小さなブルーオーシャンを追え
第2回『儲けの秘密は海外にある』

ほとんどの人が聞いたこともない木型というビジネス。シュリンクし続ける業界において、過去最高の利益・利益率を生み出し続ける株式会社ノダ。その秘密に迫ります。

小さなブルーオーシャンを追え
〜木型屋が見つけたブルーオーシャン〜

第2回『儲けの秘密は海外にある』

安田

また今回も、儲かっている話を聞かせてください。

野田

なんか、金の亡者みたいで、嫌ですね(笑)。

安田

そこをなんとか。みんな一番聞きたいところなので。

野田

分かりました。

安田

利益では国内ナンバーワン、ということでしたけど。

野田

はい、そうです。

安田

その利益の半分は、海外で稼いでいるそうですね?

野田

もう半分以上になりました。

安田

ちょっと失礼な聞き方ですが。

野田

どうぞ、どうぞ。

安田

木型屋さんが海外に進出するって、普通のことなんですか?

野田

いえ、僕らだけです。いろんな経営者から「あり得ない」ってよく言われます。

安田

ですよね。でも、どうなんですか?木型屋と海外って相性いいんですか?

野田

木型屋というよりも、小さな職人メーカーは、海外に向いていると思います。

安田

ホントですか?国内の中小メーカーさん、今大変なんですよ。

野田

でしょうね。

安田

マーケットはどんどん小さくなるし、若い子はやろうとしないし。

野田

分かります。

安田

「この仕事を続けていて大丈夫なのか?」と悩んでいる、経営者や職人さんはかなり多いと思います。

野田

うちの業界も同じですよ。

安田

じゃあ、逆にそういう業界のほうが、チャンスあるってことなんですか?

野田

たとえばアパレルとか飲食とか、いかにも海外進出が向いてそうな業界って、競合がたくさんいて、かなりイノベーティブなことをやらないと生き残っていけない。

安田

木型屋さんだから勝てるんだと?

野田

そうです。木型屋だからいいんです。

安田

今進出してるのは、どことどこでしたっけ?

野田

ベトナム、タイ、フィリピンです。

安田

ベトナム、タイ、フィリピンって、日本に比べたら、まだまだお金もなくて「単価がすごく安いのかな」っていうイメージがあるんですけど。

野田

おっしゃるとおりですね。僕もそう思ってました。

安田

でも実際は違う?

野田

実際に今、海外のほうが収益性も高いですし、単価の大きい話も多いです。

安田

意外ですね。

野田

みんな先入観があるんですよ。国内だと「10万20万」くらいの商談が、海外だと200万300万とか、下手したら1,000万2,000万とか。

安田

なぜ海外だと、単価が大きくなるんですか?

野田

僕らは、海外でも特に発展途上の国で、マーケットもまだ未成熟な場所に進出してるんですよ。

安田

そうみたいですね。

野田

正直いって僕らは、日本でやったら中の上ぐらいの技術レベルなんです。でも、そういう国に行くと、圧倒的にナンバーワンになれるんですよ、技術では。

安田

なるほど。でも、いきなり現地で売れるんですか?

野田

ですから、はじめは日系企業に営業します。現地の日系は、技術レベルの高いものは、ほとんど日本から仕入れてるんです。

安田

なるほど。そこに食い込むわけですね。

野田

そうです。日本から仕入れると、日本の価格プラス送料がかかるし、納期もかなり長くなります。だから、日本と同じ値段でも買ってくれる。

安田

その商品は「現地で採用したスタッフ」が作ってるんですよね?

野田

はい。

安田

クオリティーは大丈夫なんですか?

野田

だから教育がすごく重要なんです。教育さえしっかりしてれば、人件費が圧倒的に安い分、利益が出ます。

安田

ということは「儲かってる理由は何か」って聞かれたら、やっぱ「海外に進出したから」ってことになるんですか?

野田

そういうことですね。

安田

海外に出てなければ、こんなに儲かってはいないですか?

野田

もちろん儲かってないですね。

安田

でも国内も、利益はちゃんと出てるんですよね?

野田

出てます。

安田

国内と海外を比べたら、どんな状況なんですか?

野田

利益は、国内が40%に対して、海外は60%です。

安田

額でいうと、どのぐらいなんですか?

野田

2億5,000万ぐらいです。

安田

売上はどのくらいでしたっけ?

野田

売上は約14億です。

安田

ものすごい利益率ですよね。

野田

はい。20%弱ですね。

安田

売上も、やはり海外のほうが大きいんですか?

野田

いや、売上は日本が6で、海外が4ぐらい。だから利益は逆転してます。

安田

今後は、どうなりそうですか?

野田

売上も、間違いなく海外のほうが伸びていくでしょうね。また次の国にも投資していきますから。

安田

国内の売上はどうなんですか?今後は減っていくんですか?

野田

国内の売上も微増してます。ただもう、下りのエスカレーターを、無理して駆け上ってる感じ。

安田

じゃあ、普通に立ってたら、どんどん下がっていく?

野田

立ってるどころか、かなり頑張って走らないと、下がっていきますね(笑)

安田

利益率はどうなんですか?国内はやっぱり下がってきてるんですか?

野田

利益率も微増です。ただそれは、海外の人材が国内に入ってきて、頑張ってくれてるから。

安田

海外進出しなければ「国内の利益も今ほど出てなかった」ということですね?

野田

そうです。利益も増えましたが、海外進出したおかげで労働環境が改善しました。

安田

労働環境はどう変わったんですか?

野田

7〜8年前だと月100時間以上の残業もざらにありました。もっと前は200時間とかでしたね。ブラックとしか言えなかった。今は40時間以内です。

安田

ものすごく減りましたね。

野田

はい。平均は30時間ぐらい。定時で終わることもしょっちゅうです。

安田

残業が減ると、普通は社員さんの収入も減りますけど。

野田

収入も、昇給のパーセントも、以前よりも上がってます。賞与も常に過去最高額です。

安田

それはすごい。国内の社員さんは今、何人でしたっけ?

野田

正社員が40名。パートさんとか派遣さんとかも入れて60名ぐらいです。

安田

で、平均年収はどのぐらいなんですか?

野田

正社員は500万ぐらいですね。

安田

この業界の中では断トツですか?

野田

業界では、間違いなくナンバーワンの給料です。

安田

ですよね。

野田

僕らの業界って、あんまり給料よくないのに、危ないとか、残業が多いとか、環境がよくないのが常なんです。

安田

木型業界に限らず、日本の中小メーカーさんは、そういう環境が多いです。

野田

そうですね。

安田

海外に行ってなかったら、それは解決できてなかったってことですよね。

野田

間違いなく、そうです。

安田

他業界の中小メーカーも上手く海外を利用すれば、利益率が高くなって国内にいる社員さんの待遇を改善できますか?

野田

できると思いますね。僕らが実際やってますんで。

・・・第3回へ続く・・・


野田 隆昌 (のだ たかまさ)
株式会社ノダ 代表取締役
https://www.kigataya.com/
ノダの海外ノウハウをシェア!個社ごとに職場見学会を実施。

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