小さなファンのつぶやき

知り合いの、知り合いの、知り合い。
ツテを辿っていけば会えない人はいない。
有名人にも、大企業の社長にも、必ず会える。
などと言われていた時代があった。
まだネットなどなく、電話や手紙や口コミで
人と人とが繋がっていた時代だ。

そこでは人脈というものがとても重宝された。
彼の紹介なら話を聞こう。
有名人や決裁権者にそう言わせる人材。
人脈を持つ人は労せずしてキーマンに会える。
人脈を持たない人は
会ってもらうために手紙を書き続ける。

あるいは断られても、断られても、
ストーカーのように通い続ける。
それしか方法がなかったのである。
有名人の知り合い、
あるいは知り合いの知り合いまでもが
価値を持っていた時代。
だがネットの出現はその状況を大きく変えた。

とは言っても人脈に
価値がなくなったわけではない。
人脈のあり方が変化したのである。
アナログ時代には何の力も持たなかった一個人が
人脈の入口へと変化した。

いま私たちは、すべてのプレーヤーが
スマホによって繋がる時代を生きている。
つながりが希薄になったと言われる一方で、
つながりはより緻密になったのである。
いいね!ボタンを押してリツイートするだけで、
その情報はフォロワーに拡散される。

そのスピードと数はアナログ時代の比ではない。
さらに情報は100%の精度で伝わって行く。
たとえばSNSで新たなサービスや商材を発表する。
イベントの内容・場所・日程などを告知する。
投稿されたオリジナルの記事は100%の精度で
コピーされ、どんどん拡散されて行く。

もはや現代には人脈ゼロの人間は存在しない。
SNSでひとりが繋がる人数を平均100人と仮定すると、
誰かがリツイートした情報はまず100人に届く。
その100人の1割がリツイートしてくれれば、
1000人の元にオリジナル情報は届けられる。
もちろん、ここで拡散が終わるわけではない。
つながる人数もこの先どんどん増えて行くだろう。

SNS時代に最も効果を発揮するのは
本気で応援してくれる個人の存在である。
この人を応援したい。
そういう気持ちを込めて
メッセージを書きSNSで拡散する。
応援したいという熱意はフォロワーに伝わり、
さらに応援の波は広がって行く。

誰と繋がっているか。
どういう人脈があるのか。
そんなこととは関係なく、
すべての個人がキーマンになりえる時代。
目の前の小さなファンの呟きが、
あなたの人生を変えるかもしれない。

 


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