第320回 褒めない大手と、褒められたい私

 このコラムについて 

「担当者は売り上げや組織の変革より、社内での自分の評価を最も気にしている」「夜の世界では、配慮と遠慮の絶妙なバランスが必要」「本音でぶつかる義理と人情の営業スタイルだけでは絶対に通用しない」
設立5年にして大手企業向け研修を多数手がけるたかまり株式会社。中小企業出身者をはじめフリーランスのネットワークで構成される同社は、いかにして大手のフトコロに飛び込み、ココロをつかんでいったのか。代表の高松秀樹が、大手企業とつきあう作法を具体的なエピソードを通して伝授します。

本日のお作法/褒めない大手と、褒められたい私

 

某大手企業の「人事部長、若手くんの“1on1”」に同席するという、なんとも背筋が伸びる場。

その最中、若手くんが電話対応で離席。

すると部長が、ふと誇らしげに語り始めるのです。

「彼はね、恐れないんですよ。どんどん踏み込んでいく」

ですが、それを「本人の前では言わない」とおっしゃる。

理由を尋ねると、「下手に周囲が意味づけをしたり、過剰に意識させるよりも、今のまま自然にやらせてあげたい」とのこと。

評価を伝えないのではありません。
“育ち方に手を加えすぎない”という、静かなご配慮。

そして“恐れないままでいられる環境”を守っているのです。

その言葉を聞きながら、ふと昔読んだ記事を思い出しました。

元メジャーリーガー投手の吉井理人さんが、現日本ハム監督の新庄剛志さんを「自分にとっての最強打者」と苦手意識を語っていたエピソードです。

理由は――「彼は恐れずに踏み込んでくる」「恐れないヤツは、強い」と。

その“恐れなさ”を失わせないことこそ、“周囲の器量”なのでしょうか。

大手企業には、制度も研修も評価シートも揃っています。
それでも最後にものを言うのは、こういう“語らない愛情”なのかもしれませんね。

褒められて伸びる人もいます。 けれど同時に、過剰に意味づけされないことで、伸び伸びと力を発揮できる瞬間もある。

見守る、というのは、放置とは違う。

期待しているからこそ、あえて余白を残す。

これぞ、大手の作法。 ……とはいえ。直接でも、いない場所でも、“誰かに褒められたい高松”なのであります。

まあ、自分で自分を可愛がることだけは得意ですので、「なかなか頑張っているよ」と自分をねぎらいながら、今夜もグラスを傾ける決意なのであります。自分を甘やかすのもまた、“持続可能なビジネス作法”と思い込んでいるのです。

 

 

著者の他の記事を見る


 

高松 秀樹(たかまつ ひでき)

たかまり株式会社 代表取締役
株式会社BFI 取締役委託副社長

1973年生まれ。川崎育ち。
1997年より、小さな会社にて中小・ベンチャー企業様の採用・育成支援事業に従事。
2002年よりスポーツバー、スイーツショップを営むも5年で終える。。
2007年以降、大手の作法を嗜み、業界・規模を問わず人材育成、組織開発、教育研修事業に携わり、多くの企業や団体、研修講師のサポートに勤しむ。

感想・著者への質問はこちらから