泉一也の『日本人の取扱説明書』第135回「日の本の国」

泉一也の『日本人の取扱説明書』第135回「日の本の国」
著者:泉一也

このコラムについて

日本でビジネスを行う。それは「日本人相手に物やサービスを売る」という事。日本人を知らずして、この国でのビジネスは成功しません。知ってそうで、みんな知らない、日本人のこと。歴史を読み解き、科学を駆使し、日本人とは何か?を私、泉一也が解き明かします。

新年あけましておめでとうございます。2021年も日本人の取説をどうぞよろしくお願いします。

ところで読者の皆さんは、「初日の出」を見ただろうか。TVで見た!でもいいが、初日の出を拝む風習は日本独特の文化。初日の出ツアーに集まるのは日本人ぐらいである。

年始の早朝、極寒の中、薄暗い闇の中から現れる太陽を待つ。体の芯も冷え、待ちわびた頃、赤みを帯びた稜線から太陽が少しずつ顔を出す。寒さも闇も消し去るぐらいの暖かさと強さを感じる。この新年のお天道様を拝むことができた時、今年はいい幕開けだ!と至福を味わう。

日本人は太陽を神の如く拝むのだが、こうした太陽信仰が風習となっている国は世界でも稀である。

日本の象徴である天皇も、正月の夜明け前に四方拝をなされる。その拝まれる先の一つが伊勢神宮であるが、伊勢神宮の祭神は天照大神、太陽神である。

この太陽を拝むという風習は、何世代にもわたって日本に定着した文化である。日本人の精神に影響を与えないわけはない。では、どんな影響を与えているというのか。

一言でいうと、それは「心機一転、陽転」である。新しく何かが始まる時に、心を入れ替える。寒くて薄暗い時に力強く現れてくる太陽のように、その入れ替えた心は「陽」。よって一転とは陽転である。

日本人は心機一転を大切にし、ポジティブな方向に変える力がある。と断定的に書くと、「えっ、ほんまに!?」と多くの人は思うだろう。日本人って多くが不安症だし、ネガティブ思考の人多いし。現に自分もその一人だったり・・

不安とネガティブは闇であるので、そこに差し込む太陽の光の価値は大きい。暖かさと強さがより際立つ。日本人はDNAレベルでも不安因子が他の民族よりも強くでており、基本ネガティブである。そんな不安な日本人の中に「心機一転、陽転」という存在が現れると目立つのだ。白い紙に貼った白丸のシールより、黒い紙に貼った白丸のシールの方が目立つように。

日本人が皆、心機一転、陽転できるということではなく、その存在に価値を感じられるということ。敗戦から立ち上がる時に暖かく強く喧伝されたマッカーサーを敬信したように。

「心機一転、陽転」というコンセプトを商品開発に宣伝に人材育成に入れていけば、日本人の氣が集まり、大きな元気玉となる。暗闇の中に暖かく強く光る感覚。この初日の出のような在り方を、初日の出を拝みながら心の中に宿してみよう。

あっ、初日の出まだ見てない!と思った方、今すぐYouTubeで見るように。

今年はリベンジとなる東京オリンピックが開催される。まさにコロナという闇に覆われた世界の初日の出となる大会となるだろう。

私も東京オリンピック開催の頃に、日本から世界へとこのコラムを心機一転させようと目論んでいる。

 

著者情報

泉 一也

(株)場活堂 代表取締役。

1973年、兵庫県神戸市生まれ。
京都大学工学部土木工学科卒業。

「現場と実践」 にこだわりを持ち、300社以上の企業コーチングの経験から生み出された、人、組織が潜在的に持つやる気と能力を引き出す実践理論に東洋哲学(儒教、禅)、心理学、コーチング、教育学などを加えて『場活』として提唱。特にクライアントの現場に、『ガチンコ精神』で深く入り込み、人と組織の潜在的な力を引き出しながら組織全体の風土を変化させ、業績向上に導くことにこだわる。
趣味は、国内外の変人を発掘し、図鑑にすること。

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