時給と年収の関係

年収とは月給の積み重ねであり、
月給とは時給の積み重ねである。
計算上はもちろん、それが正しい。
だが現実はそのように単純なものではない。

時給が決まっていて、働く時間も決まっている。
そういう人ならば、単純な掛け算で
自分の年収を割り出すことが出来るだろう。
その場合、クビにならない限り年収は安定していて、
安定しているが故に年収は劇的には増えない。

では反対に、時給が決まっていない人、
働く時間が決まっていない人はどうだろう。
いつ、いくらで、何時間働くのか、決まっていない。
この場合、終わってみないと年収は分からない。
それは、その日暮らしの不安定な働き方に見える。
そんな不安定な人生は嫌だ。
日本では、実に多くの人がそう考え、正社員を目指す。

働く場所、働く時間、仕事の内容が決まっていて、
月給や年収がきちんと計算できる仕事。
それこそが素晴らしい仕事である、
というのが日本人の常識ではなかろうか。
だがここに、
大きな落とし穴があることを忘れてはならない。

安定しているが劇的には増えない。
それがこの働き方の特徴でもあるのだ。
時給も働く時間も仕事の内容も決まっていない。
そういう人は稼ぎが少ないイメージがある。
だがそれは大きな間違いだ。

実際、数千万~数億円稼ぐ人は、
働く時間も、働く内容も決まっておらず、
月給も年収も未確定な場合が多い。
その理由のひとつは、リスクを背負った働き方にある。
働く時間や働き方は本人の自由。
だだし、報酬は成果によって支払われる。
いわゆる成果報酬型だ。

彼らの報酬が高いのは、
単にリスクを背負っているからではない。
そこにはもうひとつの理由がある。
それは、時間ごとに仕事内容と報酬額を、
自ら決めていること。
労働時間のすべてをお金に変えようとすると、
結果的に時給は下がっていく。

例えばプロ野球選手の練習時間には、
誰もお金を払ってくれない。
だが練習しなければ報酬は減ってしまう。
だから彼らは無報酬で練習し、
スキルアップした自分の時間を、打席ごとに、
あるいは投球回ごとに販売しているのである。

プロビジネスマンもこれと全く同じことをしている。
無報酬で自らのスキルを高める時間、
高めたスキルによって報酬を得る時間を、
きっちりと切り分けている。
重要なのは報酬を得る時間の加工だ。
何時間単位で、どのような仕事をし、
いくらの報酬を受け取るのか。
それが自分の商品となる。

 


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