第97回 真面目と不真面目

 // 本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 //
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。

商売を始めようと考えた時、誰もが自分の商売が軌道に乗ることを夢見て準備を始めることと思います。これは何も商売だけに限らず、お店の新メニューや企業における新サービスなどでも同じことが言えるでしょう。

そんな時、多くの人が考えるのではないでしょうか?
「できる限り完璧な準備をしてから始めよう」と。

確かに準備には念には念を入れた方が良いようにも思えます。
ただ、この考え方は同時に「ある問題」も抱えているような気がするのです。

皆さんだったら、この考え方の問題点って何だと思いますか?

「完璧な準備をしてから始めよう。」
私が思う、こう考えてしまうことの問題点。

それは、完璧を目指そうとすればするほど、その商売やサービスはいつまで経っても始まらないということ。そして、世間の価値観は変わり続けている以上、完璧と言える商売やサービスなんて、ないんじゃないかということ。

だからこそ、私は思うのです。
「商売にはちょっとの不真面目が欠かせない」と。

とりあえず商品を売ってみる。
とりあえず情報を公開してみる。
とりあえず集客をやってみる。

私の経験上ではありますが、真面目なオーナーほど、この「とりあえず」という状態を嫌う傾向が強いように思います。

ただ、商売は改善の連続である以上、「とりあえずやってみる」からこそ、その結果から改善が生まれるのであり、完璧を求めるあまり販売や集客をはじめるまでに時間を費やしてしまうからこそ、改善のサイクルも遅くなり、求める成果も遠ざかってしまうのではないでしょうか?

そう考えるのであれば、商売においては一見不真面目にみえる「とりあえずやる」という選択こそ真面目であり、逆に一見真面目にみえる「完璧を目指して始めない」という選択こそ実は不真面目なのではないかと、私は思うのです。

 

 

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著者/辻本 誠(つじもと まこと)

<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計29店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。
https://tsujimotomakoto.com/

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