「ハッテンボールを、投げる。」vol.46 執筆/伊藤英紀
2年ほど前に、㈱シンドバッドインターナショナルの企業ミッションを、山田博史社長や役員のみなさんと意見交換しながらつくった。
「人をびっくり伸ばす。」
これが、ミッションのキーワード。全文はもうすこし長くて以下になります。
人をびっくり伸ばす。
新しい学び方を開発する。
世に新風を放つ。
シンドバッドは、首都圏屈指の家庭教師サービス、厳選ネット講座、全国展開のオンライン家庭教師(webカメラ活用)を柱に、教育×ITの発想で、新しい教育モデルを生み出している会社だ。
大学生のバイト講師ではなく、学習と受験指導でメシを食うプロの家庭講師を中心にして、サービス品質をひたむきに追求している。
さすがはプロ講師で、2時間の個人指導のために数時間準備をする人もいる。一人の子どものためにその子専用のオリジナルテキストを手作りする人もいれば、現代文を読みこんで考えなくても、目の動きだけで正解を発見できるメソッドを開発した人もいる。
難病発覚で1日も早い手術が必要なのに、受験が終わるまでは手術しないで生徒に寄り添ったという熱い人もいる。
この企業ミッションに至った背景には、文字通り、僕自身のいろいろな“びっくり”もありました。
「伊藤さん、あきらめない教育が大事。子どもは教え方しだいで、驚くほど伸びるんですよ。」初めてお会いした山田社長は開口一番、そう言いました。が、「ホンマかいな?」が、疑り深い僕の心中であり、そのときは「はあ…」と気のない相槌を打ったのを覚えている。失礼なヤツです。
山田さんは続けた。「塾や予備校の大教室の授業には、限界がある。受験指導する講師が一人、生徒が30人。どうなると思いますか?」
「……」
「答えは、“授業について来れる子と、ついて来れない子が、はっきりする”です。」
なるほどお。そう言われれば、そのとおりだ。『教室に集団で席につかされて、生徒全員が黒板側を向いて、学習指導を受ける』というカタチは、学校とおんなじ。
自分が小中学生だった頃を思い出してみると、学校の授業の中心にいたのはいつも勉強のできる利発な子。できない子といえば、だいたい居心地悪そうに、うつむき気味に筆箱でコソコソ遊んでいるか、うわの空でアクビをしているのが相場であった。僕がそうだった。
そんな子がうるさい親に言われ、重い腰をあげて学校そっくりの塾に通ったからって、やっぱり教室の主役にはまずなれない。脇役として授業を聞いているふり、わかっているふりをして、“早く終わんないかなあ”と窮屈な時間をやり過ごすだけの子が多いだろう。できる子は、ますますできる子になるから、差は開きますよね。
そもそもですが、受験勉強や学校外の受験指導について大人が語るときって、ちょっとオドオド感モゴモゴ感がありませんか。あんまり突っ込んで話を展開しないというか。