好きと得意の境目

好きなことを仕事にして生きていきたい。
それは多くの人が望む生き方である。
だが実現できる人はかなり少ない。
なぜなら多くの「好き」は
巨大なレッドオーシャンだから。

例えば、大好きな野球やサッカーを
仕事にしたいという人。
人を笑わせるのが好きだから、
お笑い芸人になりたいという人。
歌うことが好きなので歌手になりたいという人。
どのマーケットも競争の激しいレッドオーシャンである。

野球、サッカー、芸人、歌手。
その仕事で食べていけるのは千人に一人、
いや、一万人に一人くらいである。
結果的に多くの人は、好きなことではなく、
得意なことを仕事として生きている。
体力のある人が物流や引越しの仕事をしたり、
数字に強い人が経理の仕事についたり。

つまり、好きを仕事に出来ない理由のひとつは、
そのレベルにあるのだ。
好きだけれども、お金を稼げるほど得意ではない。
反対に、好きではないけれども
お金が稼げるくらいには得意、
ということが仕事になる。

そこにあるのは、好きなことと得意なことの不一致だ。
ではこの不一致を解決する方法は無いのだろうか。
単純に考えるなら、その解決策は
「好きなことを得意のレベルにまで高める」ことである。
だが前述の通り、普通にやればここは
激しいレッドオーシャンである。

競争に晒されない、
新しいアプローチ方法はないものか。
実はある。
それは、新しいマーケットを生み出すというアプローチ。
プロ野球や、芸能界など、
顕在化している巨大マーケットから抜け出すのである。

サッカーが大好き。
音楽が大好き。
それを直接仕事に繋げると、激しい競争に突入する。
そこで、好きを生かした新たなマーケットを考える。
ここで重要なのは、好きと得意の境目を理解することだ。

好きなこととは、
自分がやっていて楽しいことである。
得意なこととは、
相手がやってもらって嬉しいことである。
つまり、自分の喜びが「好き」であり、
相手の喜びが「得意」であるということ。

好きなこと生かして
新たなマーケットを生み出すためには、
相手の感情に注目しなくてはならない。
つまり、必要なのは「自分の楽しい」を
「相手の嬉しい」に変換すること。

例えばサッカーの技術や知識を使って、
誰かを喜ばせる新しい仕事を考える。
作詞や作曲のスキルを使って、
誰かを喜ばせる新しい商品を考える。
大切なのは、相手から自分の
好きや得意を見ること。
相手視点に立つことである。

 


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