社長の境目

社長と社員はどこが違うのだろうか。
雇う側と、雇われる側。
もちろんその垣根はとても高い。
自分の会社であるがゆえに、主体性も、
責任感も、仕事にかける情熱も、
社員よりずっと大きい。
それが社長というものだ。

では能力に関してはどうだろうか。
一口に社長といっても、
その能力は千差万別である。
ものすごく仕事ができる社長もいれば、
社員に毛の生えた程度の社長もいる。
下手をすれば
社員より仕事ができない社長もいるだろう。

とは言っても社長である。
ベースには、
自分の会社だという責任感と自負心がある。
何かあった時に責任をかぶるのも、
儲かった時にもっとも大きな
リターンを得るのも、社長だ。
当然のことながら、
社員よりも仕事ができる社長の方が圧倒的に多い。

なぜ社長は社員よりも仕事ができるのか。
もう一度ここを掘り下げてみたい。
自分の会社だから。
責任感があるから。
リスクがあるから。
最もリターンが大きいから。
どれも真っ当な理由であるような気がする。
だがそれらは本質ではない。

本質はもう一段深いところにある。
なぜ彼らは、そのようにリスクが高く、
責任感を求められる
社長というポジションを選択するのか。
リターンが大きいから。
もちろんそれもあるだろう。
だが大きなリターンが欲しいのは、
社員とて同じである。

社員はリスクが背負えない。
それは正しい視点だ。
では社長になる人は
なぜリスクが背負えるのだろうか。
心が鋼のように強いからか。
失うものがないからか。
いや、違う。
自分に自信があるからだ。

自分のやる気と能力に自信がある。
ビジネスプランにも自信がある。
運だってなかなか強い。
そういう人たちが会社を興す。
もちろん、その自信は単なる
過信に過ぎないかもしれない。
だがその過信こそが、
社員と社長との決定的な違いなのである。

仕事ができる人間とできない人間。
運が良い人と悪い人。
ポジティブな性格とネガティブな性格。
それは自分自身によって決定される。
どんなに実績があっても、周りが持ち上げても、
自信をもてない人がいる。

大した実績もなく、誰も認めていなくても、
なぜか自信がある人もいる。
その違いは単なる思い込みに過ぎない。
自分はできるという思い込み。
運が良く、ポジティブな人間であるという思い込み。
その通りに人生は進む。
できないと決めている人間はやらないから。
できると決めている人間はできるまでやるから。

 


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