vol.48【瞳のなかに|60代男性が子供の頃飼っていた愛犬】

 この記事について 

自分の絵を描いてもらう。そう聞くと肖像画しか思い浮かびませんよね。門間由佳は肖像画ではない“私の絵”を描いてくれる人。人はひとりひとり違います。違った長所があり、違った短所があり、違うテーマをもって生きています。でも人は自分のことがよく分かりません。だからせっかくの長所を活かせない。同じ失敗ばかり繰り返してしまう。いつの間にか目的からズレていってしまう。そんな時、私が立ち返る場所。私が私に向き合える時間。それが門間由佳の描く“私の絵”なのです。一体どうやってストーリーを掘り起こすのか。どのようにして絵を紡いでいくのか。そのプロセスをこのコンテンツで紹介していきます。

瞳のなかに|60代男性が子供の頃飼っていた愛犬

「門間さんの描いた鹿の瞳に感動して思わずひきこまれました。その時、思ったのです。こんな目のボクサー犬の絵が自宅にあったらいいなって」とNさんは言いました。Nさんは60代男性。背が高く、おしゃれなネクタイにスーツを着こなす、会社役員です。人情味溢れる声音が、心地よく部屋に響きます。その雰囲気から豊かな人間力で、部下を包み込んでいるのが浮かんできます。

そして、Nさんは熱く語り出しました。「鹿の絵を見て、以前、耳の立ったボクサー犬を飼っていてとても可愛かったことを思い出しました」ボクサー犬の素晴らしさが溢れ出したのです。「主人や家族に対する愛情の深さと忠実さで知られている。だから、家族にとっては危険のない犬だけど、見知らぬ人間には気を許さないし、勇敢で恐れを知らないから、番犬にもぴったりなのです。遊んでいるときは快活で人なつっこくて、頭がよく従順。誠実と忠誠の鑑で、裏切ったりごまかしたりしない、本当に惚れ惚れするようなカッコいい犬なのです」

その言葉を聴いて、なぜ鹿の絵に惹かれたのかわかりました。あの鹿の絵は、依頼主の心の友として描いたものです。心や魂でのつながりを、描き出してもらいたい、という願いが伝わってきました。

「はい、真っ直ぐな瞳のボクサー犬を描かせていただきますね」と、熱い気持ちを受け取りました。

アトリエに戻り、Nさんの話を思い出しながら絵の構想を練りました。

ボクサー犬には耳の垂れたものとピンと立ったものの二種類がいますが、「Nさんが飼っていたのはどちらですか?」と聴いた時「耳は立ってなくちゃボクサーじゃない」とキッパリいいました。ピンと立っている耳は、直線的です。垂れた耳の柔らかな曲線と比べると、勢いを感じます。

真っ直ぐという形に強い思い入れがあることから、強さ、精悍さが大事なのが伝わってきます。イメージを浮かべているうちに、Nさんの、キリッとした姿勢とボクサー犬の姿が表裏一体に重なってきました。

「まっすぐに、そこにいる」という気概です。
不器用、無骨、ゆうずうがきかなくてもいい、信念を、確信を持てていれば、それに間違いがないと信じられていればそれでいい。
ピンと立った耳を持った、真っ直ぐこちらをみるボクサー犬の構図は、依頼者が言葉に表さなかった想いも雄弁に伝えてくれました。

そして、「子供時代に、芝生の庭で一緒に遊んだから、背景は美しい芝生色」です。犬と過ごした幸せな気持ちを表すとともに、現在の自分を明るく照らすような色。
ボクサー犬はNさんの分身。ですから、絵を通じて、暖かい日差しに照らされた芝生でNさんを包み込んで癒すのです。

完成した絵を見たNさんは、「うん、こっちに語りかけるな‥‥。じっと聴き入るような感じもする。賢い犬だな。門間さん、どうもありがとうございました。子供の頃のボクサー犬が、相棒として帰ってきてくれたようで嬉しいです」と喜びました。

絵は、“かたちと形”の無数の重なりの中で、あなただけの物語を紡いで語りかけてくれるのです。

 

今回完成した作品 ≫「瞳のなかに」

 

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「門間さんに描いてもらい」とひそかに思いを育んておられた皆さま、是非ご確認くださいませ。

https://brand-farmers.jp/blog/monma_vision-paint/

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 著者の自己紹介 

ビジョンクリエイター/画家の門間由佳です。
私にはたまたま経営者のお客さんが多くいらっしゃいます。大好きな絵を仕事にしようと思ったら、自然にそうなりました。

今、画廊を通さないで直接お客様と出会い、つながるスタイルで【深層ビジョナリープログラム】というオーダー絵画を届けています。
そして絵を見続けたお客様から「収益が増えた」「支店を出せた」「事業の多角化に成功した」「夫婦仲が良くなった」「ずっと伝えられなかった気持ちを家族に伝えられた」「存在意義を噛み締められた」など声をいただいています。

人はテーマを意識することで強みをより生かせるようになります。でも多くの人は自分のテーマに気がついていません。ふと気づいても、すぐに忘れてしまいます。

人生

の節目には様々なテーマが訪れます。

経営に迷った時、ネガティブになりそうな時、新たなステージに向かう時などは、自分のテーマを意識することが大切です。
また、社会人として旅立つ我が子や、やがて大人になって壁にぶつかる孫に、想いと愛情を伝えると、その後の人生の指針となるでしょう。引退した父や母の今までを振り返ることは、ファミリーヒストリーの貴重な機会となります。そして、最も身近な夫や妻へずっと伝えられなかった感謝を伝えることは、絆を強めます。そしてまた、亡くなった親兄弟を、残された家族や友人と偲び語らうことでみなの気持ちが再生されます。

こういった人生の起点となる重要なテーマほど、大切に心の中にしまいこまれてカタチにしづらいものです。

でも、絵にしてあげることで立ち返る場所を手に入れることができます。

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