vol.27【絵が新たな人生への扉を開くメッセージを教えてくれる理由】

 この記事について 

自分の絵を描いてもらう。そう聞くと肖像画しか思い浮かびませんよね。門間由佳は肖像画ではない“私の絵”を描いてくれる人。人はひとりひとり違います。違った長所があり、違った短所があり、違うテーマをもって生きています。でも人は自分のことがよく分かりません。だからせっかくの長所を活かせない。同じ失敗ばかり繰り返してしまう。いつの間にか目的からズレていってしまう。そんな時、私が立ち返る場所。私が私に向き合える時間。それが門間由佳の描く“私の絵”なのです。一体どうやってストーリーを掘り起こすのか。どのようにして絵を紡いでいくのか。そのプロセスをこのコンテンツで紹介していきます。

絵が新たな人生への扉を開くメッセージを教えてくれる理由

「門間氏の手慣れた技巧が破たん無く結晶していてうれしくなりました。」

そういって、ハガキ大の作品を買った人がいました。その人の職業は、仏師でした。仏師とは、仏像を彫って、お寺などに納めるプロの芸術家。仏像を彫るために、アトリエで何十年も過ごしてきた人です。仏像を掘るためにノミをとる感触から、筆を走らせる技巧を感じ取ったのでしょう。さらに、Iさんの【技巧】という言葉には、<単なる技術>以上の意味があります。作品づくりはこころも映し出すからです。

作品づくりの技巧、つまり技術上の工夫には、【自分らしさ】が欠かせません。自分を表現することで、観る人に言葉以上のものが伝わるからです。だから私は、鉛筆一本も、心地よいものを選びます。好きなのは、ユニの3B。アイデアが一番湧いてきます。ハイユニという上のグレードもありますが、合わないので使いません。高価だからいいわけではないのです。自分に馴染み、力を最大に発揮できるのが大切です。

ただの鉛筆選び。されど鉛筆選び。何気ないスケッチを描くための一本の鉛筆が、最後に出来上がる作品を左右するくらい影響を与えるからです。

たった一本の鉛筆ですが、絵に魂を込めることを助けてくれます。作品の中に、気持ちを写し込んでくれるのです。そして、写り込んだ作品は、観るひとに感情を共鳴させます。言葉で言わなくても、絵が語ってくれる。技巧の持つ、最も不思議で深い真実です。

Iさんが選んだ絵も、ある朝のスケッチが元になっていました。それは、私の人生を左右する、重要なものになりました。

ふと思い浮かんだイメージを走り書きしたのが最初でした。抽象的なイメージで、自分でも意味はよくわかりませんでした。ただ「描く必要がある。そして、きっと、作品にしたらイメージの理由がわかる」ことだけは、直感しました。だから、「意味のわからないものを描いてもしょうがない」とは思いませんでした。走り書きからイメージを膨らませました。そうすると、色のついた構想が浮かび、イメージがまるで生き物のように、少しずつ育ち、発展していきました。

そうして、まるで導かれるように作品にしてみると、イメージの意味がわかりました。

「決意を秘めて新たな人生へ船出すれば、新しい港に辿り着ける。次のステージの扉が開く」というメッセージだと気がついたのです。それは、迷いをなくす、自分の背中を押してくれる言葉でした。そして、ストンと腑に落ちて、私はその時、言葉通り新たな人生に踏み出したのです。

無意識の自分が届けてくれたのか、天からのメッセージなのか。理由は関係ない、と感じました。ただ、「そうだ、踏み出せばいいのだ」と、確信できるだけで十分でした。それは、2009年のころ。主な発表の場だった画廊から、一歩離れた方がいいのではないか?自分の手で届ける方が本当に必要とする人に届くのではないか?と、いつも悩んでいました。

そして、「踏み出して大丈夫だよ」という絵のメッセージを受け取って、扉を開いた後、人生が変わりました。実は、この体験が、オーダーに大きな影響を与えています。一人ひとりに向かい合うと、時に、「こんなイメージが浮かぶのはおかしい」「意味がわからないから、無視したほうがいいのではないか」と、クライアントが悩んだり、驚いたりすることがあります。その時に、「イメージは育つのですよ」「たとえ奇妙に見えても、意味がわからなくても、大丈夫ですよ」と信念を持って伝え、支えることにつながっているのです。

大きな節目となったイメージは、その後毎年のように繰り返して描く題材になりました。人生の船出。新しい扉。その感覚を象徴するために、【航海】シリーズと名づけました。

Iさんが購入した絵は、そのテーマを2015年に描いたものです。このテーマを初めて人に見せた時、予想外の感想が続出したのですが、それはまた別の物語です。

 

今回完成した作品 ≫「航海(2015)」

 

著者他の記事見る

 


 著者の自己紹介 

ビジョンクリエイター/画家の門間由佳です。
私にはたまたま経営者のお客さんが多くいらっしゃいます。大好きな絵を仕事にしようと思ったら、自然にそうなりました。

今、画廊を通さないで直接お客様と出会い、つながるスタイルで【深層ビジョナリープログラム】というオーダー絵画を届けています。
そして絵を見続けたお客様から「収益が増えた」「支店を出せた」「事業の多角化に成功した」「夫婦仲が良くなった」「ずっと伝えられなかった気持ちを家族に伝えられた」「存在意義を噛み締められた」など声をいただいています。

人はテーマを意識することで強みをより生かせるようになります。でも多くの人は自分のテーマに気がついていません。ふと気づいても、すぐに忘れてしまいます。

人生

の節目には様々なテーマが訪れます。

経営に迷った時、ネガティブになりそうな時、新たなステージに向かう時などは、自分のテーマを意識することが大切です。
また、社会人として旅立つ我が子や、やがて大人になって壁にぶつかる孫に、想いと愛情を伝えると、その後の人生の指針となるでしょう。引退した父や母の今までを振り返ることは、ファミリーヒストリーの貴重な機会となります。そして、最も身近な夫や妻へずっと伝えられなかった感謝を伝えることは、絆を強めます。そしてまた、亡くなった親兄弟を、残された家族や友人と偲び語らうことでみなの気持ちが再生されます。

こういった人生の起点となる重要なテーマほど、大切に心の中にしまいこまれてカタチにしづらいものです。

でも、絵にしてあげることで立ち返る場所を手に入れることができます。

>>著者へのお問合せはこちら

感想・著者への質問はこちらから