vol.39【「動く力」|オーダーで深く話を聴く大切さを教えてくれた絵】

 この記事について 

自分の絵を描いてもらう。そう聞くと肖像画しか思い浮かびませんよね。門間由佳は肖像画ではない“私の絵”を描いてくれる人。人はひとりひとり違います。違った長所があり、違った短所があり、違うテーマをもって生きています。でも人は自分のことがよく分かりません。だからせっかくの長所を活かせない。同じ失敗ばかり繰り返してしまう。いつの間にか目的からズレていってしまう。そんな時、私が立ち返る場所。私が私に向き合える時間。それが門間由佳の描く“私の絵”なのです。一体どうやってストーリーを掘り起こすのか。どのようにして絵を紡いでいくのか。そのプロセスをこのコンテンツで紹介していきます。

「動く力」|オーダーで深く話を聴く大切さを教えてくれた絵

この絵は、15年以上前、私が初めて人にヒアリングして描いた作品です。

今思えば、始めたときは軽い気持ちだったな、と思います。しかし、はじめてみたら「真にヒアリングするということは、歴史背景まで読み取ることだ」と衝撃を受けました。

ヒアリング、というと、「情報収集」と言う意味ですが、本当の情報収集とは、言葉の背景まで読み解くことだと気がついたのです。

振り返ってみれば、この経験が、オーダーで話を深く聴く大切さを教えてくれました。

ヒアリングは、絵を描く中で自分を深く見つめる体験をしたのがきっかけでした。深く感じて絵を描く繰り返しで、いわゆる禅体験をします。
そのとき、「時代の違う人で、同じような体験をした人から話を聴きたい」と思いつきました。しかし、私は、禅体験を共有する以前に、ヒアリング自体に躓くことになります。

はじめに、極限を生き抜いた表現者ならきっと同じような禅体験をしていると考えました。そして、第二次世界大戦を生きた人がいいと思いました。確かに、禅体験について話をきくには良かったのですが、人が持つ歴史背景を私は甘く見ていました。

相手を知ろうとすること。相手が大切なことや重要なことを同じように大事にすること。今回で言えば、戦争を体験していることへの敬意を払う。これが、ヒアリングの第一歩だと考えました。まさか、全く違う日本への見方が現れてくるとは考えませんでした。

Mさんは、日本への誇りとものづくりの尊さを語りました。
Yさんは、欧米への憧れと購買の楽しさを語りました。

わずか十歳ほどしか離れていません。しかし、考え方が全く違うのです。このとき、私は二人の差が戦争での年齢の差だと気がつきました。
Mさんは、大人として戦争を迎えました。一方、Yさんは、子供として戦争の中で育ちました。背景が違うのです。

Mさんにとって、戦前の日本文化が原点でした。多くの人が、皿や箸を自分で作り出すことができたそうです。誰もがものづくりをできる文化でした。そして、その器用さは、戦争中、ものがない時に生きるためにも欠かせない技術だったと語りました。

Yさんも、子供時代に戦争を体験したのですが、どちらかというと、戦後入ってきた欧米の華やかさ、お菓子など手に入るものが増えていくことが強烈だったと語りました。「アメリカってすごい」と素直に感じたそうです。

Mさんが、戦後日本を気楽で幸せだと感じると共にアメリカ主導の価値観に割り切れなさを抱えているのに、Yさんは戦後を素直に喜んでいる。

戦後を全く違う想いで語る2人。「この日本で良かったのか」「この日本でいい」この話を同時期に聴いた私は、正直なところ、「自分は日本をどう捉えるのか」と突きつけられているような気がして、一年ほど混乱しました。

しかし、話を聴き続けるうちに、気がつくことができました。

ヒアリングで大事なのは、「私がどう思うか」ではなく、相手の想いに寄り添うこと。相手の心深く聴くのに徹することなのだと。

「相手の言うことを正確に聴いて、次に、聴いたことを正確に理解する」と、カウンセラーの吉田哲氏が言っているように、想いを受け止めることが出発点になるのだと気がついたのです。

正確に聴くことができているのかどうか。人間だから、好不調や、気づかない隙間もあるだろうと思います。でも、不完全であることを認めながら、いつも、真に「聴く」ことを目指すのです。

今、オーダーでは、ヒアリングではなくセッションと呼んでいます。そうすると【あなたとの特別な時間】、という意味が込められるように感じるからです。

この時描いた作品は、二人の手をモチーフに、ヒアリングでの無数の言葉を絵に書き込んでいます。今ならば、色や形に置き換えることができるでしょう。でも、このときは、まだそれができませんでした。

しかし、言葉と絵が組み合わさった独特の作品となっており、何よりも、ヒアリングとは何かを教えてくれた、大切な時間が刻み込まれています。

 

今回完成した作品 ≫「動く力」

 

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https://brand-farmers.jp/blog/monma_vision-paint/

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 著者の自己紹介 

ビジョンクリエイター/画家の門間由佳です。
私にはたまたま経営者のお客さんが多くいらっしゃいます。大好きな絵を仕事にしようと思ったら、自然にそうなりました。

今、画廊を通さないで直接お客様と出会い、つながるスタイルで【深層ビジョナリープログラム】というオーダー絵画を届けています。
そして絵を見続けたお客様から「収益が増えた」「支店を出せた」「事業の多角化に成功した」「夫婦仲が良くなった」「ずっと伝えられなかった気持ちを家族に伝えられた」「存在意義を噛み締められた」など声をいただいています。

人はテーマを意識することで強みをより生かせるようになります。でも多くの人は自分のテーマに気がついていません。ふと気づいても、すぐに忘れてしまいます。

人生

の節目には様々なテーマが訪れます。

経営に迷った時、ネガティブになりそうな時、新たなステージに向かう時などは、自分のテーマを意識することが大切です。
また、社会人として旅立つ我が子や、やがて大人になって壁にぶつかる孫に、想いと愛情を伝えると、その後の人生の指針となるでしょう。引退した父や母の今までを振り返ることは、ファミリーヒストリーの貴重な機会となります。そして、最も身近な夫や妻へずっと伝えられなかった感謝を伝えることは、絆を強めます。そしてまた、亡くなった親兄弟を、残された家族や友人と偲び語らうことでみなの気持ちが再生されます。

こういった人生の起点となる重要なテーマほど、大切に心の中にしまいこまれてカタチにしづらいものです。

でも、絵にしてあげることで立ち返る場所を手に入れることができます。

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