利益の境目

他社では同じ商品をウチより安く売っている。
これでは売れない。
もっと価格を下げよう。
そうやって価格を下げあって、
ついに企業はその商品で利益をあげられなくなった。

外食、美容室、ビジネスホテル、
印刷、システム開発、建築などなど。
あらゆる分野で値引き合戦は繰り返され、
利益はどんどん薄くなっていった。
これではもう会社が成り立たない。
商売として成立しない。
今はそういう状況である。

商品を仕入れ、販売し、その差額によって利益をあげる。
この数式の中で販売価格を下げ続けたらどうなるか。
行き着くゴールは誰が見ても明らかである。
競争を続ければどの会社も利益が出なくなる。
正確には、死なない程度の
ギリギリの利益しか出なくなる。
当然の帰結である。

今、これとまったく同じことが、
人という分野で起きようとしている。
人を雇い、売上に貢献させ、
給料との差額によって利益をあげる。
これが雇用によって利益を生み出す企業のパターンだ。
商品販売と同じく、
その数式はいたってシンプルである。

より安く雇うか、
同じ給料でより多くの売上に貢献させれば、
会社の利益は増えていく。
ではここで給料だけをあげ続けたら、
どういうことが起こるだろうか。
一人ひとりがもたらす利益がどんどん目減りしていき、
最終的にはゼロになる。

ヘタをすればマイナスになる。
いくらなんでもマイナスになってまで
給料は増やさないだろう。
と多くの人は考えている。
ではなぜこれほど多くの中小企業が
赤字になっているのか。
答えはもう明らかである。

もう一度言おう。
数式はいたってシンプルなのだ。
50万円の利益をもたらす人材を20万円で雇用する。
するとその差額が利益となって会社に残る。
ハッピーな結論である。
だがここにライバル企業が現れる。

50万円の利益をもたらしてくれるなら、
うちは30万円給料を払うよと。
転職した人材は給料が上がり、
採用した会社は20万円の利益を手に入れる。
双方ハッピーである。
ではこれを繰り返すとどうなるのか。

うちは35万円払うよ。
だったらうちは40万円だ。45万円だ。
そうやっていくうちに利益は限界点を迎える。
もはや雇用によって利益をあげることができない。
それが現在の雇用マーケットなのである。

「最低でも給料の3倍は稼いでくれ」
「はい分かりました」という時代は、
とっくに終焉しているのである。
雇用が利益に直結する時代はもう終わった。

 


尚、同日配信のメールマガジンでは、コラムと同じテーマで、より安田の人柄がにじみ出たエッセイ「ところで話は変わりますが…」と、
ミニコラム「本日の境目」を配信しています。安田佳生メールマガジンは、以下よりご登録ください。全て無料でご覧いただけます。
※今すぐ続きを読みたい方は、メールアドレスコラムタイトルをお送りください。
宛先:info●brand-farmers.jp (●を@にご変更ください。)

 

感想・著者への質問はこちらから