーチング、教育学などを加えて『場活』として提唱。特にクライアントの現場に、『ガチンコ精神』で深く入り込み、人と組織の潜在的な力を引き出しながら組織全体の風土を変化させ、業績向上に導くことにこだわる。
趣味は、国内外の変人を発掘し、図鑑にすること。

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