「いやいや、会社の利益につながる正しい主張ならば、もちろん大歓迎。社員には、意見をどんどん発信するよう呼び掛けている」という声が聞こえる。しかし、『セクショナリズムは悪』という意識が前面化した組織は、まずそうはならない。「変革の考えを誰かが述べるが、みんなが空気を読むから実現しない。」「意見を言わせるが、細部に文句をつけてつぶす。」そんなむなしい循環で覆われるのではないか。
こんな組織から、経営視点をもった社員が生まれるなら、それは奇跡である。
もし、その会社が悪しきセクショナリズムに悩まされているとしたら、それは部門エゴのせいではない。社員における経営視点とは、それぞれの主張や意見というエゴが、客観的でクールな議論によって収斂されて結ばれていく“一点”にあるのだと思う。クールでていねいな議論は、意見の矛盾を露呈させ、部門ごとの歪みを削り取り、いびつな部門連係の噛み合わせをよくする。結果、部門の部分最適はうまく消化されて、より高いレベルで全体最適解が生まれていく。
客観的でクールな議論を、ていねいで細かい言語力で実践できるならば、である。
つまり、社員の経営視点や当事者意識が育たないのは、セクショナリズムのせいではない。それは、濡れ衣だ。逆効果なのだ。健全なセクショナリズムの衝突の先にこそ、経営視点は生まれるのだから。
経営視点や当事者意識の邪魔をする真犯人は、誰か。
それはセクショナリズムの衝突を吸収できない、『貧しい言葉力と議論力』であり、
その結果生まれる『同調圧力による協調精神』と言えそうだ。
なんだか、昨今の日本社会の問題点と通ずるものがある、と思いませんか。
(次回へ続く)
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【ハッテンボール・グループ 代表取締役 伊藤英紀】
企業表現コンサル/コピーライター 1961年生 広告学校と大学をダブルスクール。㈱リクルートで、バイトなのに制作チーフを務めたのち、同社契約コピーライターに。1990年 前身 伊藤英紀事務所を創業。※元ワイキューブ取締役有限会社ハッテンボール ◎創業1990 ◎設立2006 ◎資本金1000万円 〒169-0073 東京都新宿区百人町2-27-7 ハンドレッドステイレジデンス1108 ℡03・6698・4863株式会社ハッテンボール・ダイレクト ◎設立2011 ◎資本金1000万円 〒460-0002 名古屋市中区丸の内 1-2-7 プレサンス丸の内雅殿904 ℡080・6919・3870
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