赤い出口、青い出口 第17回「企業には定年がない」

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自覚して生きている人は少ないですが、人生には必ず終わりがやってきます。人生だけではありません。会社にも経営にも必ず終わりはやって来ます。でもそれは不幸なことではありません。不幸なのは終わりがないと信じていること。その結果、想定外の終わりがやって来て、予期せぬ不幸に襲われてしまうのです。どのような終わりを受け入れるのか。終わりに向き合っている人には青い出口が待っています。終わりに向き合えない人には赤い出口が待っています。人生も会社も経営も、終わりから逆算することが何よりも大切なのです。いろんな実例を踏まえながら、そのお話をさせていただきましょう。

第17回 企業には定年がない

【あなたたちは、人生逃げ切ったでしょ?】

私のように、サラリーマンあがりで個人で仕事をしている人が、珍しくなくなりつつあります。このようにネット上で名前を出し始めると、なにをしているのか連絡をいただくことがままあります。
誰から連絡が来ると思われますか?
大手企業に勤めている、収入の高い、いわゆる“人生勝ち組”と言われるひとたちです。聞くと、待遇や収入に不満があるわけでもなく、仕事にやりがいも感じていらっしゃる。

「あなたたちは、人生逃げ切ったから安泰でしょ?」
とすぐそこまで出かかるのを抑えながら、私の考えやこれからの仕事、苦悩ややりがいをお話しすると、
「へー、そんな仕事もあるんだ」
「おもしろいねえ。それは僕でもできそうだね」
なんて、興味深く質問を繰り出してきます。

【次の生きがい探し】

食事をしながら、深く話をしていくと共通の悩みにたどり着きます。
収入は満足。ローンも完済。子供育てはひと段落。仕事も面白い。
でも、65歳で引退。
でも、65歳で引退。

そして、口をそろえて同じことをおっしゃいます。
「お金もらっても、そんなに使わないんだよね。」

自分の人生を考えたときに、どのように生きていくのが良いかを模索されているのですよね。お金を稼いで豊かになるために、大手企業に入ったり、大手企業を作ってきた方たちです。それを手に入れた今、次の生きがいを探されているのかもしれません。

目的がなくなった人生ほど怖いものはないと。

【目的をなくした企業】

企業の経営者は、時間と引き換えに給料を渡して組織作りをしてきました。給料がモチベーションとなって、大きな組織となってきた背景が少なからずあります。
お金で豊かな生活が買えるので、組織の活力は稼ぎたい社員の活力とイコールでした。
ただ、今の現状は給料が組織のモチベーションではなくなっています。給料をちょっと上げたところで、組織のモチベーションはあがりません。

これはどこかで聞いたことある話だなと。
給料を上げても、モチベーションが上がらない。
金利を下げても、貸し出しは増えない。
ああ、これは企業も目的をなくしているということではないでしょうか?
企業も個人もお金を稼いだり、使ったりする目的がなくなったら、活力は落ちちゃいますよね。

【活力はお金では買えない】

65歳で定年。
なんと素晴らしいことに会社員には出口があります。
特別なことがない限り、65歳で次の生きがいを見つけることができるようになります。今まで稼いだ分、使う目的を探すことができ、活力ある人生を送る可能性がでてくるでしょう。

一方、企業はどうでしょうか?
企業には定年がありません。存続することが大前提だからです。お金が回れば、企業としての使命を全うしているとも言えます。ただ、今は働く人がお金で動かなくなっているので、企業としての活力を社員に依存するシステムが稼働しません。
稼ぐ目的がない。使い道もない。出口もない。お金はある。
お金を稼ぐこと以外の目的が、組織に必要になっているのは間違いありません。これからは、何のために稼ぐのか、企業としての目的を再定義しないと、活力ある組織とはなっていかないでしょう。

 


- 著者自己紹介 -

人材会社、ソフトウェア会社、事業会社(トラック会社)と渡り歩き、営業、WEBマーケティング、商品開発と何でも屋さんとして働きました。独立後も、それぞれの会社の、新しい顧客を創り出す仕事をしています。
「自分が商売できないのに、人の商品が売れるはずがない。」と勝手に思い込んで、モロッコから美容オイルを商品化し販売しています。<https://aniajapan.com/>
売ったり買ったり、貸したり借りたり。所有者や利用者の「出口」と「入口」を繰り返して、商材を有効活用していく。そんな新規マーケットの創造をしていきたいと思っています。

出口にこだわるマーケター
松尾聡史

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