経済産業省の推計によると、
後継者問題などで、
2025年までに
中小企業の廃業が急増。
約650万人の雇用、
約22兆円のGDPが
失われる可能性を示唆。
NHKの経済部によると、
日本企業の99%以上を占める
中小企業の約30%が
廃業の危機に直面している、
ということです。
リスクへの恐怖心が強く、
組織依存型で、
起業家にとって
厳しい外部環境の日本は、
欧米などと比較すると
起業数がかなり少ない。
起業マインドを刺激する
制度改革に着手すれば、
簡単に起業数が急増する、
という見方はあまりに
非現実的な楽観であり
夢想だと思う。
だとすれば、廃業の加速は
放置できない大問題だ
ということになる。
その抑止のために
テコ入れすることは、
現実的に対応可能で
非常に重要な
経済政策の一つであろう。
M&Aの推進支援が
まず思い浮かぶが、
しかし、そう都合よく
企業売却によるM&Aで
事業継承することは
できないのではないか。
なぜなら、合意が複雑で
時間がかかるからだ。
間に合わない。
最も取りかかりやすいのは、
やはり社員の採用=
後継者幹部候補の採用だろう。
この情報サイトの
連載コンテンツの一つ
『さらば採用ビジネス』
(安田佳生さん×石塚毅さん)
でも取り上げていた
『ハローワーク』などに
国や自治体が投資を惜しまず、
後継者不足に悩む企業の
可能性のPRを強力支援する。
後継者候補のキャリアと
マッチングできる仕組みを
つくりあげ、
お互いが得られるベネフィットを
はっきりさせることは、
そう時間とコストをかけずに
実現できるはずだし、
おそらくそれなりに
実行されるのではないか。
信用調査機関の
東京商工リサーチによると、
2016年に休廃業した
中小・零細企業は
約3万社にのぼり、
過去最高を更新。
廃業する会社の
ほぼ半分が黒字だそうだ。
いやはや惜しいことである。
以下は、ソフトバンク系の
情報サイト『ビジネス+IT』
2017年度記事からの抜粋だ。
(抜粋開始)
滋賀県彦根市にある彦根城。
江戸時代の御殿を使って
営業してきた料理旅館
「八景亭」が11月いっぱいで
営業を終える。
前身を含めれば約130年の
歴史を持つ老舗~中略~
茅葺きの数寄屋建築で
床面積547平方メートル。
江戸時代前期に造営された
大名庭園の玄宮園を見渡せ、
池にせり出す格好の臨池閣を
中心に構成される。
臨池閣は幕末に幕府の大老を
務めた井伊直弼が接待に用いた
記録がある由緒ある場所だ。
~中略~後継者不在で
廃業を余儀なくされたのは
八景亭だけではない。
長崎県長崎市では
江戸時代から続き、
初代首相の伊藤博文も訪れた
老舗料亭「富貴楼」、
新潟市では老舗みそ店
「竹林味噌醸造所」が
2017年、看板を下ろした。
「チョーク界の
ロールスロイス」
といわれた
愛知県春日井市の
「羽衣文具」は2015年、
廃業している。
最高級品質で
知られた企業だけに、
愛用していた国内外の
大学教員らから
廃業を惜しむ声が上がった。
(抜粋終わり)
こんな時代に、
脱大都会を合言葉に、
力を秘めた地方の会社に
幹部候補として転職し、
地方で生きる
決心をすることは、
果たして、
都落ち、だろうか。
押し寄せる成長の波に
うまく乗っかって
自分を勢いづかせる
ことのできる人は
ほんの一握り。
そんな時代に、
22兆円失われる
かもしれない
という全国の
地方の引き潮に
チャンスを見出す人は、
果たして、
都会から逃げる敗残者か、
新時代の
波乗りジョニーか、
どちらだろうか。
いや、
都会でチャンスをつかむことも、
地方でつかむことも、
同等に難しいことに違いはない。
しかし、
都落ち、などという、
中央集権的な観念の
束縛を解き、
満ち潮と引き潮の2つを
視野に入れるならば、
挑める波の選択肢が
ぐっと増えることは、
確かだ、と思うのだが。
(去りゆく夏の名残に。)
※桑田佳祐のカバー 上手です。