泉一也の『日本人の取扱説明書』第39回「お人好しの国」

そうならないには、タフなお人好しになることである。タフなお人好しとは、しなやかなる強さを持つことである。「一生懸命に責任を果たすが、その責任はあくまで組織内のことにすぎない」という達観。そしてゴーストが現れたら、お化けの本性見破ったり!と笑い飛ばすぐらいの腹である。池井戸潤の映画「七つの会議」で野村萬斎がゴーストに対して高笑いをしていた。これは、日本屈指の狂言師が組織の狂氣を笑い飛ばしていたのだ。

ゴーストを生み出さない経営をするには、外部との交流を増やして、組織をオープンにすればいい。外との風通しがいいところは、ゴーストは生息できない。なぜなら、社内論理という正義が通用しない「目」にさらされるからである。

日本には陰陽師のような悪霊退治の仕事があったように、現代は組織のゴースト退治が仕事になる。ゴーストバスターズになりたければ、場活師の門を叩いてみよう。映画のごとくえらい目にあうが、面白い仕事である。

著者情報

泉 一也

(株)場活堂 代表取締役。

1973年、兵庫県神戸市生まれ。
京都大学工学部土木工学科卒業。

「現場と実践」 にこだわりを持ち、300社以上の企業コーチングの経験から生み出された、人、組織が潜在的に持つやる気と能力を引き出す実践理論に東洋哲学(儒教、禅)、心理学、コーチング、教育学などを加えて『場活』として提唱。特にクライアントの現場に、『ガチンコ精神』で深く入り込み、人と組織の潜在的な力を引き出しながら組織全体の風土を変化させ、業績向上に導くことにこだわる。
趣味は、国内外の変人を発掘し、図鑑にすること。

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