vol.37【慈愛の花の旅路|歯科医院の待合室に飾る絵の額装に悩むS先生が選んだコーディネート】

 この記事について 

自分の絵を描いてもらう。そう聞くと肖像画しか思い浮かびませんよね。門間由佳は肖像画ではない“私の絵”を描いてくれる人。人はひとりひとり違います。違った長所があり、違った短所があり、違うテーマをもって生きています。でも人は自分のことがよく分かりません。だからせっかくの長所を活かせない。同じ失敗ばかり繰り返してしまう。いつの間にか目的からズレていってしまう。そんな時、私が立ち返る場所。私が私に向き合える時間。それが門間由佳の描く“私の絵”なのです。一体どうやってストーリーを掘り起こすのか。どのようにして絵を紡いでいくのか。そのプロセスをこのコンテンツで紹介していきます。

慈愛の花の旅路|歯科医院の待合室に飾る絵の額装に悩むS先生が選んだコーディネート

「門間さん、決まりました。白い壁に白い額がいい。白の額装にコーディネートをお願いします」
S先生は、キッパリと言いました。顔が晴れ晴れとしています。S先生は、歯科医院の院長で、飾ろうとしているのは、医院の待合室のために描いた絵でした。

実は、決めるまでは、紆余曲折がありました。S先生は迷いに迷いました。でも、額装コーディネートでは、「幸せな悩みですから、楽しんで悩んでくださいね」と伝えます。

最初、S先生の頭の中には、医院で使っている濃い焦茶色から白まで、4段階の色が思い浮かんでいました。空間にある色味を使うのは、額装コーディネートの基礎です。どの色を使っても、額装と場のつながりを感じるので、よく馴染みます。待合室に適した選び方です。だから、4つの色味の額装のサンプルを選びました。そして、その時に、画家の気遣いでひと工夫をしました。

S先生の絵は、1メートル近い大きな絵です。普通は、数センチの額装サンプルを絵に当てて写真をとって比較するのですが、サンプルだけではイメージするのが難しいだろうと感じたのです。そこで、PCで待合室の写真と完成した絵を合成して4通りの額装カラーを当てはめてみました。

最初、「どの額装も素晴らしいので選ぶのが難しい」と悩んだS先生でしたが、その画像を見て、「患者様に一番心地いいのは白だと思いました。白い壁に、淡い色彩の絵。その額装は、白い額がいい。気が付かないくらいさりげない額装がいいとわかったのです。ありがとうございます」と、晴れ晴れとした笑顔が返ってきました。

次に、ぴったりと合う額を探しに、銀座イトウヤに行きました。額装の熟練職人が集まる日本で数少ない場所です。

もう12年以上のおつきあいになりますが、額装コーディネートの最初の頃は、不審な目で見られたものです。普通は数個の額サンプルを選ぶのに対し、私は妥協ない額を求めてサンプルを山のように選んでしまいます。

さらに、私の額装コーディネートの目的は、「クライアントの世界観を実現する」ためなので、メーカーの違う額装を組み合わせようとします。「それは普通しないのですが‥‥」と困惑されることもありました。

でも、仕上がると「初めての組み合わせですが、これはいいですね!」と、取り組みに興味を持ってくれるようになり、「普段と違うコーディネートが楽しみです!」と変わっていきました。

絵に合うだけでなく、その人の想いを額装にのせるために妥協を許さない。という背景が、度重なる額装によって、だんだんと理解されていったのです。

そして、この額装の時にも、以前目に止めて「これがいいのではないか」と決めていた額装サンプルを確認しつつ、見落としがないかと額装のサンプルを再確認しました。

そして、一つの額が、目に止まりました。「さすが目が早いですね、お知らせしようと思っていた、新しい白い額ですよ」と、スタッフが笑顔で教えてくれました。「なんともぴったりです!」というと、
阿吽の呼吸で、新たに見積もりを出してくれました。

すぐに、「額装を決めにいったら、もっと絵にぴったりな額が入っていました」と、画像を送ると、予想通り、「門間さんのいう通り、素晴らしく合いますね」と新しい額に決まりました。

そして、その後の歯科医院の待合室は‥‥。「弱っている患者さんが見て、『あ〜』といって帰ったり、『なんかいいわ』といって帰る人もいます。自然でさりげない癒しだなと思います」と、いつも待合室で患者様の様子を見ているAさんが、教えてくれました。

「道に迷うことは道を知ることだ」というアフリカの諺があります。
教えられた正しい道だけを歩いていても、本当に道を知ったことにはならない。迷いながら自分の正しい道を見つけることこそが、本当の道を知ること。知識は試行錯誤を繰り返してはじめて身に付くという意味です。

特に、想いのこもったものに対して迷うのは貴重な時間です。想いにただ一つの正解はありません。だから迷い試行錯誤して当たり前なのです。迷っていい。そうすることで、私たちは自分の道を選び出すことができるのです。

 

今回完成した作品 ≫「慈愛の花の旅路」額装コーディネート

 

<セミオーダー絵画の案内ページを作りました>
「門間さんに描いてもらい」とひそかに思いを育んておられた皆さま、是非ご確認くださいませ。

https://brand-farmers.jp/blog/monma_vision-paint/

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 著者の自己紹介 

ビジョンクリエイター/画家の門間由佳です。
私にはたまたま経営者のお客さんが多くいらっしゃいます。大好きな絵を仕事にしようと思ったら、自然にそうなりました。

今、画廊を通さないで直接お客様と出会い、つながるスタイルで【深層ビジョナリープログラム】というオーダー絵画を届けています。
そして絵を見続けたお客様から「収益が増えた」「支店を出せた」「事業の多角化に成功した」「夫婦仲が良くなった」「ずっと伝えられなかった気持ちを家族に伝えられた」「存在意義を噛み締められた」など声をいただいています。

人はテーマを意識することで強みをより生かせるようになります。でも多くの人は自分のテーマに気がついていません。ふと気づいても、すぐに忘れてしまいます。

人生

の節目には様々なテーマが訪れます。

経営に迷った時、ネガティブになりそうな時、新たなステージに向かう時などは、自分のテーマを意識することが大切です。
また、社会人として旅立つ我が子や、やがて大人になって壁にぶつかる孫に、想いと愛情を伝えると、その後の人生の指針となるでしょう。引退した父や母の今までを振り返ることは、ファミリーヒストリーの貴重な機会となります。そして、最も身近な夫や妻へずっと伝えられなかった感謝を伝えることは、絆を強めます。そしてまた、亡くなった親兄弟を、残された家族や友人と偲び語らうことでみなの気持ちが再生されます。

こういった人生の起点となる重要なテーマほど、大切に心の中にしまいこまれてカタチにしづらいものです。

でも、絵にしてあげることで立ち返る場所を手に入れることができます。

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