このコンテンツについて
なぜこんなツマラナイものにこだわるのだろう。そういう「ちょっと変わった人」っていますよね。市川さんはまさにそういう人。でもそういう人が今の時代にはとても大事。なぜなら一見ビジネスになんの関係もなさそうな、絶対にお金にならなそうなものが、価値を生み出す時代だから。凝り固まった自分の頭をほぐすために、ぜひ一度(騙されたと思って)市川ワールドへ足を踏み入れてみてください。
「『真似る』って実はすごい難しい」
格闘技をやってるんです。趣味で。
「空道」ってやつで、打撃も投げも寝技もある、わりと何でもアリの実戦系です。
僕が通ってる道場の支部長がすごいんですよ。
いわゆるレジェンドってやつで、過去には「達人」とか「天才」とか言われてた人。
この方がですね、僕の息子の耳たぶを足の指でつまんで引っ張ったことがあったんです。
漫画か・・・(汗)
本当にそんなことができる人間がいるんだなと、感動しました。
その支部長、指導のときに道場生の動きや、他の有名選手の動きをそっくり真似して見せてくれるんですけど、これがもう、驚くほど「似てる」!
ただ似てるっていうより、体の軸の取り方とか、重心の乗せ方とか、関節の角度までリアルに再現されてる。
横で見てて「うわ、本物だ」って思うぐらい。
みんな「そっくりですね〜!」と笑顔になるんですが、僕は毎回ちょっと怖くなるくらい感動するんです。
だって、これってつまり、目の前の動きを観察して、「抽象化」して、「自分の体に置き換えて」、「再現(具体化)」してるってことですよね。
つまり、「具体→抽象→具体」をさらっとやってのけているわけです。
そりゃ「達人」「天才」と言われるわけだ、と納得です。
で、考えてみると、これって別に格闘技に限った話じゃないんですよね。
たとえば絵を描くときもそう。
模写って、ただ「見た通りに描く」じゃなくて、筆の動き、光の処理、構図のバランスをいったん抽象化して、自分の手に置き換えて再構成してる。
歌もそう。
よく「音痴には2種類ある」って話を聞きます。
1つ目は、音を正しく聞き取れない“耳音痴”。
2つ目は、音はわかってるのに再現できない“喉音痴”。
前者は「具体→抽象」がうまくいかない。
後者は「抽象→具体」が苦手。
つまり「真似できない」って、そういうことなんですよね。
ちゃんと観察しても、うまく再現できないってことは、どこかの歯車が噛み合ってない。
・・・ということを考えると、上手に真似るって、めちゃくちゃ難しい行為なんだなと。
そして、真似るってことは、つまり「学ぶ」ということ、というのがよくわかります。
ちなみに僕は、格闘技でも歌でも、「抽象→具体」が壊滅的に苦手なタイプです。
理屈では分かってるのに、身体が言うこと聞かないのよ(涙)
著者/市川 厚(いちかわ あつし)
株式会社ライオンハート 代表取締役会長
https://www.lionheart.co.jp/
LH&creatives Inc.(フィリピン法人) CEO
https://lionheart.asia/
<経歴>
三重県の陶芸家の家に生まれる。
(僕が継がなかったので、父の代で終焉を迎えることになる…)
大学時代、遅めの中二病を発症。経済学部に入ったのに、何を思ったか「ファッションデザイナーになるんや!」と思い立ち、大学を中退。アパレル企業に就職。
ところが、現実は甘くなく、全く使えない僕に業を煮やした社長から、「Webサイト作れないとクビだからな!」と言われ、泣く(T_T)パソコンの電源の付け方も知らなかったけど、気合でWebサイト制作を習得。しかし、実際のところは、言い訳ばかりで全く成長できず・・・怒られて、毎日泣く(T_T)そんな頃、「デザインにも色々ある」と改めて気づいて、広告業界へ転職、広告制作会社のデザイナーとしてのキャリアをスタート。
「今度は言い訳をしない!」と決めて仕事に没頭し、四六時中仕事していたら、黒目がめくれ上がってきて、眼科医から「失明するよ」と言われ、ビビる。2004年勤務先で出会った同僚や友人を誘って起業、有限会社ライオンハートを設立(現 株式会社ライオンハート)。ところが、創業メンバーとあっさり分裂、人間不信に。残ったメンバーと再スタート。
2014年、設立10周年を機に、創業メンバーで唯一残っていた人間を日本法人の社長にし、自身は会長になり動きやすい状態を創る。この頃からブランディングエージェンシーを名乗り始める。
2016年、フィリピン(マニラ)にITアウトソーシング企業(LH&creatives Inc.)を設立。設立準備期間から家族とともに移り住み、フィリピンで3年半を過ごす。
フィリピン人マネジメントを通して、猜疑心の塊になり、性悪説に変わる。
2019年6月、日本に帰国し、日本法人のマネジメントに復帰。社内コミュニケーションを充実させるために席替えしたり、誰も掃除しない椅子をきれいにしたり、「眠いときはしゃべった方が良いよねッ」ってスタッフに話しかけながら仕事をするなど、独自のインナー・ブランディングの理論を実験していたところ、会社の調子が上がった。そもそもブランディングってなんだ?と思っていたところに、BFIの安田さんと出会い、勝手にご縁を感じてコンサルを受けてみる。そしたら安田さんに誘われ、2020年、anote konoteに参加することに。