このコラムについて
世の中の情報は99%が「現在」または「過去」のものでしょう。たった1%の未来情報をつかめる人だけが、自分のキャリアやビジネスを輝かせるのです。でも、未来情報なんか手に入らないよ!と思ったアナタ。ご安心を。もしアナタが古い体質の会社に勤めているなら超ラッキー。そんな会社の経営者ならビジネスがハネるかも。
未来コンパスが、あなたの知らない未来を指し示します。
ー 第15回 自分だけのミライの縄張りをつくる
前回はソルナ㈱様の事例をご紹介しました。
競合が手を付けていないコンセプトをみつけ、それを点ではなく「面」として押さえられるネーミングをつける。そのネーミングを商標権で合法的に独占する。まだないコンセプト=未来のマーケットを予約するという好例でした。
「でも、ウチではそんなことできないよ」と思った皆さん。安心してください。知財のデータを使えば、まだないマーケットを探すヒントになるのです。
■未来コンパスが指すミライ
~戦後の焼け野原に縄張りをつくる感覚で~
知財のデータには、企業が歩もうとしている現在~未来の情報がつまっています。どのような製品をリリースし、どのようなサービスを世に出そうとしているのか分かります。
それを切って、貼って、纏めてみる。競合に独占されているエリア、まだ手付かずのマーケット、それを探す手掛かりにするのです。
今回は、コロナの状況下で広く活用されたクラウドファンディングについて、権利の空き地を探します。
次の表は、クラウドファンディングの役務をカバーし、かつ、「ファンディング」の文字を含む商標のデータを整理した一部です。
ベタなところでは、会社名や業界名に関する商標が多く出願・登録されています。
手が付けられていないのは「手法」のエリアです。ライブ配信という手法を用いた資金調達である「ライブファンディング」しか出願されておらず、権利の空き地になっている状態です。
出願されていませんが、「手法」に着目した「ポイントファンディング」というサービスがあります。Tポイントを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブが作ったコンセプトで、お金の代わりにTポイントを使った資金調達です。
最近は、楽天ポイントやdポイントなど様々なポイントが乱立していて、使われずに消えていくポイントも多いはず。ユーザーの休眠資産を取り込む鋭いコンセプトです。
私はネーミングの専門家ではありませんが、広いエリアを押さえた名称ではないでしょうか。ここを商標権で独占すると強いでしょう。
自社ビジネスと権利の空き地を組み合わせると、競合がいないミライのマーケットが見えてきます。皆さんもそんなマーケットを見つけませんか。
そこがアナタの「小さなブルーオーシャン」です。
この記事を書いた人
八重田 貴司(やえだ たかし)
外資系企業/法務・知財管掌。弁理士。
会社での業務とは別に、中小・ベンチャー企業への知財サポートをライフワークとする。クライアント企業が気づいていない知的財産を最大化させ、上場時の株価を上げたり、高値で会社売却M&Aをしたりと言った”知財を使って会社を跳ねさせること”を目指す。
仕事としても個人としても新しいビジネスに興味があり、尖ったビジネスモデルを見聞きするのが好き。
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