【GlobalPicks/vol.139】シリーズ コロナ後の世界(No.5)

GlobalPicks 〜海外の情報を読み解いて、ビジネスに付加価値を投薬する方法〜 著者:小出 紘道


「シリーズ コロナ後の世界(No.5)」として、Mckinseyのサイトから「引き続き、コロナ禍の不確実性を反映し続ける、消費者意識と行動」を読み込んでます。

欧米各国で街が再開し始めて( そのうち再びロックダウンする街が増えるかもですね)、 いわゆるNew Normalにむけて動き始めているわけですが、「 やっぱり今後も、 消費者の行動や思考はコロナの影響を反映し続けるだろう」 というのが主旨となっています。

いくつかの興味深いチャートがあるので、 これらの紹介していこうと思います。

Health and “caring” economy (健康と”ケア”重視の経済)

Across countries, survey respondents say that when deciding where to shop, they look for retailers with visible safety measures such as enhanced cleaning and physical barriers. In addition, they buy more from companies and brands that have healthy and hygienic packaging and demonstrate care and concern for employees


各国の調査で分かったこととして、消費者が「どの店で買い物をするか」を決めるときに、「清潔さ」を重視していていたり「物理的な飛沫対策」などを講じているお店を探していることが挙げられる。さらに、自社の従業員の健康面や衛生面のことを配慮しながら運営している会社やブランドから物やサービスを購入しがち、ということも分かった。

「コロナ禍で消費者が何を基準にお店を選ぶようになったのか?」
というテーマで下記のチャートが載っています。

数値の大きさが「それぞれの項目(表側)を各国の人々がどの程度重視するようになったのか?」を示していて、水色の棒グラフは「その国で最も重視されるようになった項目」を示していまます。

ざっくりと次のことが読み取れます。
・当然のことながら「Healthy and hygienic packaging(健康的で衛生的な商品)」を最重視する国が多い
・次に多いのが「How companies take care of the safety of their employees(従業員の安全/健康への配慮をしている企業か?)」となっていて、ここが注目点である
・India, Korea, Chinaは「購買基準の変化度合い」が大きい一方で、Japanは『やっぱり(先週の記事参照)』変化度合いがさい
・とはいえJapanでも「How companies take care of the safety of their employees(従業員の安全/健康配慮をしている企業か?)」が重視されるようになってきた

このチャートと同じような文脈で、最近の欧米の経済紙が好むネタが
「Sharing economy (シェア経済)から Caring economy(ケア経済)への移行」
です。

これまでは、「カーシェアとかルームシェアとかタイムシェアとか”シェア”の仕組みをうまく活用している企業やブランドが強いのだ!」と「シェア経済」を煽りまくっていた欧米メディア(日本のメディアもですけど、、、)が、コロナ禍で論調を一変させつつあります。

Share(共有)とかGroup(集団)とかRental(レンタル)といったシェア経済の柱が、コロナ禍の「密を裂けたり共有を避ける流れ」に飲まれて主役の座から引きずりおろされる代わりに、「社会をケアしている」「誰かをケアしている」「弱者をケアしている」企業やサービスが主役の座に押し上げられつつあります。

大きなムーブメントとして「従業員をケアしている」企業が「消費者に選ばれる」企業となりつつあるのです。
政治の世界だと、国民を手厚くケアしたり、手厚い予算をつける(国が借金をする)と、時にPopulism(ポピュリズム/ 国民への迎合)と揶揄されます。従業員を手厚くケアしたり、会社の予算を従業員に優先的に振り分ける企業は「New Normalの旗手」となるのか、はたまた「ただのPopulism(ポピュリズム)企業」で終わるのか、要注目ですね。

 


「本コラムと、本業ビジネスとの関係」(著者・小出紘道より)

本業ビジネスでは「マーケティング&戦略コンサル」の仕事と、「高付加価値情報提供サービス」の仕事をしています。本コラムは後者の「高付加価値情報提供サービス」の初級編としての入り口となればいいな、と思ってます。世界の誰かが”既にかなり研究したり、結論を出している”にも関わらず”日本では流通していない数値情報や文字情報”がたくさんあります。それらの情報を、日本のマーケットにフィットするように編集・分析すれば「競合他社」や「競合他者」を出し抜ける可能性が高まります。法人向けのサービスとなっていますので、詳細はFace to Faceでお伝えしますね。

著者情報


小出紘道 (HIROMICHI KOIDE)
◆株式会社シタシオン ストラテジックパートナーズ 代表取締役社長 http://citation-sp.co.jp
◆株式会社シタシオンジャパン 取締役会長 http://www.citation.co.jp
◆株式会社 イー・ファルコン 取締役 http://www.e-falcon.co.jp
<いわゆる経歴>
・2000年 株式会社東京個別指導学院に新卒で入社して、11ヶ月だけ働いてみた(→早めに飽きた) ・2001年 イギリスに行って、University of Londonで経済と国際関係を学んだり、Heriot-Watt Universityで経営学(MBA)をやってみた(→めちゃくちゃ勉強した)。この間に、イギリス人の友人とロンドンで会社を作ってみた(→イマイチだった) ・2003年 シタシオンジャパン社でマーケティングをやり始めてみた(→ろくにエクセルも使えなかった) ・2007年 シタシオンジャパン社の代表取締役社長になって経営をやってみた(→やってみてよかった) ・2018年 シタシオンジャパン社の社長を仲間に託し、引き続き会長としてコミットしつつも、シタシオンストラテジックパートナーズ社を設立してみた(→今ここ)
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