vol.42【ハッピー・リンク|会社10周年記念に龍の絵を依頼したWさん】

 この記事について 

自分の絵を描いてもらう。そう聞くと肖像画しか思い浮かびませんよね。門間由佳は肖像画ではない“私の絵”を描いてくれる人。人はひとりひとり違います。違った長所があり、違った短所があり、違うテーマをもって生きています。でも人は自分のことがよく分かりません。だからせっかくの長所を活かせない。同じ失敗ばかり繰り返してしまう。いつの間にか目的からズレていってしまう。そんな時、私が立ち返る場所。私が私に向き合える時間。それが門間由佳の描く“私の絵”なのです。一体どうやってストーリーを掘り起こすのか。どのようにして絵を紡いでいくのか。そのプロセスをこのコンテンツで紹介していきます。

ハッピー・リンク|会社10周年記念に龍の絵を依頼したWさん

「会社の10周年記念に龍の絵が欲しいけど、どんな龍がいいのかわからない」と、Wさんが訪れました。Wさんは、ヘア&メイク、着付けなどの事業を展開している社長です。
「どんな龍がいいかわからなくても、大丈夫ですよ。セッションの中で、ひも解いていきます」と伝えると、Wさんは、笑顔になりました。話をするうちに、視覚からものを捉えるのが得意なのが伝わってきました。そのため、今までの作品集を見ながら、理想に近い龍を一緒に探しました。

人は、情報の受け取り方に感覚によって優位な場所があります。例えば、Wさんは、視覚優位。視覚からの情報収集・理解を得意とするタイプです。他に、聴覚からの情報収集・理解を得意とする聴覚優位、体感したり、行動したりすることからの情報の収集・理解を得意とする体感優位などがあると言われています。

たくさんの龍からWさんが目に留めたのは、モノトーンで螺旋の金龍でした。そのため、金龍にこめられた想いと、どのように想いを色や形に置き換えて描いているのかを解説しました。
そして「金龍をヒントに、何が浮かびますか?」「今、色は何が浮かびますか?」と、何気なく聴きながら、楽しく話していただくことで、自然に答えを導くのが、ビジョンクリエイターの役割です。すると、Wさんは、金龍を手がかりに、欲しい龍を一つ一つ言葉にできるようになりました。

Wさんが好むモノトーンの画面。色が微妙に入り混じった龍。10年、そして、その先に登っていく昇龍の姿が、浮かび上がりました。

アトリエに戻って、最初の構想画を描きました。イメージを絵に表現するのが、画家の役割です。
次のセッションで、それを見ながら、Wさんに、思うままを話していただきました。すると、Wさんが描いてほしい龍が変わりました。

「モノトーンの龍を見ていたら、パステル色のなかにいる白龍が浮かびました。良いことも悪いことも全て飲み込んで円にできる柔らかいイメージです」

モノトーンの龍から、白龍に変化したとともに、Wさんの想いが【円】に表現されたことが伝わってきました。セッションが進む中で、思いをイメージに置き換えられるようになっていきます。すると、10周年記念への想いもさらに、掘り下げられていきます。

セッションを受けて描いた下絵は、パステルカラーの中に弧を描く白龍になりました。すると、Wさんのイメージは、さらに動きます。Wさんは、一つのイメージを見たら、次のイメージが湧くタイプでした。そして、イメージが湧くごとに、想いが深まっていきました。

「下絵を見ていたら、どろっとしたパープルを入れると、悪いことも【まる】にできるような気がしました。
そして、竜の鼻先が上を向いて水先案内がいる方がいいと浮かびました。
誰もが持っているお腹の中の黒い部分。悪いことというか、理性で抑えている部分とでも言いますでしょうか。それも飲み込んで【まる】にできる‥‥。
関わった全ての方々のお陰で今があります。人間だけでなく、犬猫も、です。思いを託してくれた同志、去っていった人、変わらずいてくれる人たち、これから知り合う人。関わったことで、生まれるさまざまな思いや気持ちが、入り混じって形になり、そして、変化し続けると思っています」

絵の依頼なのに、人として感じることや、経営戦略などを語る。それは、普通のオーダー絵画では考えられないかもしれません。絵のオーダーというと、「こういう絵を、これくらいのサイズで描いて欲しい」と想像すると良く言われます。
しかし、私は、クライアントの物語がとても大切だと考えています。だから、断片をつなぎ、軸を見出し、絵の技術でまとめていきます。Wさんの根底にある物語。人生、経営、世界観‥‥そこに、表現したい世界があるのが伝わってくるからです。

だから、どろっとしたパープルと鼻先と水先案内が悪いことや課題や困難に向かい合い、龍が水先案内に導かれて進むイメージに、表現されました。

アートの魅力は、深いところからつくった作品が、いつでも何かを問いかけてきてくれる。絵と対話できる。人生と同じで、答えがないのが真の魅力だと考えています。飾って楽しむだけではなく、何か考えるきっかけになったり、考えが広がったりするのが、本当の醍醐味なのです。

完成した絵を手にしたWさんは、
「一年近くにわたり、自分の仕事を客観視して再発見できる貴重なオーダープロセスでした」
と目を輝かせました。

「全てがリンクして向上していけますように、『ハッピー・リンク』と名づけました」
絵の完成とともに10周年を迎えたWさんは、その後、夢に思い描いていたシンガポールにも進出しました。

今回完成した作品 ≫「ハッピー・リンク」

 

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「門間さんに描いてもらい」とひそかに思いを育んておられた皆さま、是非ご確認くださいませ。

https://brand-farmers.jp/blog/monma_vision-paint/

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 著者の自己紹介 

ビジョンクリエイター/画家の門間由佳です。
私にはたまたま経営者のお客さんが多くいらっしゃいます。大好きな絵を仕事にしようと思ったら、自然にそうなりました。

今、画廊を通さないで直接お客様と出会い、つながるスタイルで【深層ビジョナリープログラム】というオーダー絵画を届けています。
そして絵を見続けたお客様から「収益が増えた」「支店を出せた」「事業の多角化に成功した」「夫婦仲が良くなった」「ずっと伝えられなかった気持ちを家族に伝えられた」「存在意義を噛み締められた」など声をいただいています。

人はテーマを意識することで強みをより生かせるようになります。でも多くの人は自分のテーマに気がついていません。ふと気づいても、すぐに忘れてしまいます。

人生

の節目には様々なテーマが訪れます。

経営に迷った時、ネガティブになりそうな時、新たなステージに向かう時などは、自分のテーマを意識することが大切です。
また、社会人として旅立つ我が子や、やがて大人になって壁にぶつかる孫に、想いと愛情を伝えると、その後の人生の指針となるでしょう。引退した父や母の今までを振り返ることは、ファミリーヒストリーの貴重な機会となります。そして、最も身近な夫や妻へずっと伝えられなかった感謝を伝えることは、絆を強めます。そしてまた、亡くなった親兄弟を、残された家族や友人と偲び語らうことでみなの気持ちが再生されます。

こういった人生の起点となる重要なテーマほど、大切に心の中にしまいこまれてカタチにしづらいものです。

でも、絵にしてあげることで立ち返る場所を手に入れることができます。

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