【vol.355】2025年ホスピタリティのトレンド⑩

GlobalPicks 〜海外の情報を読み解いて、ビジネスに付加価値を投薬する方法〜 著者:小出 紘道


引き続き、Lighthouseという欧米のホテルマネジメントサービスが「ホテル&ホスピタリティ業界の動向」をまとめている記事がビジネス的に参考になりそうなので、読んでみたいと思います。

今週の記事はこれ。
The top 10 travel and hospitality trends that will shape 2025
(2025年に表出するホスピタリティのトレンドトップ10)
https://www.mylighthouse.com/resources/blog/top-10-travel-and-hospitality-trends-2025

トップ10のトレンドは下記の通りです。

1.Consumer caution continues into 2025, but the desire to travel remains
2.Optimism grows for Asia-Pacific hoteliers amid rising travel demand
3.India’s luxury hotel sector: A star on the rise
4.The steady advance of short-term rental growth
5.The evolution of event-driven travel: New patterns emerge
6.The rise of authentic travel beyond tourist hotspots
7.AI adoption will transform Revenue Management
8.The rise of Total Revenue Management and the search for ancillary revenue
9.Personalization will be the new standard in 2025
10.The distribution landscape in 2025, one of evolving challenges

 

引き続き「10.The distribution landscape in 2025, one of evolving challenges」を見ていきたいと思います。

10.The distribution landscape in 2025, one of evolving challenges
2025年の流通環境:進化する課題の一つ

While rate parity is seen to maintain transparency and prevent guest confusion, it also poses significant challenges for hoteliers. High OTA commissions and the operational burden of monitoring rate consistency (or disparity) have led many to question its long-term viability.

料金均一化は透明性を維持し、ゲストの混乱を防ぐと認識されている一方で、ホテル経営者にとって重大な課題も生み出している。OTAの高額な手数料と、料金の一貫性(または不一致)を監視する業務負担により、その長期的な持続可能性に疑問を呈する声も少なくない。

Rate Parity(料金均一化)問題というのは、OTA(オンライン旅行代理店)がホテルに対して「いろんな販路でいろんな価格があるとややこしいから均一にしてね」と働きかける問題のことと理解しています。
Rate Parityを強いられると、集客力の高い有名なOTAサイトが有利になるわけですね。
ホテルは本当は自社サイトで予約してもらいたいのは当然の願いですが、ホテル自身には自力集客力が無いので、業界では「まあ仕方のないことだけどどうにかならないものか」という感じでしょう。

 

昨年随分ニュースになっていましたが、最大手OTAのBooking.comに対してEUが「Rate Parityの禁止判決」を出していました。
こうしたニュースも踏まえて下記のように記載されています。

Direct booking initiatives, loyalty programs, and exclusive offers are shifting the balance of power back toward hoteliers.

ホテル側の直接予約促進策、ロイヤルティプログラム、独占オファーが、力関係を再びホテル経営者側に傾きつつある。

OTAとホテルとの力関係が、これまではOTA側に圧倒的な力があったわけですが、ホテル自体の会員プログラムや会員に対しての独占オファーなどによって(Rate Parityの禁止に加えて)、ホテル側が力を取り戻し始めているという指摘です。

 

このRate Parityについて少し調べてみましたが、下記の2種類が存在しているようです。

1. ワイド・パリティ(Wide Parity)
→ ホテルはどの販売チャネルでもOTAより安い料金を出してはならない
(最も制限が強い)
2. ナロウ・パリティ(Narrow Parity)
→ ホテルは自社公式サイト以外では、OTAより安い料金を出してはならない

※公式サイトでは割引OK、ただし公に宣伝できない場合も

 

今後は、おそらくNarrow Parityの流れになるはずなので、ユーザー目線ではますますホテルの公式サイトで会員になって、会員だけが受けて取れるオファーを活用するのが一番お得になるのでしょうね。

 

 

著者の他の記事を見る


「本コラムと、本業ビジネスとの関係」(著者・小出紘道より)

本業ビジネスでは「マーケティング&戦略コンサル」の仕事と、「高付加価値情報提供サービス」の仕事をしています。本コラムは後者の「高付加価値情報提供サービス」の初級編としての入り口となればいいな、と思ってます。世界の誰かが”既にかなり研究したり、結論を出している”にも関わらず”日本では流通していない数値情報や文字情報”がたくさんあります。それらの情報を、日本のマーケットにフィットするように編集・分析すれば「競合他社」や「競合他者」を出し抜ける可能性が高まります。法人向けのサービスとなっていますので、詳細はFace to Faceでお伝えしますね。

著者情報


小出紘道 (HIROMICHI KOIDE)
◆株式会社シタシオン ストラテジックパートナーズ 代表取締役社長 http://citation-sp.co.jp
◆株式会社シタシオンジャパン 取締役会長 http://www.citation.co.jp
◆株式会社 イー・ファルコン 取締役 http://www.e-falcon.co.jp
<いわゆる経歴>
・2000年 株式会社東京個別指導学院に新卒で入社して、11ヶ月だけ働いてみた(→早めに飽きた) ・2001年 イギリスに行って、University of Londonで経済と国際関係を学んだり、Heriot-Watt Universityで経営学(MBA)をやってみた(→めちゃくちゃ勉強した)。この間に、イギリス人の友人とロンドンで会社を作ってみた(→イマイチだった) ・2003年 シタシオンジャパン社でマーケティングをやり始めてみた(→ろくにエクセルも使えなかった) ・2007年 シタシオンジャパン社の代表取締役社長になって経営をやってみた(→やってみてよかった) ・2018年 シタシオンジャパン社の社長を仲間に託し、引き続き会長としてコミットしつつも、シタシオンストラテジックパートナーズ社を設立してみた(→今ここ)
著者ページへ

感想・著者への質問はこちらから